第3話:とりあえずラスボス呼んでみるよね
では、魔王のご挨拶といこう。
「あの…は、はじめまして……ぼ、ぼく……」
「おい」
「えっ、あっ、はい?」
「無駄な三点リーダーを文章の中に入れるな。読点も入れるな。ちいさな『っ』もいれるな○すぞ」
「ごめんなさい」
「うむ、最小限の謝罪だ。いいぞ、次からも淡白に俺に接しろ!」
「(この怖い人も随分と無駄な箇所はあるんだけどね)」
「ねえ、話が勝手に進んでいるようでツッコミがで全く追いついていないんだけど、どうしてこんな場所に魔王がいるの」
「無駄な文字数を割愛するために無理やり登場させた。魔王を倒せば世界の他の魔物が全部消えるみたいな設定あるじゃん。中ボスに該当するようなほんのり面倒な魔物を倒すより、大元を速やかにぶっ○せばコスパ最強じゃん」
「(あーこいつ非対称ゲームで仲間も助けず真っ先にゲートから逃げるタイプね。友達いなそう)」
「ちなみに俺は平凡な人間だ。刃物のついた武器を装備するなんて重たいから無理だし嫌だし、怪我をして血を見るのも嫌だ。グーパンチで殴るとなんか魔力的なもので手が汚れそうな気がするから、とりあえずヒノキの棒でぶん殴っていい感じに始末できれば最高だなって思ってる」
「某RPGで真っ先に捨てられる武器を生々しい理由で欲しがるのね」
「しかも敵が強いと勝てないのは確実だから、知能指数を小学生程度にしつつ、小さい体型にしておいた。物理的に小さければ勝ちやすくなるからな」
「……これ幼児虐待にならない?」
「見た目だけの話さ。中身はえーっと、240歳くらいの想定だから」
「(今決めたなこいつ)」
「(僕って240歳なのかぁ……知らなかった)」
「なんか見た目だけ若くて中身が凶悪って設定なら、もう自然の摂理に従って死んでくれという理由をつけられて読者も急展開で敵が倒されたとしても納得感が強いと思ってな」
「その代わり、思い入れが全くなさすぎて、1ヶ月後にはどんな小説だったか読者は完全に忘れ去るでしょうけどね」
「ダイジョブだよ。あとはSNSで業者に定期的に宣伝させれ……」
「それ以上はいけない」
なんだよ。世の中の人間なんて内容じゃなくてバズったかどうかで作品の評価を決めるっていうのに。
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