051 避難

聖ガルド教皇国が冒険者ギルドに口出ししてきた時点でこの展開を予想しておくべきだった。


「とにかくここから離れよう」


「それなら良い場所があるよ!そうだよね?アルエちゃん」


「はい、ここから南に15キロメートルほど進むと険しい山があります。その山の麓に拠点に出来そうな砦がありました」


「砦?誰も居ないの?」


「はい、昨日の時点では無人でした。今はどこかのクランが占拠している可能性はありますが、奪ってしまえば問題ありません」


「なかなか過激ですね〜アルエちゃん。素敵ですよ〜」


ロザリーさん煽ってどうするんですか?


「じゃあ、砦に向かおう!ここに居たらウィリアムに見つかりそうだしね」


こうしてロキ達は、拠点を捨てて砦に向かうことになってしまった。



砦にはシャルとアルエが一度行ったことがある為、距離はあったが迷うこと無くたどり着くことが出来た。


ただし、砦には案の定先客が居た。


「やっぱり、これだけいい物件がずっと放置されてるわけないよね」


「マスター、奪いますか?」


「うーん、自分から攻め込むのって少し苦手だけど、仕方がないよね。砦を奪おう!ついでに★もね」


「「「了解!」」」


いつもの陣形で砦に突入する。相手は、油断しており門も開けっ放しである。


ロキが砦中央の広場に突撃し、注目を集める。


砦の冒険者達は少し混乱したようだが、すぐに落ち着きを取り戻し、ロキに集中攻撃を仕掛けてくる。


弓矢や攻撃魔法、果ては拳大の石などが次々と投げられる。


「【死鎧デス・アーマー】」


それら全ての攻撃を完全防御する。まさに鉄壁である。ロキの不意をつく攻撃でない限りダメージを与えることは不可能だ。


アルエはロキに気を取られている冒険者達を次々と気絶または拘束していく。


「ウィンドカッター!」


シャルは風魔法によって複数の相手を行動不能にしていく。


「縛って〜からの〜ヒールだ!この野郎共!私に感謝しな!」


ロザリーさんのヒールの半分は優しさ、もう半分は恐怖で出来ているらしい。


「すみませんでした〜降参ですぅ!★もお渡ししますぅ!」


短時間で砦を陥落し、★を8枚も手に入れることが出来た。おかげで★の合計は41個になった。


「ここから出て行ってくれるなら、拘束を解くけどどうする?」


「出て行きますから!命だけはお助けを〜」


殺したら失格になっちゃうし、そんなことをするわけがない。


「じゃあ、拘束を解くよ。ここには戻らないようにね」


「わ、分かりましたー!」


冒険者達は何も持たずに逃げて行った。トラウマを植え付けてしまっただろうか?今更そんなことを考えても仕方がないので、置いていった装備や食料は収納胃袋に入れておいた。

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