十人十色の人生

妹のことをエッセイで書いたあと、

それを見た人から教えていただいたのが、

とある兄弟の物語。

それは、30代後半になろうかという兄と

30代前半の弟の物語です。


兄は、高校の教師をしていました。

ある日、弟にカネを貸してくれ、と言われ、

大金だったので貸せないと断ります。


弟は、事業をしていました。

たしか、魚の仲買人だったと聞いた。

最近の異常気象により、魚の数も激減。

売るのもたいへんだが、買い付けもかなりたいへんだったらしい。

おカネが足りなくなり、兄に頼ったわけ。


お兄さんに断られ、弟はしかたなく、

事業を手放してアパート住まいになったのですが

数年後、兄は警察から呼ばれます。

弟がアパートで死んだというのです。


警察に事情聴取を受ける兄。

警察によると、弟は餓死したという。

銀行や兄からおカネを借りることが出来ず

高利貸しから借りてしまい、

返せずに食い詰めたんだってさ。


「なぜ、ちゃんと説明してくれなかったんだ」

 兄は、慟哭します。

「あのとき、ちゃんとおカネを貸していれば……!」

兄は帰ると頭をそり

仏門に入っちゃったそうです。


おカネが絡むと、兄弟といえどもこんな感じ。

兄と弟の話は、わたしにはひとごとじゃない。

おカネが絡んでなければ妹へも

ここまで恨みに思わなかったかも(笑)


どうしてあんなになっちゃったんだろう。

ヘンな友達に、いろんなこと吹き込まれたのだろうか。

妹は、元はいい子だったのに。


身勝手だと妹をなじるのはたやすい。

妹には家庭もあるからと

距離を置くのも簡単だ。


わたしは病気持ちだからと、逃げるのも簡単だ。

田島家が大反対してると言うのも事実だし。

だからこそ――。


わたしは死ぬまでに、妹ともう一度、対決しなければならない。

妹からは、謝罪をもらってないからね。

土下座して欲しいと思う今日この頃。

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