第11話:とりまリハーサルしようぜ

「リハーサル?」

「ああ。魔王が俺に倒されるためのリハーサル」

「なんか異世界ファンタジーってジャンルで書いて良いのか微妙な気分になってきたわね」

「ローコスト演劇会みたいなジャンルあればいいですけどね」


「えっ?? なんだって?? 日本のドラマや映画はレベルが低いローコストお遊戯会だって?????? おいおいおいおい、それは爆弾発言だぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! 酷いなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁwwwwwww」

「えっ、あっ、はっ? ほぇ?」


 全くぅ……ひどいなぁ、彼らも一生懸命だっていうのにね。

 まあ最近は俳優というより脚本が


 とりま話を戻して。


「いやさ、実際に魔王を倒すシーンでかっこいい言葉がとっさに出てこなかったり、技を使う場面をなんとなく空気感的に間違えちゃうとかあったら嫌じゃん」

「魔王倒すのにどうして世間体とか気にするんでしょうねぇ」

「小説やアニメだとやっぱり主人公ってかっこいいことしていますから。裕介さんもそれに乗っかりたいのでしょう」


「部屋の中で躓いて怪我をしないように、予め掃除機をかけておくとか必要だし」

「おい」

「勝負の前に飯食いたいじゃん。仕込んでおいて冷凍しておきたいし」

「主婦か」

「それに、実際に魔王を殺しちゃうのは流石にまずいだろ?」


「えっ?」

「えっ?」

「えっ?」


 3人が同時に?を生成した。


「いやいやいや、殺すとか流石にまずいだろ」

「いやいやいやいや、まあ倫理的観点からすると、たしかに殺生系を毛嫌いする読者は存在するけど……」

「倒される側の僕が言うのもなんですが、いやいやいやいや」


「だって、今住んでいる部屋で死体が転がるとかマジで嫌じゃんか。こたつ入ってぬくぬくしているこの部屋の脇っちょに血がドロっと流れるとか事故物件以外の何者でもないし」

「アンタ根底をもろ覆すようなクソ発言するわね。年齢層の幅を広げるためのあえての措置?」

「違うよ。俺自身にグロ耐性が無いから、もう面倒くさいし死んだふりしてもらえねえかなってことにしたくてな」

「はぁ……死んだふり、ですか」


「どうせ活字だけの作品だぞ。適当にお前が"ぐえー死んだンゴー!"とか過剰に叫んで、以後の会話に出てこなくなれば、読者は魔王は死んだものと解釈するだろ」

「メタメタのメタ之助ですが、たしかに死んだと解釈されます」


「そもそもお前世界支配してる?」

「うーん、物語の冒頭でいきなり設定も不明瞭なまま登場させられたので、正直まだ何もやっていないです」

「本当か?」

「強いて言うなら、2ヶ月に1度は通っていた献血を行き忘れたくら……」


「ぎゃ、ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!! 凶悪っ……! 圧倒的凶悪っ……!!!」

「……はい?」

「もしかして輸血が必要な善良な市民がお前の血で助かったかもしれないのに、それをしていないということは、それはつまり間接的な殺人と言えるのではないか……?」

「ものすごい広義的な揚げ足ですね〜」


「これはもう倒すしか無いよな、女神」

「えっ、はっ……急に振ってこないでよ。リアクションしにくいじゃないの」

「ほら、女神も圧倒的悪魔と言っているぞ」

「……なんか勝手に私の答え言ってくれてありがとう。面倒事に巻き込まれずに済んだ気がするわ」


「だが直接的に手を下していないあたり慈悲はある。だから今回はマジモンの殺戮はせずにこっそり逃してやろうということになったわけだ」

「いやーなんか色々お世話になっておりますゆえ、ひとまずありがとうございますー(雑になってきている)」


「ねえ裕介。話長くなりすぎて表題のリハーサル全然やってないのに1300文字近く浪費しているわよ」

「おっといけね。じゃあ次回にそれは回すとして、一つ言い忘れていたことがある」

「なによ、唐突に」


「(多分このあたりで)1万5千文字突破しました―!」

「無駄な会話でもう半分、皆様ありがとうございます」

「(あっ、女神さんもう半分くらい色々と諦めている件)」

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