第1421話 攻略順調!道中で出会う〈ホネデス〉VS筋肉
〈山ダン〉を攻略した俺たちは、ノリに乗った。
「次は私たちの番だよー!」
「気合い入れて行くですの!」
人が居るので先にノーアたちに1層へ転移してもらい、ボスを復活。
俺とトモヨは
カグヤやサーシャが凄まじく気合いを入れているな。頼もしい。
そして戻ってみると、待機していた3組のパーティがなんか震えている。
「も、もう戻ってきたのか!?」
「まだ入ってから10分しか!?」
「え、え、え? 攻略、した? 現実なのか?」
「俺、第三形態までいけない……」
「まさか、本当に全員攻略しちゃうのか!? いっちねんせいが!?」
「俺、速報流してみる!」
攻略が完了した俺たちを見て愕然としているのが印象的だ。本当にあの〈エルダートレディアン〉に負けた、のか? まあ第二形態までは結構強いからな。
いや、今はメンバーたちの攻略に集中しよう。
「残りの攻略が終わっていないメンバーは9人だから、俺とトモヨがフォローして残り3回で終わりかな」
「だね! 今の手応え的に楽勝だよ!」
「ストレートで終わるのが前提……っ! やっぱり〈エデン〉の
俺とトモヨで予定を立てていたらすぐ近くにいたクイナダがなんかおののいていた。俺とトモヨがいれば本当にわけないよ?
有言実行でそれから3戦。
俺とトモヨの他に3人ずつ潜ってもらい、全てのボス戦を勝利して全員に攻略者の証をゲットしてもらったのは言うまでもない。
ただ
最後のシュミネ、ナキキ、ミジュのキャリーが無事終わった時なんて、ボス部屋の門から凄まじいざわめきが聞こえてきたからな。最後なんて7組くらいいたんじゃなかろうか?
ということでみんな〈山ダン〉の攻略者の証を手に入れて、俺たちは帰還した。
それからもガンガン攻略。
カイリとサティナさんが合流してくれて、そのまま〈島ダン〉へと突入。
ここは飛行系のモンスターが多くレベル上げに向かないのでさっさと攻略して行った。
久しぶりに5層守護型ボスの〈鳥になりたかったロボット〉、通称〈鳥ロボ〉にも挨拶に行ったけど、すでにやられていたのは悲しかったなぁ。
あの〈鳥ロボ〉、今では「飛行パーツをドロップする唯一のボス」と言われ、狩られまくっているそうだ。もう会うことは出来ないのかもしれないな。
なぜか脳内で『トリサンニナレナーイ』というセリフが再生されたんだぜ。なんとなく〈鳥ロボ〉に敬礼!
ただ奥の方、特に40層から先のボスはさすがにまだ健在で、俺たちもとても楽しめたよ。
だが、徘徊型の〈音速ロック鳥〉がいる56層は行くのを中止。
さすがにあれは五段階目ツリーじゃないと安全マージンを確保出来ないという話になって55層で一旦帰還、そのままランク5〈夜ダン〉へと突入した。
こっちの方が周回向きのエリアボスがいるからな。ここで五段階目ツリーを開放してやるぜ。
途中15層のレアイベントボスのいる隠し部屋を覗いてみたのだが、ここで思わぬ遭遇を果たす。
「あれ? アラン?」
「ぬ? おお、ゼフィルスではないか! 今日もいい筋肉だな!」
「おう。1ヶ月ぶりか? なんか久々って感じするな!」
そこに居たのはAランクギルド〈筋肉は最強だ〉のギルドマスター、アランだったのだ。最近あまり噂を聞かなくなっていたが元気そうでなにより。
「あれは、筋肉のギルドですの! 淑女は見ちゃダメですの!」
「ひえ、こんなところで筋肉なんて見たら、お化けと見間違えちゃうよ!」
なぜかサーシャとカグヤを筆頭に新メンバーの何人かがビビっていたので、俺だけレアイベントボスのボス部屋に入ってアランと話した。筋肉お化け。なぜか聞いたことがある気がする不思議。
「しかし、どうしてこんなところに居るんだ?」
「ふ、なに、俺たちも少し思うことがあってな。ここで手に入る希少なアイテムを欲したのさ」
「そいつは、まさか〈天魔のぬいぐるみ〉なんて言わないよな?」
いや、まさか。筋肉たちがついに【悪魔】に〈転職〉か!?
確かに【サタン】とか完全に肉壁、筋肉防御を駆使して壁になる
十分ありえる。というかここは【悪魔】がいないと開かない扉だ。アランのギルドに【悪魔】がいるのはこれで確定になってしまったぞ。
ちなみに【天使】になることはなぜか思い浮かばなかった。脳が拒絶反応でも起こしたのかもしれない。
しかし、となるとちょっと困ることになるかも?
俺たち〈エデン〉は以前、〈筋肉は最強だ〉から〈天魔のぬいぐるみ〉を譲り受けている。あの時は
果たして。
「いや〈天魔のぬいぐるみ〉ではないな。なんでも〈ホネデスのデスホー〉というアイテムがドロップするらしくてな、それを欲したのだ」
「あ~。あの〈即死〉攻撃ができる回数制限のある砲か」
よかった。どうやら【サタン】への〈転職〉は考えてはいない様子だ。
ちなみに〈ホネデスのデスホー〉とは、要は雑魚モンスター殲滅アイテム。
範囲攻撃で雑魚モンスターを一掃出来る、〈即死〉をばらまくアイテムだ。
〈金箱〉級なだけあり、自分たちが逃げるのではなく、道を空けさせるのがコンセプトのやべぇアイテムである。
まあ、〈エデン〉にはエリサがいるのでいらないけどな。
「というかアランたちってここのボスに勝てるのか? 確かに〈
「むろん、俺たちも何度も失敗したさ。あの〈即死〉は筋肉をも貫通する。だが、俺たち筋肉は諦めなかった。来る日も来る日も突入し、研究を重ねた。そして最近になり、とあるポーションを駆使して倒せる様になったのだ」
マジか! 〈筋肉は最強だ〉ここのホネデスを撃破できるの!?
すげぇな筋肉! しかし〈即死〉に耐性を得るポーションはまだ無かったはず。
もしかしたら攻撃力や素早さを上げて、ちょっぱやで片付ける戦法などを編み出したのかもしれない。
「アラン! 〈天魔のぬいぐるみ〉が当たっちまった! どうする!?」
そこへ駆け込んできた筋肉。
なぜかダブルバイセップスのように両腕で力こぶを作るポーズで走ってくる。
なんだその走り方は!?
おかげでなんか重要な話っぽかったのに、頭に入らなかったぞ。もう
「〈天魔のぬいぐるみ〉か」
「マジで? 〈天魔のぬいぐるみ〉当たっちゃった!?」
やっべ! さっきはセーフだったのがアウトになるかもしれない!?
アランは腕を組んで胸筋を膨らませると、決断する。
「よし、売ってポーション代に当てるぞ」
「マジで?」
〈天魔のぬいぐるみ〉をポーションにしちゃう!?
俺はアランの言動が信じられなかった。
「うむ。今〈天魔のぬいぐるみ〉は凄まじく高値で取引されている。良い収入になったな!」
「だな。みんなにも伝えてくるぜ。高級プロテインを振る舞っても良いんだろう?」
「もちろんだ。しっかり労ってやれ」
「筋肉!」
筋肉はそう叫ぶと例の姿でそのまま走って行った。
「〈天魔のぬいぐるみ〉が収入扱い、だと? 高級プロテイン?」
さすがは筋肉に生きる男たちのギルド。マジパナイ。
と、目を点にしている場合じゃないな。
いらないのならその〈天魔のぬいぐるみ〉、〈エデン〉が貰い受けよう。
「アラン。ならその〈天魔のぬいぐるみ〉、〈エデン〉に売らないか? 大量のポーション、提供出来るぜ?」
「いいのかゼフィルス! 是非頼む! 我らにはポーションが必要なのだ!」
「交渉成立だな」
交渉成立早っ!! ガシッと確かなハンドシェイク。
即断即決がアランの素晴らしいところだ。
後で〈エデン店〉に来てもらうとする。メッセージで話を通しておかなくちゃな!
こうして途中新たな〈天魔のぬいぐるみ〉も確保して、俺たち一行はついにLV30まで育成が可能な、深層へと進入したのだった。
エリアボス周回の始まりだな!
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