第1402話 困った時はシエラに相談!今日もサービス感謝
どこに行くか迷ったときは相談してみるのが吉。
もちろん相談するのは〈エデン〉の頼りになるサブマスター、シエラである。
「ということなんだシエラ。ランク3は除外するとして、攻略のしやすいランク4に行くか、それともランク7以上に行くか、どっちが良いと思う?」
「…………」
俺の言葉にシエラは最初、無言でジト目をくれるだけだった。
なんだか分からないがやったぜ!
じゃないじゃない。ジト目のサービスは嬉しい、でも今欲しいのは方針だ。夏休みなんて楽しい時間はすぐに過ぎ去ってしまうからな!
そんな俺の気持ちが伝わったのかもしれない。
シエラは一度ジト目をやめて目を瞑り、溜め息1つ吐いたあと答えてくれた。
「夏休み中に3つの上級中位ダンジョンを攻略する、いえ、できる気なのね」
「もちろんだ! だが今は最後の1つで悩み中だ。シエラ、意見を聞かせてくれ!」
〈謎ダン〉と〈守氷ダン〉、あともう1つで計3つだ。簡単な計算だな!
「悩む部分がだいぶズレていると思うのだけど……これは今更ね」
そうシエラはもう一度溜め息を吐くと、答えをくれる。
「ゼフィルス、ランク4にしておきなさい」
「おお~、その心は?」
「みんながゼフィルスみたいじゃないのよ?」
へ? どういう意味だろう?
みんな十分強いと思うけど?
「夏休みが終わればクラス対抗戦も待っているわ」
「ああ。楽しみだな!」
「とはいえ、今年は留学生がいるから、2年生はちょっと違う催しになると聞いているけど」
「楽しみだな!」
そう、実は例年行なわれているクラス対抗戦だが、今年はクラスが増えに増え、さらに留学生まで受け入れているため少しだけ仕様変更が為される予定だ。要は特別トーナメントだ。今後は毎年これを行なうのか、それとも元のクラス対抗戦で行くのかはまだ分からないらしい。つまり今回のイベントは学園も手探りということだ。
どんな試合が待っているのか、あまりにも楽しみすぎる!
「通じてないわね……。いいゼフィルス? 要は私たちが強くなりすぎるとクラス対抗戦に影響が出るわ、ということよ」
「……ん?」
「ひょっとしたらシードを超えて、出場停止命令が出されてもおかしくはないわね」
「ええ!? な、なぜだ!?」
なぜ? ホワイ? なぜ?
「私たちが強すぎるからよ。そんなところに他のクラスを当てても実力差が明確すぎて結果が明らかでしょ? 私たちなんか手加減する必要すら出てきてしまうのよ?」
手加減。
それは、ちょっと困る。不完全燃焼待ったなしだ。
思いっきり暴れ――じゃなくてはしゃぎまくれないのなら楽しさは半減。
なるほど、シエラが何を言いたいのか見えてきたな。
「つまりシエラは、今はあまり力を付けすぎるな、と言いたいんだな?」
「……手遅れかもしれないけどね」
こくりと頷いたシエラが小声で言った。
手遅れ……。俺たちのLVは大体41。他の一般ギルドで上級中位ダンジョンに入ダンしている所、今の所無し。
――oh。
上級下位ダンジョンで上げられるLVの上限が35なので、上級中位ダンジョンのランク7を攻略してレベル上げしてしまうと、その差はLV15になる。
俺たちのLVは50だ! 上級職のLVの折り返し地点!
だがLVが15も離れるとそのステータスはかなりの差がついてしまう。
……シエラが「待った、でももう手遅れかも」と言うのも分かる。
え? じゃあクラス対抗戦はどうなるの?
「とりあえず、ランク7以上なんて行く人たちは絶対いないのだからせめてランク4のダンジョンに止めておきなさい。いえ、それでもまだ誰も居ないのだけど」
「りょ、了解~」
あんまり1ギルドで先へ進みすぎると大変。
シエラの忠告で俺はそのことを思い出した。
うん。ランク7以上はまた今度だな。
今はランク4を進めつつ、他のギルドが早く追いついてくれるよう情報を拡散しよう。地図情報とか。
「あと、ランク4に行くのはいいけれど。新メンバー組のことも忘れちゃダメよ」
「分かってるさ。そっちもレベル上げと攻略、同時に進めよう」
「……あとゼフィルス。ランク3を除外したこと、ありがとね」
「――おう!」
ということで方針は決まった。
俺は全員が集まるギルドハウスの大部屋でブリーフィングを行ない、宣言する。
「みんな、昨日は〈海ダン〉合宿お疲れ様!」
「「「「お疲れ様ー」」」」
「すごく楽しかったな! また今度行こう! それとエクストラダンジョンばかり行くのもいいが、上級中位ダンジョンの攻略を進めたい者もいるだろう。ということで今日からは新しい上級中位ダンジョン攻略を始めることとする! 1年生は上級下位ダンジョンの攻略だ」
「「「「おおー!」」」」
「新しいダンジョンに行くのね!」
「どんなダンジョンがルルを待っているのか、とても楽しみなのです!」
「〈守氷ダン〉で新たな攻略の仕方を学びましたもの、次も楽勝で進めますわ!」
「ひえ~、先輩方はやっぱり凄いですね~」
「怯んではいられないよアルテ。聞いた話だけど、もう結構上級ダンジョンに突入している学生も多くって、ボス周回もできるタイミングが少ないみたいだからね」
「レベル上げが難しくなってきたですの」
うむ。実はカグヤやサーシャの言うとおり、気が付けば結構なギルドが上級ダンジョンに乗り出しており、今や上級下位ダンジョンの若いランクはすし詰め状態。
高いランクのダンジョンでも最奥に人がいる状態となっている。
〈雷ダン〉の〈クマライダー・バワー〉の一件で最奥ボスは何度も挑戦されているし、〈氷ダン〉はこれまで何度も最奥ボスが撃破されている。
〈火口ダン〉はまだだが、ここを1年生たちがいきなり攻略するにはハードすぎるだろう。
しかし、問題は無い。
「サティナさん、レベル上げ、頼めるか?」
「うん。任せてほしいな」
「サティナさん! ということは、〈フルート〉ですわね!」
「そう。サティナさんは今まで他のギルドで培った経験がある。エリアボスについてのレベル上げではこれ以上の人材はなかなか見つからないだろう。〈フルート〉も全部1年生に貸すから、どんどんレベル上げしていってほしい!」
「「「了解!」」」
【アイテムエンハンス】で〈フルート〉の回数を増やせるサティナさんは、少し前まで他のギルドに引っ張りだこだった。
だが、今では他の【アイテムエンハンス】が育ってきたため、お休みがもらえるようになったのだ。これで〈エデン〉のメンバーに集中できる。
というわけでサティナさんを1年生たちに預ける。
1年生の方針を出し終えたところでラナが待ちきれないわ、という雰囲気で俺に聞いてきた。
「ねぇゼフィルス、私たちはどこのダンジョンに行くの?」
「おう。そうだったな。俺たちが行くのは上級中位ダンジョンのランク4。天使系や聖獣系といったモンスターが登場する――〈
ランク7以上のダンジョンほどではないが、ここもなかなか手強いダンジョンだぜ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます