第2章 禁忌魔法におはようを

プロローグ ボーイミーツボーイ

 頭痛で揺れる頭を押さえながら、顔を上げる。目の前には赤髪のイケメン。上は白いTシャツ1枚、下にジーパンを履いている。目を引くのは、白いTシャツに大きく黒い筆で書かれた「希望」の文字、そして腰に差している6本の形がバラバラの剣。顔から下がめちゃくちゃで理解が追いつかない。イケメンだからこそ成り立つスタイルじゃないか、これ。腰を下ろしたまま困惑する俺を見兼ねたのか、イケメンから声がかかる。


『ボーイミーツガール。』


『え?』


『こういうのって普通、ボーイミーツガールじゃないか。でも、僕と君はこうして出会った。ボーイミーツボーイ。りぴーとあふたーみー、ボーイミーツボーイ。』


『ボーイミーツボーイ。』


 矢継ぎ早にまくし立てられて、イケメンが英語を話すことにも突っ込めない。


『いいね。ボーイミーツガールは冒険の始まり、じゃあボーイミーツボーイは?………これが難しい。』


『はぁ。』


 出会ってすぐなのにもうついて行けない。そんな俺に気付かないのか、イケメンはこちらに手を差し伸べた。


『その答え、一緒に探しに行こうじゃないか。』


 心の中でため息をつく。このイケメンにこのまま押し切られる以外の選択肢が俺には無いし、今度はもう間違えない、そう決めたんだ。俺は差し伸べられた手を握り、立ち上がる。


『俺はサクラ、これからよろしく。』


『僕はミカエル。こちらこそよろしく頼むよ、サクラ。』


 輝くような笑みを浮かべるイケメンの顔を眺めながら、俺はどうしてこうなったのかを思い出していた。

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