063 土風ダンジョン3

 次の日、3階層目の洞窟の探索をする。最初は土、次の階層は風、そして現在の階層は土のはずだ。


 少し歩くと、広い空間があった。火氷ダンジョンと同じならば、階層主の魔物が現れるはずである。


 通路から小さなゴーレムが現れた。


「あ、ゴーレムだ」


「本当だ〜小さくてかわいいね〜」


 ロキの足元に来たミニゴーレムはポカポカと叩いてくるが全くダメージはない。


 通路から新たなミニゴーレムが現れた。ミニゴーレムの2体が集まり合体すると少し大きなゴーレムになった。


 そして、次々と通路からミニゴーレムが現れる。


「沢山出てきたよ!」


 ミニゴーレムはどんどん大きくなっていく。


「これ、不味くない?」


 シャルが不安そうな顔をしている。何故ならミニゴーレムは既にミニというサイズではない、どちらかと言えばビッグゴーレムと呼んでも良いくらいに大きくなっていた。


「みんな、散開して!」


 ビッグゴーレムが大きく足を上げる。そして、ロキめがけて足を降ろした!


「【死鎧デス・アーマー】!」


 ズズーンと音が響き、地面が揺れる。ロキはビッグゴーレムの足の下に閉じ込められてしまった。


「ロキ!大丈夫!?」


「怪我はないですか〜?」


 シャルやロザリーが呼びかけるが返事はない。


「ゴゴゴ!」


 ビッグゴーレムが謎の声を上げて、腕をシャルとロザリーの方に向ける。すると、空中に土の塊が出来上がる。


「まさか、こっちに撃ってきたりしないよね!?」


「多分撃ってきます〜」


「ゴゴ!!」


 シャル達の方向に発射した。


「うわぁ!」


「ワタシに任せて下さい!」


 アルエが盾となって、土砲弾は防がれた。


「ありがとう!アルエちゃん!」


「このまま攻撃に移行します!」


 アルエは手を剣の形にしてビッグゴーレムに斬りつける。


「ゴ?」


 ビッグゴーレムの脚に少し傷がついたが、すぐに傷が消えた。アルエが何回斬りつけても結果は同じだった。


「これじゃあ、いくら攻撃しても意味がないですね……」


 アルエが下がったので、イーヴァルディとシャルが魔法で攻撃を始める。


「ファイアアロー!」


「ウィンドアロー!」


 魔法でビッグゴーレムの表面が焼けたり削れたりしたが、すぐに再生して元に戻ってしまった。


「何かビッグゴーレムの弱点はないの!?」


 シャルが叫ぶ。


「ゴーレムは水魔法が弱点だよ!」


 イーヴァルディが答えるが、水魔法を使える者は居なかった。シャルは少し考える素振りを見せ、袋から青い矢筒を取り出す。


「これが使えるかもしれない」


 シャルは空っぽの矢筒に手を突っ込むと、目を瞑り集中する。


 ビッグゴーレムは態勢を立て直し、シャルを狙おうとしている。


「させません!」


 アルエが剣で斬りつけてビッグゴーレムの標的を変えさせる。


 シャルは目を開くと矢筒から手を抜いた。その手には水魔法の矢が握られていた。弓に水魔法の矢をつがえると、思い切り弓を引き矢を放った。


「いっけええええ!」


 水魔法の矢は途中で巨大な水流となり、ビッグゴーレムを貫いた。出来た穴はもう塞がることはなかった。


 ビッグゴーレムはボロボロと崩れていき、足の下からはロキが這い出てきた。


「ロキ!生きてたんだね!」


「もちろん生きてたよ。ビッグゴーレムはどうやって倒したの?」


「あたしの水魔法の矢でバーンとやったら倒せたよ」


「水魔法の矢!?そんなこと出来たんだ」


「これのおかげでね!」


 青い矢筒を見せるシャル。


「火氷ダンジョンの宝箱から出た矢筒か〜」


 青い矢筒はシャルがヴァルさんに鑑定してもらったらしい。


「氷河の矢筒って名前らしいよ」


「とにかくシャルやみんなのおかげで助かったよ。ありがとう」


 ロキがシャルにお礼を言っているとイーヴァルディの声が聞こえてくる。


「これこれ!これが探してた素材だよ〜」


 ビッグゴーレムの残骸から金属を取り出している。


「これは?」


「アダマンタイトだよ」


「これがアダマンタイト!」


 アダマンタイトで防具を作ったら格好良いだろうな。


「さぁ、採取完了だよ!」


 階層主を倒した為、次の階層への魔法陣が出現した。

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