第8話 26歳の俳優にハマる

主演の彼こと「城之内修一郎」に3話目くらいからハマりはじめた私は、彼の過去の出演作品や彼の情報をネットで調べた。


「城之内修一郎」。ファンの間では「城君」と呼ばれているらしい。本格的に俳優デビューしたのは5年前。現在26歳。過去の作品を調べたが、端役ばかりでほぼ無名に近い若手俳優だ。


しかし、ある作品には目が留まった。こちらも深夜ドラマだが23時台のドラマでベテラン俳優陣の出演しているドラマだった。しかも私は惰性でそのドラマを毎週観ていたのだった。1年前のドラマ。しかも城君はかなりのキーパーソンとして美味しい役も演じている。城君いた???全く記憶に残っていない。

ネットで調べてみた。確かに城君はキーパーソンとして出演していた。

「あー、いたいた!」私は思い出した。


確かあの時私は「なんだこの不細工は。演技も下手だし。どこかの事務所のゴリ押しか?」と思っていたんだった。

それくらい、城君は記憶に残らない俳優だった。

つまり、私好みの顔ではなかったのだ。

あの時の俳優、、、。


その彼が今どっぷりハマっているドラマの主演なのだ。

そしてドラマと同時に、彼にハマってしまった自分がいた。


43歳の無職のオバサン。26歳の若手売り出し中の俳優。

うん。気持ち悪い。自分でも身震いがする。


私は学生時代から芸能人やアイドルに特に興味はない人間だった。

なので芸能人のファンクラブとやらに入ったこともないし、写真集なども買ったことがない。たまたまだろうが私の周りの友人でもそういう芸能人にハマる人はいなかった。某アイドル事務所のアイドルは苦手だったし、ハマっている人は正直賢くない人が多かった。そういう印象だ。


43年間生きてきて、アイドルや俳優に夢中になったことがない人生を送ってきたのだった。

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