第2話:ちな、タイトルは文字数にノーカンです

「俺の信念だけどな」

「うん」

「3万文字じゃん。頭打ち」

「うん」

「余裕を持って物事を進めたいマンだから、2万文字で終わらせたい」

「えー、それだとせっかく異世界に来たっていうのに、大した冒険もできずに物語が終わっちゃうわよ」

「いいんだよ。文字数が余ったら、なんか適当に魔王がいなくなった平和な世界の探索とかいうシチュエーションで文字数稼いで済ませりゃ良い」

「まるで日本のJRPGみたいなサービス提供ね」

「今の読者なんて、魔王と戦うシーンで白熱した描写なんて求めてねえからな。適当に効果音でキンキンキンキンとかつけておきゃ適当にバズって評判は良くなる」

「小説界隈的には、随分と世知辛い世の中ね〜」

「どうせ武器を手に入れて噛ませ犬に該当するような絶妙な強さの魔物を数体倒して〜とか、今の読者たちは見飽きているだろうし、その辺は『俺たちはその後、血反吐吐くような修業を経て、そして2年後――』とか書いておけば、レベリングシーンなんて簡単にスキップできるぞ」

「小説ならではの以下省略ネタね」


 この世界が小説でできているというのであれば、それを逆手に取るというのは最初に考える手段。使えるものは何でも利用するのが俺のやり方だ。


「というわけで、今回の物語の要である魔王くんに来てもらったわけだけどね」

「こ、こんにちわ……」

「ふぁっ!!!???????????????」


 あ、またこいつ無駄なリアクションで文字数稼いでやがる。

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