064 火氷ダンジョンボス
バルログを倒したので、次の階層に行く魔法陣が現れた。
「あたいも行ったことがないけど、火氷ダンジョンは次の5階層が最後の階層らしいよ」
「じゃあ、先頭準備してから魔法陣に乗ろう。いきなりボスが出てくる可能性もあるからね」
各自武器を手に持ち、魔法陣に乗った。魔法陣は光り輝き、全員転移した。
5階層は天然の闘技場だった。向かって右側はマグマの滝が流れている。向かって左側は氷が滝のように落ちている。
その丁度真ん中にダンジョンボスが待ち構えていた。2つの頭を持つ巨大な鳥だった。翼や頭を含めた半身は炎を纏っている。もう一方は氷で出来ている。
「ふむ、あれは炎氷鳥グラシアクスだ」
「ピエエエエエエエン!!」
炎の頭が大きく息を吸い込むと、火炎放射を放つ。しかも、周囲をグルリと万遍なく火の海にしていく。
「お任せください!」
アルエが巨大な盾になり、火炎を防いでくれた。
「アルエちゃん、ありがとうございます〜」
グラシアクスは既に次の攻撃モーションに入っている。次は氷の頭のようだ。
「ピエエエェェェン!」
グラシアクスの目の前に冷気が集まり、氷が形成されていく。どんどん巨大化する氷。アルエの盾と同じくらいの大きさになった時に、氷塊が高速で発射された。
「あれをアルエに当てちゃダメ!温度差で金属が割れちゃう!」
イーヴァルディが声を上げた。僕はその言葉に従って、アルエの前に出る。聖剣を地面に刺しストッパーにする。
「【
氷塊はロキに当たり砕け散った。
「ありがとうございます、マスター」
アルエが盾を解除してお礼を言う。
「また火炎放射が来るよ!」
お礼を聞いている余裕がない。もうすぐ火炎の波が襲ってくる。その時、良い方法を思いついた。
グラシアクスから火炎放射が放たれた瞬間を狙って、収納胃袋から大量の水を放出する。
ジュワっという音と共に大量の蒸気が上がった。視界は悪くなったが、火炎は防げたようだ。
「凄い!何をしたの?」
「火炎放射に川の水をぶつけたんだよ」
蒸気の向こう側で次の攻撃の気配がする。
「次はこっちの番だよ」
せっかくだから、新技をお見舞いしよう。
「【
空気に【死んだふり】をかけると反発力で空気に乗れることに気がついて編み出した技である。
空中を走っていくと蒸気が晴れて視界が良くなった。
グラシアクスからもロキが見えるようになり、氷塊を放ってきた。
「【
死球と氷塊がぶつかり合って相殺された。
【
空中戦が始まった。グラシアクスは火炎放射と氷塊を交互に撃ってくる。
「ファイア!」
「ウィンドカッター!」
シャルとイーヴァルディの魔法で火炎と氷塊は撃ち落とされた。だが、爆風によって熱波と冷たい粒がロキを襲う。
その隙に、ある程度の距離まで近づく。そろそろ届く距離かな?
「【
グラシアクスの四方八方を【死んだふり】の壁で塞ぐとどうなるのか?……答えはピンボールのように弾かれ続けるのだ。
グラシアクスは何度も壁に弾かれて上も下も分からない状態になっている。その状態で最後に下方の壁だけ解除する。
見えない箱の中で弾かれ続けて、最後は真下の地面に叩きつけられる。我ながら恐ろしい技を編み出してしまった。
「ピェ……ピェ……」
グラシアクスは大分弱っているみたいだ。フラフラと立ち上がる。
「ピイイイイイイィィィィ!」
最後の大技だろうか、炎の頭と氷の頭が同時に力を貯めている。そして、同時に炎と氷を放出した。
炎と氷のエネルギーが融合される。強烈なエネルギーとなり、こちらに迫る。
ロキは光り輝く聖剣を構える。
「【
聖剣はまるで死んだように黒くなった。そして、迫りくるエネルギーの奔流を簡単に切り裂いた。反発力によって斬り裂く力が大幅に強化された新技だ。
「【
そのまま空中を走ってグラシアクスの2つの首を斬り落とした。
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