026 宝箱

 宝箱を開けると、胃袋が出てきた。正確には胃袋の形をした袋だ。


「オークキングデーモンの胃袋?うーん、鑑定しないと分からないかな?」


「鑑定せずとも我には分かるぞ。その道具はオークキングデーモンの胃袋、通称【収納胃袋】。大量の物を入れても、大きさや重さが変わらない袋なのだ」


「さすがサラ様!物知りですね!」


「当然だ。我も大昔に持っていたが、失くしてしまったのだ。ああ、大量の油を収納していたのに……」


 思い出に浸り始めてしまったサラは放っておいて、皆で最後の魔法陣に乗ると地上に戻ることが出来た。


「ふー、やっと終わった。今日はここをキャンプ地とする!」


「「おー!」」


 テントを設営して、寝袋を置く。ただし寝袋は1つしかない。抱き枕になる運命が見えたが疲れていたので考える事をやめた。


「食事は干し肉があるけど、せっかくだから新鮮な肉や野菜がほしいね」


「じゃあ、あたしが狩って来るよ!」


「僕は山菜を探してくるから、アルエとサラはかまどの準備と火起こししておいて」


「良かろう」


「了解しました」


 山菜を探し始めたが、ここは荒野なので山菜などあるはずもなかった。


「うーん、そうだ!あそこにあるかも」


 ロキはオークダンジョンに再び入った。1階層の草原には食べられる野草が豊富にあった。


 ついでに再出現していたオークを倒して肉をゲットした。


「取ってきたよ」


「おお、早かったな」


 そう言うとサラが火を起こした。


 山菜とオーク肉を鍋に入れてスープを作る。


 少し遅れてシャルも戻ってきた。


「荒野には獲物が少なくて大変だったよ〜!」


 手には大きなわしのような鳥が握られていた。


 アルエが鳥を受け取ると物凄い速度で鳥を捌いていく。


「す、すごい……」


 アルエはあっという間に焼き鳥用の串を用意しつつ、同時に焼き鳥を焼いた。焼き鳥の焼き加減も完璧だった。


「美味しい!」


「ホントだ!おいしー!」


「ワタシのデータベースには料理に関するデータも含まれています」


 アルエはちょっとドヤ顔をしている。


「我の油の作り方も知っているのか?」


「当然デス」


「おお!頼む!今度作ってくれー!」


「いいでしょう。材料は……」


 サラとアルエが話し始めたので、ロキとシャルは食事を取った。


「食事も取ったし、僕は寝るよ。本当にアルエに見張りをお願いしてもいいの?」


「お任せください」


「じゃあ、なぜ同じ寝袋に入っているのかな?」


 ちなみにシャルも寝袋に入っている。


「それは……寝袋に入っていても高性能レーダーによって敵の接近は分かるからです」


「なるほど〜、よく分からないけど、見張り出来るならいいかぁ。おやすみ〜」


 ロキは眠気のほうが勝った為、深く考えずに寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る