第4話 サヨウナラ
彼は既にカフェの奥の席に座っていた。復縁の話だろうと思い込んでいた私は「待った?ごめんね」などと言いつつカフェオレを注文した。
暫くは近況のたわいもない話をしていた。
急に彼が堰を切ったように話し始めた。「来年の4月に結婚することが決まったんだ。」
私は目の前が真っ白になった。
「どこで知り合ったの?」
「飲み屋」
「どれくらい付き合っていたの?」
「4か月くらいかな」
「歳は?」
「3歳下」
「同棲してるんだ」
「結婚するなら、私と連絡とらない方がいいよね。奥さん嫌だろうし」
「うん。ごめん。」
「これ。もしよかったら」
彼が差し出したのは、スイカだった。チャージが1万円ほど残っていた。
まさか手切れ金のつもりだったのだろうか?それとも同情?
私は10年付き合っていた。
彼女はたったの4か月。
私、途中で子供堕ろしたよね?覚えてる?
あなたがまだ若かったから。あなたは「ごめんね。将来また作ろうね」って言ったよね????
何も言葉が出てこず、私は笑顔で「おめでとう」と言い、カフェを後にした。
そして生まれて初めて電車の中で人目を気にせず、泣いたのだった。
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