第16話:でもまだ1万文字あるから

「今は本気出さなくてもいいよな」

「典型的なFラン大学生の思考って感じね」

「一言でいうと、無能のクズです」

「でもさ、『喰らえっ、ファイナルフィナーレ!』『ぐえー! 死んだンゴー!』って会話のカッコ含めても32文字で完結するんだぞ」

「『そして世界は平和になった』の一文証明で、12文字追加ね」

「『-Fin-』をいれると5文字追加です。前後のハイフンも含めてます」


「ほら見ろ、47文字で終わるんだぞ。良いじゃねえか」

「エピローグでアンタが元の世界に戻った後のシーンを書かなくていいの?」

「あー俺多分、もう少しこの世界を堪能するぜ、のパターンで終わるかもな」

「その辺の一言二言の会話含めても200文字ちょい追加というところでしょうか」

「バッファ入れて300文字もあれば完結できるって事が証明できてしまったな」


 そう、それが世界の選択さ。


「えっ! つまり……残り8000文字ちょいは休暇って事で良いのね?」

「ああ、そういうことだ……」

「……給料って休暇中も満額出ますか?」

「ああ……もちろんだ……どんどん休め……」


「「いやったぁぁぁぁぁぁぁ!」」


 魔王と女神は両手バンザイで喜んでいる。

 みたか、日本の無能経営者ども。

 これが従業員を上手にこき使う秘訣だぞ。

 休みを増やすだけで、圧倒的に離職率が低下する。

 子供が熱を出したときは、有給じゃなくて特別休暇で休ませてあげると、職場の雰囲気も良くなるし、女性管理職も増えるからおすすめだぞ。


「じゃあさ、せっかくの休みなんだし、どこか遊びに行きましょうよ!」

「おっ、いいな。どこ行くよ」

「南国とか良いかもしれないですね。のんびり出来ますよ」

「そしたら行きたい場所の近くのホテルに電話してみようぜ。当日キャンセル枠が安く取得できるかもしれないぞ」

「ナイスアイデア! じゃあ早速スマホで検索しましょ!」

「今日は偶然にも平日ですし、新幹線の切符チケット屋で安く買えると思いますよ」


 じゃ、そういうことで、次回は南国旅行満喫編って事で。

 ……えっ? 魔王討伐?

 大丈夫大丈夫。29500文字付近から本気出すって。

 これから電車で食べる駅弁買ってくるから、また後でな。


 ……

 ……


 はい、ちなみにここは異世界ですからね。

 異世界には電車もネットも旅行もホテルもあるんだよ。

 いいよね。

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