033 銀級冒険者1位

 その日の夜、クランの今後について会議を開いた。


「拠点の広さに対して家具がまだ足りないけど、一先ず生活出来る程度にはなったよね」


「そうだね。お金もほとんど使っちゃったよ」


 そう、ロキの貯金は拠点の費用として使ってしまってほとんど残っていない。


「マスター、ワタシがお金を稼いで来ましょうか?」


 アルエだけ働かせるなんてヒモ野郎にはなりたくない。


「いや、全員でオークダンジョンを周回しよう!」


「賛成!このままじゃ毎食モヤシ炒めになっちゃうもんね!」


 というわけでオークダンジョンに到着した。食料として大量のモヤシを買って来たが、収納胃袋が最高に便利だった。飲料水も大量に入っている。


 そして道中で手に入れたゴブリンソードやロックゴーレムの素材も大量に入れたが、まだ物が入るようだ。


 その後、オークダンジョンを10回ほど周回した。


 収納胃袋に熱湯も大量に入っている為、体を清潔に保つことが出来た。


「思ったより快適なダンジョン生活が送れてびっくりした。いつの間にかオークダンジョン10周もしちゃったし」


「たしかに、収納胃袋があると全然違うね」


 オークの素材も全て回収して帰路についた。


 冒険者ギルドにオーク討伐を報告する。


「討伐報酬は合計で9白金貨と15金貨になります」


「凄い。白金貨なんて初めて見た……」


「オークダンジョンって儲かるんだね」


 これで生活費はしばらく大丈夫だろう。


「それと冒険者プレートをお返しします」


 冒険者プレートを受け取ってランキングを確認する。


 名前:ロキ

 スキル:死んだふり

 級位:銀

 ランキング:503位(30836位→503位)


「503位になった!このままオークダンジョンを周回して1位を目指そう!」



 1ヶ月後、オークダンジョンを周回し続けた事で銀級1位を達成することが出来た。


 名前:ロキ

 スキル:死んだふり

 級位:銀

 ランキング:1位(503位→1位)



「というわけで、今回の昇格依頼だが、ロキとシャルとアルエに行ってもらいたい。討伐対象はクラーケンだ」


 いつも通り、ギルドマスターから昇格依頼が出された。クラーケンとは巨大なイカの魔物だ。


「3人とも昇級させてもらえるのですか?」


「うむ、今回は特例だ。毎年この季節になるとフティアマグロの漁が始まるのだが、クラーケンのせいで全く漁が出来ない状態なのだ」


「分かりました!ちなみに、倒したクラーケンは貰ってもいいですか?」


「ああ、構わない。だが、巨体だぞ。持って帰るのは不可能だろう」


「はい、そこは気にしないでください。では行ってきます!」


 適当に濁して出発することにした。


「場所は南東のホットフット村だぞ!」


 ギルドマスターが足早に去ろうとしているロキ達の後ろから場所を伝えた。


 オークダンジョンのおかげで長旅は慣れてしまった。準備もすぐに終わらせて南東に向けて出発したのだった。


「あ、寝袋忘れたー!」


 シャルはもう自分の寝袋を持ってくる気がないようだ。

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