第4話

冷や汗が止まらない。私はアイツを知らない。それなのに部屋に入り、アイツは私を知っている。


「またか」


ミカが呟く。


「行ってくる」


ユウキとサトルが席を立つ。


「何処へ?」

「決まってるだろ、さっきの通話相手のとこ」

「そーそー。知られてるだけはフェアじゃないもんね」


何故4人だけ知ってるのか。そんな質問する前に2人は店から出ていく。


「大丈夫だよ。守ってあげるからね」


ルリがミカと頭を撫でてくれた。店員もにこにこと見ている。


「懲りないね、アイツも」

「ニシさんもそう思う?居場所までバラして、馬鹿よね」

「アズミの家にも不法侵入だし、あの2人キレるぞー」

ミカがあはは、と笑う。


どうしてみんな笑っていられるのか。違和感だらけでゾッとしてきた。なのにさっきのテレビからは歌が流れている。何もなかったかのように。番組だろうか?普通だと思った番組もおかしい。画面に映っているのは歌っている私だ。

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