第7話 深夜ドラマにハマる

ビール8本目を手にしながら、久しぶりにハマった深夜ドラマの最終回の無料動画配信を見始めた。


深夜ドラマということもあり、最終回は寝落ちしてしまったのだった。無料配信がある、この時代に感謝である。


深夜ドラマということもあり、主演も脇役も皆無名俳優に近い。テレビっ子の私は脇役に凄く詳しい。名前を憶えていなくとも顔は覚える。若手からベテランまで、かなり多岐に渡り詳しい。この私が知らない俳優陣ばかりのドラマである。助演の俳優T君は知っていた。かなりの正統派イケメンだがなかなかブレイクしない。私の周りでも彼の名前を言っても知らない人ばかりだった。演技が下手な訳ではなく、寧ろ上手い方だし、今時の雰囲気イケメンではなく360℃イケメンだ。彼が出るから見ることにしたドラマだった。


内容は全く知らず、何の先入観も持たずに見始めたドラマだったが、近年の地上波ドラマのつまらなさに辟易していた私がどっぶりハマることになってしまった。


しかも私が推していた(特別ファンという訳ではない)助演のT君でなく、主演の全く無名のイケメンでもない何でもない普通の子に段々と魅かれてしまった。


正直私のタイプではない。イケメンでもない。そこらへんに歩いていそうだと言っても過言ではない。「何故こんな華のない子が主演なの!?」とすら思っていた。


しかし、彼の演技は素晴らしかった。彼の演技に魅了されていく自分がいた。そして、いつの間にか助演のT君目当てだった私が主演の「城之内修一郎」目当てになっていき、1週間の楽しみがこのドラマ、否、彼目当てに1週間を過ごしている自分がいたのだった。

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