第15話 徒歩2分に城君

あれから3日後、私のスマホに城君のSNS更新の通知が来た。どんな投稿だろうかな、と見てみた。


「僕が主演する深夜ドラマをお知らせします。〇〇レストランとそのシェフと言うタイトルで、僕が主演することになりました!来月9日から放送予定です。楽しみにしていてください!」というお知らせだった。


「○○レストラン」!?

その○○とは私の住んでいる最寄り駅の名前だった。

私の住んでいる最寄り駅は結構庶民的な場所だ。港区や目黒区や品川区と言ったところではない。こじんまりした駅だ。


もしかして○○町で撮影したりするかな。ちょっとドキドキしてきた。

でもこのコロナ禍のご時世、スタジオ撮影だろう。

店内での話がメインみたいだし、いわゆる群像劇みたいなものだろうと思っていた。


 しかし、翌日私がSNSで「○○駅 撮影」で検索したら沢山の情報が溢れていた。

〇〇駅のFカフェで撮影をしていた、という情報だ。城君を見た、という情報がなかったが、確実に「○○レストランとそのシェフ」というドラマに違いないと思った。


実はそのレストラン、私が住んでいるアパートから徒歩2分という近さなのだった。

しかも、リーズナブルな洋食店なのでたまに食べに行くレストランだったのだ。


これはもう、現場を見に行くしかない!


翌日、午後6時くらいにレストランの前を通った。

と、その時だ。撮影隊のバンが来て、止まったのだ。

何故分かったかと言うと、バンから機材を運び出し、バンの中には衣装が沢山吊ってあったからだった。

恐らく、俳優陣はまだだろう。撮影隊が先に来ている。


ネットで見た情報では。「○○レストランとそのシェフ」は夜が舞台らしいので、撮影は夜からのはずだ。スタジオではなく、本当に私の住んでいる○○駅で撮影をしているのだ。


城君を一目見たい!

私の願望は留まることを知らなかった。

一瞬でもいいのだ。声をかけることなんて出来ないし、ただ遠目からでもいいから見たい!

私の期待はどんどん膨らんでいったのだった。

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