016 シャルの冒険者デビュー
翌日、シャルと冒険者ギルドに行った。昨日、シャルは家までついてきて一泊した。そしてロキは床で寝ることになった。
「ぼっうけんしゃ〜ぼっうけんしゃ〜」
謎の歌を歌っているシャルを連れて受付に行き事情を説明した。
「風魔法を使えるようなので実力は問題ないですし、ロキ君が居れば絶対安全でしょうから。ギルドとしては大歓迎です!」
ベリンダさんは大歓迎らしい。
「これがシャルさんの冒険者プレートです」
「ありがとう!」
2人で冒険者ギルドを後にする。
「今から日課の特訓に行くけど、一緒に来る?」
「行く!」
城まで一緒に行った。
「師匠!特訓に来ました」
「おう、来たか。女の子なんか連れて、彼女自慢でもしに来やがったのか!?」
「昨日盗賊から助けたら仲間にしてほしいってついてきたんです」
「はじめまして、シャルです!あたしも特訓がしたいです!」
「威勢がいい嬢ちゃんだな〜。気に入った!嬢ちゃんも特訓してやろう」
「シショー!よろしくお願いします!」
「よし、じゃあエルフの嬢ちゃんはチェインメイルを着て走り込みだ」
師匠がシャルにチェインメイルを渡す。
「ロキは、こっちの新チェインメイルだ」
師匠から新チェインメイルを受け取ると、想像を絶する重さだった。
「重っ!こ、これ一体何kgなんですか!?」
「50kgだ」
「重すぎますって!」
「計画を見直すって言っただろうが!つべこべ言わずに走れ!シャルに負けたら罰ゲームだぞ」
「ひいいいぃぃ!」
結局シャルに負けて更に走り込みをすることになった。
「ゼェ……ゼェ……」
「よーし、次は新しい籠手と靴だ」
見るからに重そうな金属製の装備だ。
「それ、重さは……いえ、いいです。聞きたくないです」
師匠が聞いてほしそうにニヤニヤしていた為、聞かないことにした。
「嬢ちゃんはロキのお下がりの籠手を着けろ。質問がなければ実戦訓練を始める!」
実戦は師匠 vs ロキ&シャルで行う事になった。
「スキルも武器も自由に使っていいぞ。さあ、いつでもかかってこい!」
合図と共にシャルが勢いよく飛び出す。
風魔法のおかげかチェインメイルと籠手を装備しているとは思えない速度で師匠に肉薄する。
シャルの武器はナイフだった。素早い連続攻撃で急所を狙うが、師匠は軽々と避けている。
ロキもシャルに合わせてショートソードで攻撃を試みるが、籠手が重すぎて上手く出来ない。
師匠がその隙を突いてロキのショートソードを叩き落とした。
だが、ロキはそうなる事を想定済みだった。
「【
ロキは師匠の
しかし、予想外な事にロキの腕は伸び、師匠の鳩尾に見事に当たった。
「な!?うッ!!」
なんと、【
師匠にダメージは無さそうだが、初めてまともに攻撃が当てることが出来た。
「やったーー!新技が出来た!」
「ロキ!籠手を飛ばしたら修練にならんだろ!籠手飛ばしは禁止だ!」
新技を封印され、ロキは膝から崩れ落ちた。
その後、ボロボロになるまで訓練を続けた。
「ロキ、ダンジョンに行こうよ!」
シャルは何故か元気だ。
「分かったよ。分かったから引っ張らないで!」
「ごめんごめん、あたしの生まれた里にはダンジョンがなかったから嬉しくて」
「じゃあ、初級者向けのゴブリンダンジョンに行こう」
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