幕間II「災害」
「───私に行けと?」
「いや、本当にごめんなさい。豪華な飯食べた後で申し訳ないです」
飯を食って、幸せな気分になった途端これだ。
人の気持ちを分かっていない。
「一応、世界の簡易な情報だけは手に入れて来たけれど…あの過去は発達し過ぎて……」
「もう情報は要らん。ハァ……」
「うぅ…」
魔術を妨害する結界が張られている以上、魔術特化のコイツにはあまりに相性が悪い。
だからといって、魔術の妨害を受けない魔術を使用しないメンバーを連れて行っても、魔術を織り交ぜたライフル系による威力が底上げされた一方的な攻撃。
異物を許さない結界、奴らが生み出した新しい魔術構成のみを許す結界はある意味進化だ。
私は席を立って、部屋へ向かった。
【報告書】
行き先世界:過去?未来?
任務成果:殲滅、破壊失敗。世界の発達具合少し会得
詳細:本来の目的である研究所らしき建物の破壊はおろか人さえ殺せなかった。
研究所の周りには魔術妨害の結界が張られ、魔術を使おうとすると魔術回路と神経を麻痺させられ、回路どころか身体にすらも影響を受けて生身での戦闘を困難にさせられた。
研究所の警備兵は現代寄りのアサルトライフル使用していたが、その1発1発はその世界で生み出された特有の新たな魔術構成を含んだ魔術弾であり、1発の破壊力は対物ライフル以上であった。
何より研究員でさえ銃器を所持し、ビームの剣での格闘においても高い練度を有している。
世界について
未来的技術と並行しながら、魔術を日常的にも使用していて、人々の暮らしは安定こそしているが、自由が無いように見える。そこらじゅうに兵士と思わしき装備を着込んだ人間とロボットが居た。大人はニコニコと平和に過ごしているが、子供達はその光景に違和感と恐怖を抱いているようだった。明らかに異質で、奇妙だった。分かるのはその程度。ただ軍事力を他世界より持っているのは明白。普通の一般人でも強敵になり得るから気をつけて。
「ふん……」
その程度か。
まぁいい、このまま風呂に入って寝るつもりだったが、先に汗でもかいて後に深く眠るとしよう。
私はアイツが書いた報告書をゴミ箱へ捨てた。
極罪を以て、その地へ瞬間移動した。
《魔術》が過去以上の時間に存在して居るのは極めて珍しい事だ。
本来は衰退して、科学技術に移り変わる。
今からの世界はどちらも兼ね備えた非現実的な空想に近しいもの。
しかしだ。
その程度の発展では《空想》に値しない。
《空想》には辿り着けない。
さぁ──この世界を蹂躙してやろう。
その進化は地に墜ちるべきだ。
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