第1437話 初!50人ダンジョン攻略のパーティ決め!
それは文字通り歩く超巨大リクガメの背中に作られたバトルフィールド型ダンジョンだ。
他のダンジョンとは一線を画し、60層という括りはなく、59ウェーブという現象でモンスターが次々と襲ってくる。(最奥60階層だけはウェーブ無し)
後はエクストラダンジョンの〈試練の門塔ダンジョン〉、通称〈道場〉にも似ているな。
だがここは上級。
環境対策は必須だ。
なんと動くリクガメ、こいつの走行はかなり速い。あと背中に乗っている人を考慮しない。爆走と言っても過言ではないのではなかろうか?
そのためグラングラン揺れる環境で戦わなければならず、例えば遠距離攻撃の命中率や、避けタンクの回避力に大きな影響を与えるのである。あかん。
どうかおとなしくしてもらって。
そこで使用するのが、最後の救済アイテムだ!
その名も―――〈鎮静の秘薬〉!
文字通り強力な鎮静効果でこの爆走するカメさんをおとなしくしてもらい、戦いやすい環境で攻略して行くのがセオリーとなる。
このダンジョンはまさに物量を体現するフィールド。
まだ最上級ダンジョンに行っていないはずなのに、ほぼレイド戦なダンジョンだ。
ぶっちゃけ5人だとクールタイムとMPが持たない。というか物量の波に負ける。
故に、攻略にはそれ相応の大人数が求められたりする。集団戦必須ダンジョンなんだ。それでも連携や隊列などをしっかり組んでいない烏合の衆だと負ける場合も少なくない。逆に言えば連携が上手く行けば突破できるダンジョン。
クラス対抗戦の団体戦の練習の場としては、悪くない環境なんだ。
手っ取り早く連携の腕が磨ける。
じゃんじゃん来るウェーブをみんなで協力して攻略していき、ガッツと勇気と友情を育むのだ。すると不思議なことに、59ウェーブと最奥のボスを倒した時、連携に磨きが掛かっているという状態になる、と思う。
もちろん俺も一緒に谷に落ちて指導する。負けなければ強くなれるぞ!
「ということで、これから3週間以内に、この〈亀ダン〉を攻略しーー! クラス対抗戦に備えるぞーーー!」
「「「「おおーー!」」」」
「絶対やりすぎだと思うのだけど」
「まあまあ、良いじゃないですかシエラさん。これは1年生の攻略者の証集めも兼ねているのですから」
「……でもねアイギス。いつの間にか膨れ上がって50人規模になっているのよ?」
「えっと、あはは」
大盛り上がりの中、シエラとアイギスがこそこそなにかを話している。
シエラの目が若干ジト目なんだ。これはテンションが上がる!
アイギス頑張れ! もうちょっとで完璧なジト目の完成なんだ!
だが、残念ながらシエラのジト目は完成しなかった。……無念。
「ゼフィルス! チーム分けはどうするの? せっかくだから1年生と合同にしましょうよ!」
「それはいいな! よし、早速クジを作るか!」
「わたくしゼフィルス様とご一緒してみたいですわ!」
「ゼフィルス様、私とお嬢様が離ればなれというのは看過できません」
ラナとノーアの言葉に俺はノリノリでクジを纏める。
クラリスはノーアとセットがよろしいと。さてどうしようか。
そう、クラス対抗戦というのだからクラスの30人で潜るのかと思いきや、実はここには1年生の〈エデン〉メンバーズもいる。
あと、ライバルなはずの〈2組〉のギルドメンバーもいたりする。
「ん。ミュー、おひさ」
「カルア、ひさびさ」
ほら、あそこでクラスが別れてしまってから初の一緒ダンジョンで盛り上がっている(?)カルアとミューの姿も見える。両手タッチに和み度が深い。さらに。
「うふふ。またゼフィルスさんと一緒にダンジョンに潜れるなんて嬉しいわ。ねぇゼフィルスさん、一緒のパーティにならない?」
「ダメよ、タバサ先生」
そう俺を誘惑してくるタバサ先生。シエラが止めなければ思わずクジを取り落としてOKと言ってしまいそうだったぜ。
そう、実はタバサ先生も一緒に潜るのだ! 素晴らしい。
理由はこの〈亀ダン〉。ここはまだ〈攻略先生委員会〉も〈ハンター委員会〉も、そして〈救護委員会〉も攻略したことのないダンジョンだからである。
要は調査の一環、調査員ポジションでの参加だ。
ここだけはマップの提出など、他の公式ギルドに俺がしている援助があまり意味のなさないところだからな。フィールド小さいし。
学園としては、学生のみ攻略しており、大人が全く攻略出来ていないダンジョンはあかん。という方針なのだが、いかんせん人手がまだまだ足りなくて〈亀ダン〉の攻略が滞っている状態だ。
そこで大人数で〈亀ダン〉にチャレンジする〈エデン〉、じゃなくて学生に協力して一緒に攻略し、大人も攻略出来ているという実績作りをしようというのが学園の狙いらしい。
ただ〈ハンター委員会〉と〈救護委員会〉から派遣された大人はゼロ。
ミューとラムダが居れば、大人じゃなくても体裁は取れるらしい。
でもタバサ先生を貸してくれたのは嬉しすぎるので、これでいいのだ。
これで参加者は。
〈戦闘課2年1組〉=30人。
〈戦闘課2年2組〉のカルア、サチ、エミ、ユウカ、ラウ。
〈支援課2年1組〉のニーコ、カイリ。
〈留学生〉のクイナダ。
〈戦闘課1年1組〉のノーア、クラリス、アリス、キキョウ、アルテ、ヴァン、サーシャ、カグヤ、シュミネ、ナキキ、ミジュ
〈攻略先生委員会〉のタバサ先生。
合計人数は50人。
なぜ1年生がいるのか。2年2組や留学生も一緒なの? と思うだろう。
だが、細かいことはいいんだよ!
それに〈亀ダン〉は攻略した学生が未だ皆無なダンジョン!
どうせ攻略するのだからみんなで攻略した方が手間がなくて楽!
というわけで俺たちは、この50人のメンバーで出発することに決めたのだった。
ちなみにパーティ決めは一悶着あったが、特定の誰かと組みたい人は一緒に組んだ状態でクジ引きに参加してもらったよ。
ただのクジ引きにするとサチ、エミ、ユウカやレグラム、オリヒメさんのようにバラバラになると力を発揮できないタイプのメンバーや、ラナと従者組など離れるのはNGというメンバーも居るため、結局ペアやトリオを組んでクジ引きはOKになった。
ノーアとクラリスもペアにしたのでなんとかなったよ。
ただ俺とは別のパーティに行ってしまったけどな。
俺のパーティは、俺、ラムダ、ヴァン、タバサ先生、アイギスに決まった。
タバサ先生が俺と一緒のパーティになったのは全くの偶然なのだから凄い。
「ゼフィルスさんと一緒のパーティになれて、とても嬉しいわ」
「俺もタバサ先生と一緒で嬉しいです!」
タバサ先生が一瞬で俺のお隣に!
正面のラナとシエラがなんとも言えなさそうな顔でタバサ先生を見つめています。
ラナ、ぐぬぬという顔でクジを見つめる目がすごく悔しそうだ。シズ、早くラナごと回収して……え? 今回ラナとシズは別のパーティになった? あかん!
早くパーティごとに集まって交流してもらおう。
「ヴァン君で良かったですか? 自分はラムダ。〈戦闘課2年1組〉に所属しています。今回はアタッカーとして入ります」
「はっ! ご高名はかねがね! 自分はヴァンであっているであります! タンクを務めさせていただきます! よろしくお願いするであります!」
「こちらこそよろしく。ヴァン殿と呼んでも良いか?」
「もちろんでありますラムダ先輩!」
ラムダとヴァンのところは平和そう。なぜか羨ましくなったのはなぜだろう?
「アイギスさん、負けちゃダメですわよ? ダメージディーラーはあなたなのですからしっかり自分の良いところをアピールするのですわ!」
「ありがとうございますリーナさん。頑張ってみます」
向こうではリーナに励まされたアイギスが気合いを入れている?
みんなで行くんだよ?
それからも色々あったクジ引きはなんとか終わり、俺たちはいよいよダンジョンに潜ることとなる。
「ここに入ダンすればすぐに戦闘だ! みんな〈転移水晶〉 は持ったな!? 危ない時はすぐに帰還しろ! それじゃあ行くぞ! 〈亀ダン〉合同攻略部隊、出発だーーーー!!」
「「「「「おおー!!」」」」」
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〈亀ダン〉メンバー
1班ゼフィルス、ラムダ、ヴァン、タバサ先生、アイギス。
2班ラナ、エステル、パメラ、アリス、キキョウ、
3班シエラ、レグラム、オリヒメ、ノーア、クラリス、
4班カルア、リカ、ミュー、サーシャ、カグヤ、
5班ルル、シェリア、ラクリッテ、ノエル、アルテ、
6班リーナ、ハク、メルト、ミサト、シャロン、
7班セレスタン、ニーコ、トモヨ、ラウ、アイシャ、
8班カタリナ、フラーミナ、ロゼッタ、ルキア、クイナダ、
9班シズ、カイリ、シュミネ、ナキキ、ミジュ、
10班エリサ、フィナ、サチ、エミ、ユウカ、
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