007 洞窟探検に必要なアイテム

 ダンジョン攻略に行く前に、まずは日課の訓練を終わらせる。


 次にダンジョンの正確な位置を冒険者ギルドで教えてもらった。


 情報は有料だと思っていたら無料だった。ダンジョンの中から魔物が溢れ出るのを防ぐ為らしい。


 コンパスと地図を見ながら北の森を進むとゴブリンダンジョンの洞窟を見つけた。


「あれが、ゴブリンダンジョンかぁ」


 武器はあるけど、他に何も準備していない。


「ま、なんとかなるかな!」


 ロキは楽天的な性格をしていた。


 ゴブリンダンジョンの入り口には既にゴブリンが2匹うろうろしている。


 ロキは2匹に向かって走り出した。走り込みの訓練によって瞬時にゴブリンに肉薄し攻撃する。


「……!」

「グギャ!」


 ゴブリンとの戦いに慣れたロキは2匹とも瞬殺した。


「ふぅ……ゴブリンが相手なら大分余裕で勝てるようになったかも」


 ゴブリンダンジョンに入ると、物凄く暗いことに気づいた。


 この暗さでは5メートル先も分からない。


 やはり準備不足だったのだ。松明たいまつが必要だ。


 予備の袋を引き裂き、太めの枝に巻きつける。袋の布には松脂まつやにを塗った。予備の松明も作っておく。


 木の棒と板で火種を作って火をおこす。作成した松明に火をつけた。


 即席の松明でどこまで行けるか分からないが、とにかく進むことにした。


 狭くジメッとした通路を少し歩くと広い部屋に繋がっている。


「ギギ!」

「ギャギャ」


 20匹以上が集まって騒いでいる。


 ロキは壁を背にして戦えば勝てると予測した。


「ゴブリン!かかってこい!」


 壁際でロキが叫び松明を振ると、ゴブリン達がロキに気づき武器を振り上げ走ってきた。


 ゴブリン達は連携など全くせずに各自バラバラに動いた。


「はっ!」


「グギャアア!」


「せいっ!」


「グギイイイ!」


「死んだふり!」


 ロキは正面左右の4匹に意識を集中し、眼前の敵を倒す事を繰り返した。


 その結果、あっという間に25匹を倒す事が出来た。


 討伐証明部位を切り取り、更に通路を進む。


 また広い空間があり、ゴブリンが25匹居た。


 結局、通路と広い空間の連続だった。


 結局、全てのゴブリンを倒しながら進み時間が掛かってしまった。


 用意していた予備の松明ももう少しで燃え尽きてしまう。


「今日はここまでかな。帰ろう。焦らず急いで最短距離で帰ろう。松明が消えたらと思うと足が震えてくる!」


 洞窟で転ばないように全力の徒歩でゴブリンダンジョンを戻った。


 外に出たと同時に松明が燃え尽きた。


「ギリギリだった!心臓に悪すぎるよ!次からランプは必須かな」


 外は意外と明るかった為、王都に戻って明日の為に買い物をする事にした。


 冒険者ギルドでゴブリンの討伐報告を行った。


「確認しました。ゴブリン127匹で、銀貨38枚と銅貨10枚になります。この前よりかなり多いですね!」


 受付嬢に驚かれた。


「はい、ダンジョンに挑んでいるのでどうしても多くなっているんです」


「ダンジョンは普通パーティで挑むものですが、ロキさんですもんね」


 謎の納得をされて腑に落ちない感じだが、報酬と冒険者プレートを受け取り足早に道具屋に向かう。


「こんにちは」


「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか?」


「ランプはありますか?」


「もちろんです。こちらが最高級多機能ランプです。炊事、温風発生、ランプ機能が付いて金貨50枚です」


「炊事!?温風発生!?凄い……。でもお金が足りないです。一番安いのはどれですか?」


「チッ、貧乏冒険者か。それならあの隅に山積みにされてる物をどれでも選びな」


「いきなり口調が変わったね。まぁ、いいや」


 道具屋の隅にはガラクタが山積みされていた。


 とても古ぼけた汚いランプが何故か気になった。


 ……このランプ。死んだふりをしているのかな?


 何故か死んだふりをしているような気がしてランプを手に取る。


「おじさん、このランプいくら?」


「おじさんだとぉ〜!?」


「あ!お兄さん!これいくらですか!」


「チッ、これだから貧乏冒険者はよ。そこのはガラクタだから一律銅貨50枚だ」


「じゃあ、これ買います!あと油も!」


 50銅貨と油代10銅貨を支払って慌てて店を出た。


 あとは干し肉を買って家に帰った。


 自室の机に今日買ったランプを置く。


「やっぱり、僕が死んだふりをした時の感覚に似てるんだよねぇ」


 じっくりとランプを見ているが、特に何も変化はない。


 オイルを入れてみるが特に変化はない。


 しかもランプに火をつけてみたが、全くつかなかった。ジャンク品かよ!


 ふと思いつき、ランプに対して5秒後に復活しろと念じてみた。


 5秒後、ランプに火が灯った。


「我が名はサラマンドラ。お前は誰だ?」


「ランプが喋ったあああああ?!」


「我はランプではない。中をよく見てみろ」


 ランプの火の中に小さなトカゲのようなものが見える。


「本当だ。ランプじゃないんだね。あ、名前を聞かれたんだっけ?僕はロキ」


「ロキが我を目覚めさせたのか?」


「そうだよ」


「なるほど、では我はロキについていくことにしよう。ありがたく思うがいい!」


「うーん、なんか態度が大きい気がするけど。ま、いいか。よろしくサラマンドラ。長いからサラでもいい?」


「うーむ、色々と言いたいが、許可しよう。よろしくロキ」


 こうしてロキに新しい仲間(?)が加わった。


「ところでロキ。我の家をちゃんと磨いておけよ」


「家って、このランプの事?」


「そうだ。我が仮死状態になっている間に随分と時が経って汚れているようだ」


「そっか、じゃあピッカピカにしてあげるよ」


「本当か!頼んだぞ!」


 ロキは夜遅くまで丁寧にランプを磨いた。ランプは輝くほどピカピカになりサラは大喜びだった。


 その代わり、ロキは寝不足になった。

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