第9話:物件探しは知識が活きる
「この異世界の最初の街にある不動産にやってきたぞー」
「いらっしゃいませー!」
「異世界って不動産っていう職業あるのねー」
「なんだか世界観ぶち壊れな気もしますが」
小説の良いところは、ご都合主義がまかり通るところ!
「本日はどのような物件をお探しでしょうか?」
「駅近で、日当たりがよく、買い物の導線がいい物件があるといいっすね」
「なるほど。便利な住み心地重視ですね。勤務地はどちらになられますか?」
「ああ、こいつが1人で住むんですけど、在宅ワークできる子なので、都心寄りじゃなくても、政令指定都市が近いくらいでちょうどいいかなって思ってます」
「今時の働き方って感じがして羨ましい限りです。そうしたらご予算も抑えめにいい物件をご紹介できそうです」
「この辺のエリアについてあまり詳しくないから、紹介がてらいくつか紹介お願いしまーす。あ、治安の良さとかも含めてね」
「承知いたしました。では魔法陣から最新の不動産情報を取得いたしますので、少々お待ちください」
「(あ、なんか唐突にファンタジー要素差し込んできた。そういえばここ、ファンタジーの異世界だったわね)」
「(そういえば僕って在宅勤務なんだ。なんか勝ち組な気分)」
それっぽい魔法陣が出てきて情報取得する。
でもこれって、光ファイバーによるデータ取得と変わらないような気が。
「取得完了しました。この中からいくつかご紹介できればと思います」
「じゃあ順番にお願いします」
「最初は政令指定都市から電車で20分ほど離れた駅になりますが、その最寄り駅から7分ほどの場所になります。木造2階建ての2階、2Kでトイレ風呂別、築年数は7年と新しく、値段は共益費込みで5万円となります」
「う〜ん、条件は諸々いい感じだが、木造っていうのがなぁ」
「ああ、申し訳ございません。鉄骨や鉄筋のほうがご希望でしたか」
「そりゃあ魔王と俺が魔法で戦って大暴れするってことだし、音が響かないほうが良いとは思う」
「……は、魔王?」
「……お気になさらず。次の条件ください」
「はぁ……承知しました。では音を気にされるのであれば、1階で鉄筋のほうが良いかもしれないですね」
「あっ、でも……魔王って大体最上階とかに鎮座しがちですし、1階だと威厳を出せないのではないでしょうか……?」
「それもそうだな」
「……? よくわかりかねますが、最上階をご希望でしょうか」
「そうだな。最上階、鉄筋。お金も出すから防音で追加オーダー」
「ああ、もしや動画配信とかもやられますか? 過激系だったり?」
「ま、まぁ……暴れる系が多いかもしれないかな……はは」
「それでしたらオフィスとしても使える場所を賃貸契約しても良いかもしれませんね」
「お、それ良いかも。仕事場にもなるし一石二鳥」
「ただし、普通の賃貸と違って、壁が無くワンフロアが広いので冷暖房を付ける際に電気代が少しかかってしまう場合がありますが大丈夫でしょうか」
「まあそれくらいなら大丈夫です」
「あと家賃は毎月9.5万円となりますがよろしいですか?」
「ああ、問題ない(どうせ払うの俺じゃないし)」
「はい、大丈夫です(あとでこっそり裕介さんの口座に引き落とし設定変更しておきますので)」
「そうしたら、こちらにて一旦契約としましょうか」
「ええ。じゃあこいつ名義で……スラスラスラ」
ジョン・スミス ←魔王と書くわけにはいかないので偽名で
「(作者の年齢が何となく分かる名前ね)」
「(確か消失が好きって言ってましたね〜映画2回見に行って泣いてましたし)」
「はい、ではこれで契約完了となりますので、敷金礼金など合わせて来月までに55万え……」
ガシッ!!!!
「ふごっ!!!???」←裕介が首を片手で不動産屋を掴み持ち上げている
「100円にしようや……な? あんちゃん、死にたくないやろ?」
「た、助け……警備隊を……」
「おっとっとぃ……確か、あんちゃんち妻と子供いるよねぇ? いいの? 警備隊呼んだら全員倒した上で、今度チェンソーもってお前んち遊びに行っちゃうけど(適当にハッタリで言ってる)」
「ふ、ふごふご……」
「いいじゃねえか、たった55万円くらい。家族とお金どっち大事よ? 俺だったらすかさず家族って答えるぜぇ。あとは、わかっているよな?」
「ひ、ひぃぃぃぃ……」
……
「はい、じゃあテイク2! アクション!!!!」
「そ、その……今回の賃貸の敷金礼金など含めて、いつでも良いですので……ひゃ、100円お支払いいただければ……はい」
「えっww いいの!? 超お得じゃねえか。こんな慈善事業やってるなんて、異世界にやってきてよかったな、女神!」
「えっ、あっ、うん」
「な? 魔王」
「は、はい」
「(残金51億円もってるくせにどストレートな脅迫で値切る根性)」
「(裕介さんというよりも、この作者、本当に消失で泣いたのかな?)」
時間というのは残酷なものです。
人はいつか心が枯れてしまうのでしょうか
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