第1415話 決着!第三形態オートガードはこうやって抜く
「ぜ、全体攻撃!?」
「本体も攻撃に参加してきたデース!?」
部屋中が真っ白の光に包まれると『慈愛と守護の八障壁』がビリビリ反応しラナのHPがフィードバックを受けて若干削れる。
そう、今まで無反応に近かった本体が全体攻撃を放ったのだ。
第二形態になってもHPが半分に減るまで動き出さない特性があるものだから、〈ダン活〉プレイヤーたちもこれにはかなり意表を突かれたんだよ。
しかもこれ、タメ攻撃でかなりの威力を誇るため、ガードしそこねるとアタッカーが普通にやられるのだからマジ初見殺し。
だが、フィナは防御できてたし、他4人は全員ラナの周りに集まっていて無事だ。
セーフ。
なら、次は反撃だな。
「攻撃が終わるぞ! シズ、『バードデスストライク』、狙いは頭部!」
「はい! 『バードデスストライク』!」
「『フルライトニング・スプライト』!」
「ワァ、ァァ、ァァ、ァァァ」
部屋の光が弱まり、全体攻撃が終わる瞬間を見計らってシズと俺で特大の〈五ツリ〉を発動、これが〈ハンドエル〉の顔面と胸に突き刺さった。
大きなダメージを受け体がグラついた。
「『必殺忍法・分身の術』デース!」
「パメラはガンガン押せ! 雨スキル連発だ!」
「了解デース!」
パメラは消えてしまった分身たちを再召喚。
果敢に本体へ攻撃を仕掛けていく。
「フィナ、大丈夫か!?」
「教官が指示してくれましたから、問題ありません――『宣戦布告』! 『天風』!」
フィナも防御魔法で無事だ。再びヘイトを稼ぐと、今まで一時停止していた掌たちが叩き落とそうと動き始め、追いかけっこが再開された。
「『聖光の宝樹』! 『大聖光の四宝剣』! ――あ、見てゼフィルス、また眷属召喚よ!」
「シズ、『フラッシュ・バン』を撃った後、『デスショット』→『チェーン』→『連射』の〈即死〉連続攻撃で一掃してくれ!」
「やってみます! 『フラッシュ・バン』! 約9割墜落! いきます――『デスショット』! 『チェーン』! 『連射』!」
「「「「――――!?」」」」
再び眷属召喚を始めた〈ハンドエル〉。
20体の戦天使が魔法陣から現れるが、そこへシズが無慈悲な『フラッシュ・バン』炸裂。約17体が〈盲目〉になって落下。ダウンした。
そこに〈即死〉の連射を撃ちまくるシズ! 当たれば確率で即死!
まるでマシンガンの様にドドドドドドドドドと連続で撃たれる〈即死〉の弾丸に、ダウンして避けられない眷属はなすすべも無く4体を残して消えていった。
つっよ!
「やるわねシズ! 『聖光の耀剣』! 『大聖光の四宝剣』! 『大聖光の十宝剣』!」
あ、空中の3体も続いて逝ったな。
ラナの宝剣、強すぎるんだよ。ダウンしていた4体は俺とパメラで一掃し、これで眷属は片付いた。
全体攻撃に気をつけて再び本体を攻撃していき、ついに本体のHPバーが3本目に突入する。
「第三形態だ! みんな、補給しておけ!」
「「はい(デース)」」
「分かったわ!」
「了解です!」
初めてにしてはかなり良いペースだ。
しかし、ここまでならまだ〈マジスロ〉の方が強かったと思うだろう。
その考えは〈ダン活〉プレイヤーもよくしてたなぁ。あの掌が強いのは認めるし天使20体もヤバい。だが、本体もあまり動かないので、タンクと魔法アタッカー4人で遠距離から撃っているだけで第三形態までいけるという戦法もあったので物足りなくなったんだ。
まあ、この第三形態を見れば全然物足りないなんて言えなくなるけどな。
第三形態からは物理アタッカーが必要になるから。
「ワァァァァァァァァ」
〈ハンドエル〉はまた歌ったかと思うと巨大な背中の翼で自身を覆い、すっぽりとその中に収まってしまう。
そして翼が開かれるとそこには先程の姿とは打って変わり、7メートルほどに縮んだ〈ハンドエル〉の姿があった。
しかしその下半身の球体は分離していて、まるで地球の様な姿に変化し〈ハンドエル〉に抱かれていた。
〈ハンドエル〉の下半身は球体が分離した影響か、ワンピース姿になって中は見えない状態だ。
さらに周りに浮かぶハンド、これの大きさは本体が縮んでも変わらず2メートル級を誇り、その数が、4つから16へと増えていた。
「増えすぎじゃないですか?」
「フィナがツッコむほどの驚きよ」
先程まで4つのハンドから時々ダメージを受けながら逃げ回っていたフィナが目を点にしていた。きっと予想以上の多さだったのだろう。とても珍しい光景だ。スクショ撮りたい。
しかし、あれが一斉にフィナを襲えば、さすがにフィナとて避けタンクをするのは難しいかもしれない。
だが、あれの半数は別の使い方をされるのだ。
「ワァァァァ」
そして〈ハンドエル〉が球体を3つの手で真上に持ってくると、それは起こる。
「! 『ディフェンス』!」
「ワァァァァ!」
「きゃ!?」
それは、アタック。
バレーボールのアタックを思わせる一撃だ。
それにより10メートル級の球体が一気にラナとシズの方へ飛んできたのだ。
だが、想定内。
俺はラナたちの前に割り込んで『ディフェンス』で弾き飛ばした。
「ゼフィルス!」
「大丈夫だ!」
「ワァァァァ!」
しかしここからが大問題。
球体は再び16のハンドたちによってポンポン弾かれたかと思うと、再び〈ハンドエル〉の真上に持っていかれ、アタックしてきたのである。
そう、第三形態とは、この操られる16のハンドからアタックされる
「防御するわ! 『聖守の障壁』!」
「! パメラ避けろ! 身代わり反撃だ!」
「ひぇ!? 『忍法・身代わり反撃の術』デース!」
再びアタックされた場所はラナの方では無く、今度はパメラの所だった。
ボスに張り付いて攻撃を加えていたパメラに、球体が一度壁にバウンドして跳ね返り、パメラを襲ったのだ。
しかし、ギリギリの所でスキル発動。
分身3体が吹き飛んで消えたが、パメラはボスの真上に登場した。
「ひえ!? こなくそデース! 『忍法・
ドカーンと強烈な爆発が〈ハンドエル〉の後頭部を直撃する。
「ナイス! 『
「くっ、結構、キツいです!」
タンクのフィナはハンド5つから8つに追い回されていた。
球体アタックでラナやパメラを狙ったくせにタゲはフィナ。
これがこのボスのとんでも厄介なところで、あの球体のアタックは無差別攻撃なのだ。ラナの宝剣と同じだ。
しかも、誰も居ない意味不明の場所へアタックする場合もある。
「ワァァァァ!」
またアタック。今度は球体が誰も居ない部屋の四隅へ飛ぶと、そのまま部屋中を跳ね回り始めた。
普通に危ない。
速すぎて回り込むのも一苦労だ。ボールがデカすぎて抱えることも止めることもできない。防御スキルを使うと弾かれて飛んでいってしまうのだ。
さらに。
「ほ、本体が動くデース!」
「気をつけろパメラ! 反撃のハンドが来るぞ!」
「へ? うひゃデース!?」
「パメラー!?」
そう本体まで移動を開始。
先程まで置物だった〈ハンドエル〉も移動するようになって、しかもパメラですら届かないような上空へと逃げてしまったのだ。
さらにそのハンドも厄介。
16に増えたハンドもタゲのフィナだけじゃなく、範囲攻撃を周りに振りまいているような動きで暴れ動いているのだ。
それだけじゃない。
「げっ、ここで全体攻撃か! 全員避難! ラナ――『慈愛と守護の八障壁』だ!」
「うん!」
「フィナ!」
「こっちは大丈夫です! 『ミカエルの聖法』!」
「『慈愛と守護の八障壁』!」
「ワァァァァ!!」
また、本体が例の全体攻撃を仕掛けるときもある。
この時ばかりは球体とハンドの動きも止まっているので分かりやすいけどな。
〈ハンドエル〉第三形態。
これは本体、ハンド、球体がそれぞれ部屋中を動き回り、範囲攻撃と全体攻撃を振りまき続ける、もうとんでもない形態なのだ。
「おま、その
さらにだ。
「あの本体を撃ちおとします『フェニックスショット』! 『バードデスストライク』!」
シズがもうかなり地上から離れてしまった本体を狙撃するが。
しかしハンド2つが割り込んで来たのだ。よって本体には届かない。
そう、本体には強力なオートガードまでついているんだよ。
「な! あれはいったいどうやって攻略すればいいのですか!?」
シズの嘆く気持ちも分かるな。本体上空でオートガード付きはダメだって。
よし、そろそろ反撃しよう。
「大体分かった。そろそろ反撃するぞ!」
「できるのゼフィルス!?」
俺が反撃を宣言すると、ラナが目を点にして聞いてくる。可愛い。
じゃないじゃない。集中しないとな。
「この世に攻略できないボスはいない! 攻略の鍵は――これだ! 『聖剣』!」
そう言って俺は1つの地上付近にいたハンドを斬った。
斬った後にズドンと衝撃を食らい一瞬行動不能になるハンド、そこへ到達する球体。
そして、球体はハンドを跳ね飛ばした。
「天使の掌フレンドリーファイアだ!」
「大きな手が轢かれたデース!?」
「球体が止まります!」
まずは一手。
球体は常にハンドと壁に弾かれる形で部屋の中を跳ね回っている。こいつは危険なんで真っ先に止めたい。なら、弾こうとするハンドへ攻撃してやればいい。
すると、タイミングが良ければハンドはこのように球体に轢かれてしまうのだ。
これにより、球体も勢いを失ってコンコンと何バウンドかしたのち、ゴロゴロと部屋の隅へと転がっていく。
「ワァァァァ!」
すると〈ハンドエル〉はこれをリカバリーしようとハンドたちを派遣するわけだが。
ここだ!
「シズ! 『冥王の威圧』だ!」
「! ――『冥王の威圧』!」
『冥王の威圧』は回避力低下のデバフだ。
威圧により相手にプレッシャーを掛け、動きを鈍くするスキルだな。
しかも〈五ツリ〉なので威力は相当だ。これを受け、球体に群がろうとしたハンドたちの動きも若干精細さを欠いていく。
「『ライトニングバースト』! 『サンダーボルト』! いくぞー『スターオブソード』!」
そこへ俺が強襲。一気にハンドたちに攻撃を加えていった。
すると。
「あ! 本体がダメージを受けているデース!」
「ということは! ではこの手は!」
「これ本体の一部ってことね!」
ラナ正解。
ヒントは今までにもあった。切り離されているから勘違いしやすいんだが、ガードするとフィードバックを受けるのは〈ダン活〉では常識。〈ハンドエル〉がハンドで防御したときもフィードバックを受けていた。つまり、ハンドに攻撃しても本体にダメージがいくというわけだ。
しかも、防御していなければフィードバックもかなりの数値で、もう本体に直接攻撃しているのと変わらないダメージを出せるのである。
〈ダン活〉プレイヤーからは「見ろ、やっぱり手が本体じゃないか!」と言われていたっけ。
つまりだ。第三形態になると狙うのは上空にいる
ハンドを狙えなんだよ。
これにより、先程から遠距離攻撃でなんとか本体に攻撃を当てようとしていたパメラとシズが方向修正。
球体に群がろうとするハンドを攻撃し始める。
「これは、楽です! さっきよりも、断然!」
「ハンドも球体も攻撃がガクッと減っているデース!」
「おうよ! 全員でこの球体をなんとしても守り抜け! 寄ってきたハンドたちはどんどん撃ち落とし、弾き返すんだ!」
「「了解です(デース)!」」
「わかったわ! そうと分かればこっちのものよ! 『大聖光の十宝剣』!」
「ワァァァァ!」
「『シャインライトニング』!」
本体も全体攻撃をしてきて厄介とはいえ、〈ハンドエル〉の主な攻撃方法は
これをバラバラに動かれるから厄介だという話だ。ならば、1つに纏めてしまえば良いんだよ。
相変わらずフィナは8つのハンドを引きつけてタンクをしており、たまに本体に近寄って挑発スキルを使ったりして牽制。
俺たちはその間に
ハンドは本体の一部なので本体とHPを共有している。
消えはしないが、ダメージを受けるとノックバックはするしよく吹き飛ぶので、シズとパメラ、俺、ラナという手数で防げば球体を奪われることはなかなかなかった。
奪われたとしても、
時々本体から全体攻撃が降ってくるが、それはすでに予備動作が割れているので防ぐのは容易い。
ただHPが10%を切った時に起こった怒り状態はやばかった。
もう球体なんてどうでも良いとばかりに16のハンドが無差別攻撃を繰り出して部屋中で大暴れするのだ。
さすがに暴れまくるハンドに攻撃を加えることもなかなか出来ず、その時だけはフィナの『ミカエル加護大結界』の中で怒りが収まるのを待たなくちゃいけなかったぜ。
「怒りモードが終わるぞ! ここからは一気に決める!」
「はい! 『優雅に的確に速やかに制圧』!」
怒りモードが終われば反撃に移り、最後はシズがユニークスキル『優雅に的確に速やかに制圧』を使った二丁大型銃の射撃でハンドを打ち抜きまくって、俺の『フルライトニング・スプライト』、パメラの『必殺忍法・分身の術』からの『忍法・影分身雷竜落とし』でハンドたちの動きを止め、そこにラナが『大聖光の十宝剣』でトドメを刺し、とうとう〈ハンドエル〉のHPをゼロにした。
「HP、ゼロを確認、デス!」
「おっしゃーーー!」
「ワァ……ァァ…………」
エフェクトを振りまきながら16のハンドが落ち、続いて〈ハンドエル〉が地上に落っこちた。そして膨大なエフェクトを発生させて沈んで消えていったのだった。
その後には、〈金箱〉が残されていたんだ! ふははははは!
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