008 ランクアップ
翌日、ランプの火は消えているように見えた。
「おはようサラ」
「おはようロキ」
ランプに火が灯り、返事が返ってきた。
「火が消えているように見えたけど」
「目に見えないほど小さな火を維持していただけのことだ」
「そっか、なら良かった」
「だが、油の補充は忘れるな」
「わ、分かったよ」
ロキは城に行き、日課をこなした。
「イーリアス師匠、昨日ランプが仲間になりました!」
「え!?ランプってあの火を灯すランプか?」
「はい、そうです。この国に来て初めての友達です」
「……ロキよ、何か相談があれば俺に言うんだぞ?一人で抱え込むことはない」
「え?は、はい。分かりました」
ロキは何か勘違いされたようだ。
ロキは一旦家に戻り装備を整えるとゴブリンダンジョン2回目の挑戦を行うことにした。もちろんサラも腰に下げている。
今日はゴブリンダンジョン入り口にゴブリンは居なかった。
今回は戦闘もなくダンジョンの中に入った。
「サラ、明かりをつけて」
「承知した」
火が強くなり、辺りを照らした。松明よりもいい感じだ。
通路を進むと広い空間があり、やはり25匹のゴブリンが居た。
前回同様にゴブリンを殲滅する。
どんどんと進んでいき、全てのゴブリンを殲滅した。
一番奥の空間の地面には魔法陣が描かれている。
「これはなんだろう?」
「転送の魔法陣だ。魔法陣の真ん中に乗ってみろ」
サラの指示に従って魔法陣の真ん中に乗ってみる。
魔法陣が光り輝き、気づくと別の場所に立っていた。足元には魔法陣がある。
「本当に転送された……」
「その魔法陣に乗れば先程の場所に戻れるぞ」
「それなら安心だね」
通路を進むとまた広い空間があった。しかし、ゴブリン以外に見慣れない魔物が見えた。
「もしかしてゴブリンファイター?」
「うむ、あれはゴブリンファイターだ」
ゴブリンが進化するとゴブリンファイターになる。そのゴブリンファイターが10匹とゴブリンが15匹居た。
「えええ、僕戦ったことないよ!?」
「ロキの戦いは見せてもらったが、ゴブリンファイター程度であれば余裕だぞ」
「うーん、気が進まないけど、最強の冒険者になる為にはやるしかない!」
ロキは自分に言い聞かせるように気合を入れた。
そして壁際でいつもの作戦をしようとした時
「どれ、今回は我も手伝ってやろう」
ランプが一瞬強く光り、ゴブリン達がこちらに気づいた。
先頭のゴブリンファイターがゴブリンよりもしっかりとした足取りで走ってきた。
ゴブリンよりも剣速も速い。しかし、ランプが強く光り、ゴブリン達の目を焼いた。
「「ギャギャアアア」」
ゴブリン達は闇雲に剣を振り回すことしか出来ない。
ロキはその隙を突いてゴブリンファイターの首を切り落とした。その後、ゴブリンの首も切り落とし何の苦労もなく倒せてしまった。
「サラ凄いね!簡単に倒せたよ」
「手伝うのは今回だけだぞ。油の消費も増えてしまうからな」
「そっか〜。でも、あれくらいなら倒せそうな気がしてきた!」
ゴブリンファイターの討伐証明部位を切り取った。
倒されたゴブリンは一定時間経過するとダンジョンに吸収されて消える。
ゴブリンファイターが消えた後、魔石がいくつか落ちていた。
「おお、魔石じゃないか我にくれ!魔石をくれたらもっと色々出来るようになるのだ」
「サラは魔石がほしいのか〜いいよ!じゃあ、どんどん進もう」
通路が続き、また広い空間があった。ゴブリンファイターとゴブリンも同様に居る。
今度はロキ1人で挑んだ。
「ソロでも何の問題もなく倒せてしまった。イーリアス師匠に鍛えてもらったおかげかな。ありがとう師匠!」
「ロキには良き師が居るようだな」
余裕で倒せることが分かったのでサクサク進む。
全ての魔物を倒し、2階層目も攻略した。
干し肉をかじりながら、次の魔法陣に乗る。
3階層もまた同じく通路が伸びている。進むと広い空間があり、今度はゴブリンファイターと知らないのが2種類居た。
「ゴブリンファイターと……」
チラッ
「仕方がない奴だな。ゴブリンマジシャンと1匹だけゴブリンリーダーが居るようだぞ」
「分かったよ」
ゴブリンリーダー1匹、ゴブリンファイター12匹、ゴブリンマジシャン12匹で合計で25匹居た。
「ゴブリンマジシャンの魔法に気をつけるのだぞ」
「了解」
少し前から実戦訓練で魔術師との戦いも経験している。あの地獄のような特訓よりもゴブリンマジシャンが強いことはさすがにないと思いたい。
今回は壁際作戦は使えない。魔法で攻撃されると衝撃で壁が砕けて破片が飛んできたりして【死んだふり】の時間設定が難しくなるからだ。
とにかく先手必勝作戦でいこう。これはイーリアス師匠の得意技らしい。
サラにランプを最小にしてもらう。ショートソードを構えて、地を這うような姿勢でゴブリンマジシャンに向かって走る。
ゴブリン達は足音で気付くがもう遅い。次々とゴブリンマジシャンの首を落としていく。
魔術師との戦いは可能な限り詠唱させない事だ。
最後のゴブリンマジシャンを斬り捨てた。
「グガ!」
ゴブリンリーダーはやっとゴブリンファイターに指示を出すが、もうロキにとっては驚異ではない。
壁際作戦でサクッと倒した。ゴブリンリーダーはゴブリンファイターよりも強いはずだが、ロキにとってはどちらも雑魚だった。
「ゴブリンマジシャンに気をつければ問題なさそうだね」
「しばらく我が手を貸す必要は無さそうだな」
話しながら、討伐証明部位を集めていく。
「お、さっきよりも少しだけ魔石が多いぞ!回収してくれ、そして我にください」
「なんかサラって、魔石のときだけ性格が変わるよね」
「早くするのだ!ダンジョンに吸収されてしまうぞ」
「はいはい」
その後、3階層の敵を全て倒した。
そろそろ戻らないと、王都の門が閉じて野宿になってしまう。
「サラ、そろそろ帰るよ」
「うむ、ランプの油も残り半分程だ」
急いで王都に戻ったので、なんとか閉門に間に合った。
冒険者ギルドで討伐報告を行う。
「確認しました。ゴブリン200匹、ゴブリンファイター100匹、ゴブリンマジシャン50匹、ゴブリンリーダー5匹で、金貨1枚と銀貨40枚になりますけど、どういうことですか!?」
突然問い詰めてくる受付嬢のベリンダさん。
「え!?」
「ソロの銅級冒険者が1日で倒せる量じゃないですよ!」
「師匠が優秀なおかげですよ」
「あ、冒険者プレートをお返しします」
そういえば、昨日はランプ磨きに忙しくて確認していなかった!
名前:ロキ
スキル:死んだふり
級位:銅
ランキング:156634位(488527位→156634位)
めっちゃランクアップしてる。
この調子だったら、ゴブリンダンジョンを攻略する頃には1位になるのも夢じゃないかもしれない。
ロキは嬉しくなり、やる気が大幅にアップした。
ロキは自宅に帰ると筋トレを始めた。そして筋トレをしながら、【死んだふり】の新しい技について考えた。
ロキは新技の練習を気が済むまで続けるのだった。
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