第5話 SNSのバカ

電車の窓に反射した自分の顔を見ながら思った。

「私こんなに法令線あったっけ?目の下の弛みとかあった??」

目を逸らしたくなる顔がそこには映っていた。


あれから10年かぁ。

そりゃあ歳も取るよね。


彼と別れて以降、本気で好きになれる相手とは出会わなかった。

やけになって一晩限りの関係を持ったりしたこともあった。

そのあとの罪悪感が凄く、鬱状態なるので思いとどまった。


3人と付き合ったが1年も持たなかった。全然好きじゃなかった。

セックスも苦痛だった。


SNSというツールは便利だ。

彼の名前を検索すればすぐに出てくる。

彼は起業し、ある程度名の売れた美術系の人間だったからだ。

奥さんもすぐに分かった。


見なくてもいいのに、見てしまう。それが人間の性と言うものだ。


人は夜中になると何故か攻撃的になるのかもしれない。否、日中抑えていたものが爆発するのかもしれない。夜中書いたラブレターは、朝読み返すととても恥ずかしい内容と同じ原理なのかもしれない。


私は鬼となっていた。


彼のSNSすべてに罵詈雑言を浴びせていた。

警察に捕まってもいいとすら思っていた。


ネットで調べ上げた呪術のサイトに頼んで、彼と奥さんが分かれるように呪いをかけてもらった。


3万も払ったが、彼らは今でも仲良し夫婦だ。


あの時の私は精神的におかしなことになっていってた。


奥さんのSNSも見つけ出し、罵詈雑言を浴びせていた。


醜い人間と化していた私は、もう恋愛なんて一生しないと誓っていた。

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