009 ゴブリンダンジョン

 翌日、城で日課を終えたロキはすぐにゴブリンダンジョンに向かった。


 そしてゴブリンダンジョンに入ると3階層の魔物を全滅させるまでノンストップで進んだ。


「ロキよ、昨日より早いペースだが大丈夫なのか?」


「全然問題ないよ。それよりもランキングが上がるのが楽しいんだ」


「そうか、人間達の順位付けなどに興味などないが、無理はするなよ」


「うん、分かったよ」


 魔法陣に乗り、4階層に移動する。


 定番の通路と通路の先には広い空間がある。そこにはゴブリンリーダー15匹と強そうなゴブリン10匹が居た。


「ゴブリンリーダーと……ゴブリンギャリソン……かな?」


 チラッ


「違う。ホブゴブリンだ」


 ちなみにこの世界にゴブリンギャリソンという魔物は存在しない。


「そうだよね。ホブゴブリンかゴブリンギャリソンかで悩んでたんだ〜」


 ロキは無駄な知っているアピールをしながら、壁際作戦で全てのゴブリンを倒した。


「その【死んだふり】というスキルは便利だな。全ての攻撃を無効化している」


「便利だよ。このスキルのせいで故郷から追い出されたけど、今はスキルのおかげで強くなれたって感謝してるんだ」


 拾った魔石をサラに渡していく。


「美味い!この魔石はなかなかいけるぞ!」


「魔石に味なんてあるんだ……」


 知らなくていい豆知識が増えたロキであった。


 4階層も問題なく全てのゴブリンを討伐した。


 魔法陣で5階層に移動する。


 5階層は雰囲気がガラッと変わった。壁や地面が真っ赤になっているのだ。


「なんか、いつもと違う雰囲気だね」


「ダンジョンには特別な階層がある。例えばボスが居る階層だ」


「ここにボスが居るってこと!?」


「例えばの話だ。だが、ボスが居ると思っていたほうが良いだろう」


「そっか、じゃあ、そう思っておくよ」


 通路を進んでいくと、全く見たことがないゴブリンが2匹見えた。


「えーっと、ゴブリンマッスルとゴブリンマフィアだったかな……?」


「もう無理しなくていいぞ。ゴブリンロードとゴブリンチャンピオンだ」


「よーし!倒すぞ!」


 ゴブリンロードとゴブリンチャンピオンは筋肉質で身長が2メートルはあった。大きな体をしている割に素早さもあり、一般的な銅級冒険者には手に負えない相手である。


 ロキは実力を試すかのように壁際作戦を捨てて、正面からゴブリン達に挑んだ。


「ゴギャギャ!!」


 ゴブリンロードがあざけるように笑うと、大斧をロキに叩きつけた。


 だが、いくら筋肉自慢でもロキのスキル【死んだふり】に勝つことは出来なかったようだ。


 大斧は弾き飛ばされ、無防備となったゴブリンロードの首はロキのジャンプ斬りによって斬り落とされた。


 それを見ていたゴブリンチャンピオンはポカーンと口を開けている。


 ロキは素早くゴブリンチャンピオンの背後に回り込み、同様に首を斬り落とした。


「楽勝だったけど、他の冒険者もこれくらいは出来そうだよね。師匠だったら目隠ししても倒せるだろうし」


「我よりも弱い人間に興味はないから、なんとも言えんな」


 討伐証明部位と魔石を回収して、通路を進んでいると


「ロキ!止まれ!」


 突然サラが大声を出し、ロキは驚きながらも停止した。


「な、何?突然大声出して」


「罠だ。足元をよく見てみろ」


 いつの間にか足元は赤い煙で覆われており、煙を払うと落とし穴が開いていた。


「落とし穴だ……」


「落とし穴以外もありそうだ。気をつけろ」


「分かったよ」


 罠を警戒しながら進んだ。ほとんどの罠はサラが教えてくれたので無傷だった。


 次の広い空間もゴブリンロードとゴブリンチャンピオンだった。


 慣れもあり、瞬殺した。


 通路、罠、敵の組合せが延々と続く。


 5階層に来てから50匹は倒した。


 そろそろ引き返そうか迷っていると、大きな黒い扉が現れた。


「これってもしかして……?」

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