第1416話 〈金箱〉回!ラナと共同作業で神が降りた!





「おっしゃ〈金箱〉もゲットーーーーー!!」


「今回は私の番よ! フィナ、いいわね?」


「はい。全く問題ありません」


 いやいやいや!? 俺を差し置いて全く問題無いとはどういうことだ!?

 まさかのラナの要望に天から降りてきたフィナがコクリと頷いた。


「シズもパメラもいいわね?」


「そうですね。よろしいかと」


「私は構わないデース!」


 あれ!? 一瞬で外堀が埋められた!?

 ラナの王女としての手腕を見せられた気分。このメンバーは失敗だったか!?


 俺の〈金箱〉が遠ざかって行く予感!

 しかし、どうやらそれは俺の勘違いだったようだ。


「ほ、ほらゼフィルス、何やっているのよ。私の隣に来なさい」


「……あれ?」


「一緒に開けるのよ!」


「!」


 なんだって!? ラナが金箱の前に座り、左半分に寄って俺を誘う。

 そういうことか、謎は解けた。解けたんだぜ!

 最初にフィナに許可を取った理由、あのレアイベントボスの共同作業で俺がフィナと一緒に開けたからか!

 そういえば、あれからラナやカルアが〈金箱〉を開けることはあれど、共同作業はやっていなかった気がする!


 となるとフィナのさっきの「全く問題ありません」の言葉もちょっと意味が違ってくる? その頭に「姉さまいないですし」とか付きそうな予感。

 エリサ、これを知ったら泣いちゃうのではなかろうか?


「あ! 〈金箱〉出てるわ!」


「ボス撃破おめでとうなのです!」


「いつも通り、ゼフィルス殿たちは一発突破でしたね」


 そこにエリサ、ルル、シェリアの言葉が聞こえてくる。

 どうやらボス部屋の入り口が開いて他のメンバーも来た予感。

 しかし、悲しいかな。エリサは俺とラナが並んで宝箱の前にいてもなんの思いも抱いていない様子! 知らない方が幸せなこともあるのだ。


 あと、しゃがむのが早かったかもしれない。

 みんなが集まるまでなんかこの体勢の予感。

 さっきからラナが横にくっついているのですが?

 なんだか一度立ち上がるのはダメな雰囲気。

 なんで俺みんなが来る前に開ける体勢になっちゃったんだ? ラナが来てって言ったせいである。……可愛かったから許そう。そんなことが頭を巡った。


「また〈金箱〉ね。それで、今回はラナ殿下と、なのね」


「お、おう。どうだシエラ。中身が気になるだろう?」


「そうね」


 シエラの反応がやや薄くない?

 あと微妙にジト目なんだが? 俺は心の中で少しだけテンションが上がった。


「こほん。これで全員かしら?」


「はい。ラナ様、ささっと開けてください」


「そ、そんな勿体ないことはしないわよシズ。こ、こういうのはね、慎重に開けないといけないものなの、決まってるのよ?」


 シズが急かすがラナの言うとおり。

 急いてはことを仕損じるとも言う。

 まずはじっくりお祈りだ。


「いくぞラナ」


「いいわゼフィルス」


「「〈幸猫様〉〈仔猫様〉いつもありがとうございます。今回も良いものをお願いします!」」


 届けこの願いと想い!

 そしてください、〈幸猫様〉と〈仔猫様〉の幸運を!

 いざ、オープン!


 ラナと俺で宝箱の両端を持ち、ゆっくりと開く。

 みんなの注目が宝箱に集中したのが分かった。

 頼むぞ~。良いの来てください!

 ラナと一緒に開けるのだ。なんか良いものがくる予感!


「レシピね!」


「おっしゃ! エステル、〈幼若竜〉を頼む!」


「任されました――『解読』!」


 俺がボス戦の時に預かっていた〈幼若竜〉を取り出してエステルに渡す。

 エステルが〈幼若竜〉を使えばレシピの文字が読めるように変化した。

 そこにあったのは――またもや装備シリーズの全集! しかも、これは!


「これは〈神装剣士しんそうけんしシリーズ〉の全集レシピですって!?」


「おお!?」


 ラナの声と同時に全員がある人物の方へ振り返る。


「へ? 私?」


「それってサチっちの職業ジョブ専用装備ってこと!?」


「まさか! こんなものまであるなんて」


 その人物はサチ。

 お察しの通り、【神装】シリーズと呼ばれている職業ジョブ、その中でも【神装剣士】に就いている〈エデン〉のメンバーだ。

 名前もぴったり。

 もうこれは、サチの専用装備に違いない。

 みんながみんなそう思った。そして、正解だ。


「装備の特性なんかを見る限り、間違いなく【神装剣士】専用の装備だな。なんか【神装剣士】に就いている時に効果を発揮するスキルもあるし、かなり強力みたいだぞ」


「ほんと!!」


「うわぁ、この装備すごー!」


「おめでとうサチ」


 さっきまで呆然としていたが、俺が軽くレシピの内容を告げるとサチが即で食いついた。

 食いつかざるを得ないだろう。

 それほどの衝撃的装備だったからな。


 実は【神装】シリーズと呼ばれている職業ジョブ群は、〈神装〉系を装備している時に真価を発揮する職業ジョブでもある。

 つまり、最初から専用装備が用意されている職業ジョブ群なのだ。

〈神装〉を装備している時、さらにパワーアップしてしまう。

 ただでさえ強いのにさらに強くなるの!? とびっくりだ。


 ノーカテゴリーから派生する一般職の中で最強格と言われていただけあり、その能力はとんでもないものになる。

 この専用装備が上級中位ダンジョンからドロップする影響で、この世界ではこれまで【神装】系の職業ジョブの価値というか評価が低かったのだが、その評価もガラッと180度覆る予感。


 詳しくはまたの機会に説明するが、今回のこれはまさに大当たりだったな。

 この〈雲上の聖域ダンジョン〉は天使や聖獣など、神に近しいモンスターが生息するためか〈神装〉装備をドロップする。

 しばらくはここを周回し、残りのエミとユウカの装備を集めてみようか。

 ……「妖怪・物欲センサー」に引っかからなければ良いが。


 さて、そろそろ次の行動に移ろう。


「それじゃ、全員攻略者の証を獲得するぞ! 周回の時間だ!」


「「「「おおー!」」」」


 全員に最奥のボスの攻略法を伝授。

 初見ではなかなかに難しいと思われるので俺が直接参加しながら教えることにした。

 全員が攻略者の証をゲットするまで、1日も掛からなかったぜ。




 ―――――――――――

 後書き失礼いたします。


〈ダン活〉小説10巻の発売日まであと1日!

 電子書籍であれば本日24時から配信です!


 よろしくお願いいたします!


 あと明日は掲示板。

 お楽しみに!



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