050 襲撃

「ふぅ〜今日も働いたなぁ。一番風呂をいただいちゃおうかな?」


 風呂の扉を開けるとロザリーさんが既に入っていた。


「あら〜?私と入りたいのかしら〜?」


「いえ!ロザリーさんがこんなに早くお風呂に入ってると思いませんでした!失礼しましたー!」


 大丈夫、湯気で何も見てないからセーフのはずだ。危なかった。


「扉に鍵でも付けたほうがいいのだろうか?」


 そんな独り言を呟いて自室に戻るのだった。


 1時間後、シャルとアルエが帰ってきた。もう外は真っ暗だ。


「おかえり、遅かったね」


「もう大変だったよー!崖を登って南に向かったんだけど、険しい山が多くて!」


「マスター、これをどうぞ」


 アルエが★を7個渡してきた。


「沢山集めてきたね」


「凄いでしょー?褒めて褒めて」


 シャルは誇らしげに胸を反らした。


「今日、この拠点に攻め入ってきた輩はおらぬ。だが、いくつかの視線は感じたな。用心したほうが良いだろう」


「サラが言うなら間違いなさそうだね。今日は用心して入り口をカムフラージュしておくよ」


 寝る前に拠点の入り口に石と土で塞いでおくことにした。もちろん空気穴は開けておくけど。


「今日集めたおかげで、合計★33個になりました!みんなお疲れ様!」


「昨日の魚を食べようよ!」


「今日の夕食は豪華にしちゃおう」


 王都から持ってきた食材や無人島で獲った魚を使った豪華な食事を楽しんだ。


「おやすみー」


「おやすみなさい〜」


「おやすみなさい」


 拠点の入り口を塞いで部屋に戻り眠りについた。まさか翌朝あんなことになるなんて、この時は思いもしなかったのである。



 翌朝、激しい爆発音で目が覚めた。


「な、何!?」


 継続的に爆発音は続いているようだ。地面の振動や空気の振動でなんとか状況を把握しようとする。キーンと耳鳴りがしてほとんど聴覚は麻痺しているからだ。


 自室を出ると、拠点の入り口側が砂煙で凄いことになっている。外から攻撃を受けているようだ。


「シャル!アルエ!ロザリーさん大丈夫!?」


「大丈夫!」


「こちらも大丈夫ですよ〜」


「ワタシは入り口を防衛中です」


 アルエは入り口で盾になってくれているようだ。


「おい!我の心配はしないのか!?」


「ごめん、サラも大丈夫そうだね」


 アルエが大きな盾となり、外からの攻撃を防いでくれている。アルエに近づいて外の様子を見てみると、そこには聖ガルド教皇国第三王子ウィリアムと総勢100名の軍隊が拠点の入り口を囲んでいた。


「うわ!ウィリアムだ。しかも大勢部下を引き連れてるよ」


「そのようですね」


 アルエと話していると、外からウィリアムの声が聞こえてきた。


「大人しく出てこい!そうすれば命まで取らないでおいてやる!」


 これだけの攻撃をしておいて殺す気がないって?


「さあ、そこから出てきて俺の聖剣を返せ!このまま殺して死体から剥ぎ取ってもよいのだぞ!?お前達を殺しても証拠さえ残さなければ失格にはならない!」


 ひどい言い草だ。一旦、拠点の奥に戻った。


「外に居るのはウィリアムだったよ。僕達を殺す気らしい」


「我はこの場所をすぐに出たほうがいいと思うぞ。崩落の危険がある」


「分かった!入り口を囮にして、裏から出よう」


「裏道なんてあるの!?」


「今から作るよ【死地面デス・グラウンド】」


 斜め上に向けてトンネルを作成する。そのまま進めば、崖の上に出るはずだ。


「アルエ!もういいよ!」


 アルエは盾状態を解除して、こちらに来る。


「【死地雷デス・ランドマイン】!」


 入り口を崩して埋めた。そこにファイアアローらしきものが複数飛んできたが、降り注ぐ岩や土によって防がれた。


「みんな、忘れ物はないね?それじゃあトンネルを登るよ」


「「「了解!」」」


 サラのランプで照らしながら進むと、上の方から外の明かりが見えてきた。


「外だー!」


「シャル静かに」


「レーダーに敵影なし、問題ありません」


 まさかこの無人島にウィリアムが来ているとは思っていなかった。

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