056 白い巨人
巨人には顔がなく、白い服、白い大鎌を持っている。そして頭の上には金色に光る輪が浮かんでいた。
「ウィリアムが変な白い巨人に変身した!?」
巨人は口がないから何も喋らない。しかし、なんとなく怒りの感情を感じた。
巨人は大鎌を振り上げると地面に突き立てた。すると地割れが起き、真っ直ぐロキまで地割れが伸びてくる。
「どんな腕力!?」
慌てて横に飛んで地割れはギリギリ回避出来た。下手に【死鎧】なんか使っていたら地割れの中に落ちていただろう。
「怖!地割れに落ちたら絶対に戻ってこれない気がする」
このままじゃジリ貧だ。何か反撃をしなければいけない。今ある攻撃の中で最大の攻撃をしてみようか。
収納袋から金属球を取り出して白い巨人に投げつける。
「【
金属球から槍や剣が飛び出して白い巨人に突き刺さった。と思った瞬間、巨人には刺さらずに後方に通り抜けた。
「ええー!?まさか物理無効?」
ゴースト系の魔物は物理攻撃無効の特性を持っているらしい。白い巨人もその特性をもっているならば先程の現象の説明がつく。
どうしよう?僕の攻撃はほとんど物理攻撃だ。唯一有効な攻撃手段は先程の【
白い巨人は次に背中の羽を広げる。羽は白く輝き、10枚以上の羽根が浮かび上がる。
羽根は四方八方からロキを串刺しにしようと飛んでくる。
「【
羽根は【死鎧】によって弾き返され地に落ちた。次の瞬間、白い巨人は大鎌で地面を割った。
ロキは【死鎧】のせいで一瞬意識を失っており、地割れに対処できない。
「うわっ!」
意識を取り戻したロキは地割れに気づいたがもう遅かった。ロキは地割れの中に吸い込まれるように落ちていった。
「ーーーーー!!」
白い巨人は声なき声で歓喜の雄叫びを上げているようだ。
「僕はまだ死んでないよ!」
地割れから飛び出してくるロキ。【
「【
巨大な閃光が白い巨人を包み込んだ。しかし、光が収まった時、白い巨人は無傷だった。聖属性攻撃は無効ということかもしれない。
「もしかして僕の攻撃全部無効!?」
白い巨人は再度羽を広げて羽根を飛ばす動作を始めた。
「【
【死鎧】を使うと地割れ攻撃が来るので今回【死盾】を使った。
「うっ!」
しかし、全ての羽根を防ぎきれず、羽根のいくつかがロキに刺さった。
勝てる気がしない……。勝つ姿が思い描けない……。
ロキはガックリと地面に膝をついた。ダメージで立ち上がることも出来ない。
白い巨人はトドメを刺すつもりなのだろうか、ゆっくりと近づいてくる。ロキが諦めかけたその時、声が遠くから聞こえた。
「ロキよ!我の出番が来たようだな!」
サラが入ったランプがゴーレムに投げ飛ばされてこちらに飛んでくる。
「サラ!」
ランプをキャッチする。
「待たせたな!我の前に剣を掲げよ」
サラの前に聖剣を掲げると、刀身が燃え始めた。
「これで奴にも攻撃が通じるはずだ。行け!奴に目に物見せるのだ!」
「わかった!」
ロキは全力で走る。
「【
自分の足下で爆発を起こして更に加速する。
「ファイア!」
サラが後方にファイアを放ち、更に加速する。ロキは火の軌跡を描きながら白い巨人に迫る。
「ーーーーーーー!!」
白い巨人は慌てたように大鎌を構えるが、もう遅い。
「うおおおおおおおお!」
ロキは燃える聖剣を一閃した。白い巨人は燃え上がり、パキンという音と共に激しく発光した。
光が収まると、ウィリアムが倒れていた。
「なんとか勝てたみたいだ……」
「後で質の良い油をくれてもよいのだぞ」
「帰りの船で最高級オイルを買ってあげるよ」
「最高級エクストラバージンマンドラゴラオイルのことか!さすがロキ、話が分かるな」
その後、ウィリアム軍団は降伏し、全ての★を渡してきた。その★を数えてみると549個もあった。ロキが持っている分と合計すると936個になった。
その日の夕方、冒険者ギルド職員がクラン対抗戦の終了を知らせに来た。ダイヤモンド・タートル号に集合せよとの事だった。
こうして前代未聞のクラン対抗戦は終了したのだった。
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