065 報酬、帰還、次の目的地

 グラシアクスが完全に死んでいることを確認し、みんなの場所まで戻る。


「シャル、イーヴァルディ。援護射撃助かったよ!」


「ほとんどロキ1人で倒しちゃうなんて凄いね!」


「あたいもあんな凄い戦い初めて見たよ!」


 新技も上手くいって良かった。と、思っているとロザリーさんが近づいてくる。


「怪我してる子は居ませんか〜?怪我してる子は居ませんか〜?」


 自分の身体を見ると火傷や凍傷がいくつもある。


「まずいっ!」


 逃げようとしたが、既にロザリーさんにがっしりと掴まれていた。


「火傷も凍傷も酷い事になってるじゃねぇか!気をつけろっていつも言ってるだろうがー!ハイヒール!!」


 全ての傷が一瞬で癒えた。そして心の傷がまた一つ増えた気がする。


「ありがとう。ロザリーさん」


「いえいえ〜。ロキさんはあまり怪我をしないので良いですよ〜」


「そ、そうかな?もっと気をつけるようにするよ」


 グラシアクスの死体から魔石を取り出すと死体は光となって消えた。その場所には宝箱が出現していた。


「久しぶりの宝箱だー!」


 シャルが大喜びしている。


「マスター、ワタシが開けます。少し離れていて下さい」


「分かった。アルエにお願いするよ」


 アルエが宝箱を開けると宝箱から火柱が上がった。しかし、アルエには通用しなかった。


 さて、今回の宝箱の中身は何だろう?


「アルエ、何が入ってた?」


「これは……」


 アルエが手に持っていた物は、青い矢筒だった。


「青い矢筒?でも、中身は空っぽだね」


 シャルも興味があるようで、覗き込んでいる。


「王都に戻ったら鑑定してもらおう」


「あ、鑑定なら爺ちゃんが出来るよ」


「ヴァルさんが?それならお願いしちゃおうかな」


「オッケー!」


 このエリアの真ん中に魔法陣が現れた。きっと帰還用の魔法陣だろう。


「帰還の魔法陣が出たよ」


 みんなで魔法陣に乗り、転移すると凍った湖に戻ることが出来た。無事に生還出来たことを心から安堵した。


 帰り道は特に何もなく順調にヴァルさんが待つ山小屋に帰ることが出来た。



「ただいまー!」


「無事に戻ってきました」


「おお!お前達か。無事に帰ることが出来たようだな。さすがはアダマンタイト級だ。わっはっは」


「爺ちゃん!凄い冒険だったよー!ダンジョンボスも倒しちゃったし」


 ビクッとして険しい表情になるヴァルさん。


「なんだと!?炎氷鳥グラシアクスを倒したのか?」


「そうだよ〜アダマンタイト級冒険者って凄いんだね」


「アダマンタイト級でも結構苦戦するんだが、ロキのパーティは優秀なようだな。それで、極熱鉱石と万年氷は採って来たんだろうな?」


「はい、ここにあります」


 収納胃袋から取り出して、ヴァルさんに渡す。ちなみに取り出す時はイーヴァルディから借りた特殊な手袋を使っている。素手で触ると火傷やら凍傷やらになってしまう。


「おー、十分すぎる量が採れたようだな。それに上質な鉱石だ」


 収納胃袋にはまだ在庫がたくさんあるけど黙っておこう。王都の拠点で飲み物を冷やしたり、極熱鉱石で料理をする予定なのだ。


「それで、僕達は装備が出来上がるのを待っていればいいですか?」


「な〜にを言っておるんだ?お前達はすぐに次のダンジョンに向かってもらうぞ」


「えええー!!」


「えー!じゃないぞ。本当のことだ。次のダンジョンは土風ダンジョンだ」


「わ、分かりました。装備の為に頑張ります」


「場所はイーヴァルディが知っているはずだ。次のダンジョンが最後だから気合い入れて行ってこい」


 やっと山小屋に戻ったのに、休む暇もなく次のダンジョンに送り出された。


「土風ダンジョンはここから南西にあるよ。火氷ダンジョンのちょうど南だね」


「了解!多めに休憩しながら行こう」


「はーい」


 道中、ゴブリンやオークが現れたが、もはやロキ達の敵ではない。順調に進み続けて2週間で土風ダンジョンに着いた。

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