055 因縁の対決
ウィリアム軍団が突撃してくる。しかし、橋は横に5人程度しか並ぶことが出来ない幅だ。大勢の人間が橋を渡ろうとして詰まってしまう。
「相手が5人ならなんとかなるよ!頑張ろうアルエ!」
「お任せください」
ロキとアルエは、橋の上で向かい来る敵を堀に落とす。堀には水が張ってある為、死ぬことはないだろう。次から次へと橋の下へ突き落とす。
既に100人ほど突き落とした頃だろうか、遠距離から魔法で攻撃されるようになった。
「【
魔法は【死盾】で弾き返す。更に追い打ちをかける。
「【
「「うわあああああ!」」
魔法部隊の地面が爆発して吹っ飛んだ。
砦の東側では堀に橋をかけ、更に梯子を壁にかけて登ろうとしている部隊が居るようだ。
しかし、すぐに梯子も橋も燃え上がった。さすがサラ。火の精霊が放つ火魔法はよく燃えるみたいだ。
西側の敵はシャルの弓矢で射抜かれて堀を超えることも出来ないでいる。
そんな状況が1時間ほど続いた。その結果、ウィリアム軍団は残り100名ほどに減っていた。現在は元々のメンバーしか残っていないようだ。ウィリアムが前に出てきた。
「実に鬱陶しい奴だ。やはり俺が手を下すしかないようだな!」
ウィリアムが剣を抜く。黄金の刀身、柄に青い宝玉が埋め込まれている。
「俺の新しい聖剣バルムンクをとくと味わえ!」
ウィリアムが斬りかかってくる。アルエが迎え撃とうと前に出る。
「ウィリアムの相手は僕がするよ!アルエはもっと後方の魔法使いを抑えてほしい」
「了解!」
アルエはウィリアムの後方で待機している魔法使いに向かっていった。
「今度こそお前を倒して、俺は認めてもらうのだ!」
聖剣バルムンクを大きく振った。ロキとの距離はまだ遠い。剣を振る意味はないはずだが、ロキは嫌な予感がしてスキルを使った。
「【
その直後、周囲の橋の一部、後方の門が切り裂かれた。
「見えない斬撃!?危なかったー!」
しかもスキル名の詠唱もいらないようだ。なんて恐ろしい武器なんだ。
「ちっ!勘のいいヤツだ」
ウィリアムは次々と見えない斬撃を飛ばしてくる。
「【
段々と剣の角度や剣を振る方向で見切れるようになってきた。
「見せすぎたか、学習する頭くらいはあるようだな」
「もう諦めてくれるとこっちは助かるんだけど」
「【
巨大な光の波が押し寄せる。光の波に当たった部分は衝撃で砕け散っている。とんでもない威力だ。
このままでは間違いなく橋が落ちてしまう。ロキは捨て身でジャンプし、なんとか光の波を回避しつつ堀の外に着地した。
ガラガラと橋は崩れ落ちていく。橋に留まっていたら今頃は堀に落ちていただろう。
「避けるんじゃない!【
ウィリアムはまた聖剣技を放ってきた。だが、今度はロキも反撃する。
「【
光の波と閃光がぶつかり合い相殺された。
「俺のクレイヴ・ソリッシュを使うとは!不敬だぞ!」
「使わないと攻撃が来るんだから仕方ないでしょ!?」
「もう許さん。こうなったら最後の手段だ」
ウィリアムは自身の腕を剣で斬りつけると、出てきた血を聖剣バルムンクにかける。
「我らがガルド神よ、我が血を対価とし天使を降臨させ給え!」
謎の光がウィリアムを包み込み、光が収まるとそこには白い巨人が立っていた。
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