010 ダンジョンボス
「間違いなくダンジョンボスの部屋だろう」
覚悟を決めて、扉を開ける。
「……」
開きかけの扉の中を見て言葉を失ってしまった。
巨大な空間に大量のゴブリンがひしめきあっている。
一番奥に一際大きなゴブリンが仁王立ちしており、その他のゴブリン達は今まで倒してきた全種類が勢揃いしているようだ。
「一番奥に居るのはゴブリンキングだ」
「あれがボスかぁ。倒せるかな?アレを試してみようかな」
「危なかったら我が手伝ってやる。試してみるがいい」
サラもそう言ってくれたので、試してみることにする。
まずは手前のゴブリン達を斬り捨てる。
出来るだけマジシャンを狙うが、さすがに量が多過ぎて反撃の魔法を撃たれてしまった。
火の玉が飛んでくる。ファイアボールだろう。
左腕に意識を集中して【死んだふり】をかける。肘から先が死んだように動かなくなる。
その腕をファイアボールにぶつけてみると、ファイアボールは弾き返されてゴブリン達に直撃し爆発した。
「上手くいった!」
「なるほど、腕だけにスキルを使ったのか」
「そういうこと!」
【死んだふり】状態の左腕はどんな攻撃も跳ね返す盾に変わった。
最強の盾とイーリアス師匠から授かった剣技でゴブリン達を圧倒していく。
「ゴルギャアアア!!」
突然、ゴブリンキングは雄叫びをあげると周囲のゴブリンを掴みロキに向かってぶん投げる。
ロキは飛んできたゴブリンを避けつつショートソードで斬りつけた。
ついにゴブリンキングが動き出したようだ。
「ゴギャ!」
ゴブリンキングが合図を出すと、周りに居たゴブリンロードとゴブリンチャンピオンが両脇から攻撃を仕掛けてくる。
「左腕のガードだけじゃ足りない!」
「我に任せろ」
ランプの前面に小さな火の玉が浮かび上がる。
「燃えよ」
サラの合図で放たれた火の玉がゴブリンチャンピオンに当たると一瞬で巨大な火柱となり、後には黒い
「す、凄いなぁ」
ロキは感想を言いながらゴブリンロードの攻撃を左腕で防ぎ、首を斬り落とした。
「ゴルギャ!ゴギャギャ!」
焦ったゴブリンキングは矢継ぎ早に指示を出し、ゴブリンロードとゴブリンチャンピオンが飛びかかってきた。
しかし、全く連携が取れておらずロキ1人で問題なく倒すことが出来た。
「ふぅ、バラバラに動くゴブリンは全く恐くないね」
「ロキの実力であればゴブリンキングも問題ないだろう」
思うようにいかないゴブリンキングは激昂し、巨大な
巨大な鉈がロキに衝突し、地面が割れ衝撃と共に砂煙が上がる。
「グギャギャギャ!」
ゴブリンキングは勝ちを確信し笑う。だが、すぐに笑みが凍りつく。
砂煙の奥からノーダメージのロキが現れたからだ。ゴブリンキングは再度、鉈で斬りつけた。
ロキは鉈のタイミングに合わせて左腕を当ててパリィを行う。
「!?」
パリィの衝撃でゴブリンキングは大きくよろけてしまった。
「チャンス!」
ロキはゴブリンキングの背後に周り両足のアキレス腱を斬った。
「ゴギャアアアアアアア!!」
ゴブリンキングは大きな悲鳴をあげて前かがみに膝をついた。ロキは追撃をしようとしたが、ゴブリンキングが必死で振り回した鉈が偶然ロキに迫っていた。
ロキは一旦距離を取った。ゴブリンキングはアキレス腱を切られ動けない。
ゴブリンキングは怒りで正気を失ったのか巨大な鉈を投げつけて来た。ロキは冷静に左腕で鉈を弾き返し、ゴブリンキングに向けて走る。
鉈はゴブリンキングの顔面に当たり、その直後、ロキのショートソードがゴブリンキングの首を斬った。
ゴトリと床に落ちるゴブリンキングの頭と同時にバタッと倒れる巨体を見てようやく倒せたことを実感する。
「やっと、ボスを倒せたよ」
「うむ、街に戻ろう。油が切れる前に!あと魔石を忘れてはいかんぞ!」
「はいはい、分かったよ」
討伐証明部位と魔石を回収し、忘れ物がないか見渡すとゴブリンキングが居た場所に宝箱が落ちていた。
「宝箱だ!」
「運が良かったみたいだな。ダンジョンでは、稀に宝箱が出るのだ」
罠が無いことを祈りながら宝箱を開けると綺麗な装飾がされた腕輪が入っていた。
「腕輪?」
「ふむ、風の魔力を感じる。魔法の腕輪のようだな」
「魔法の腕輪!」
「ロキの師匠に相談してみればよかろう」
「そうする!」
「ちなみに、そこにある魔法陣に乗ればダンジョンを出られるはずだ。我の記憶が正しければな」
魔法の腕輪でテンションが上がったロキは嬉しそうに魔法陣に乗るとダンジョン入り口に戻ることが出来た。
こうしてロキの人生初のダンジョン攻略は無事に終えることが出来たのだった。
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