第1399話 〈夜のモンスターハント〉結果発表!優勝は―
「あ、ゼフィルス君たちだー」
「フィナちゃんの裏切りものー!」
最初遭遇したのはノエルとエリサなどが所属するチーム。
合流するとスケルトンやゴーストを相手にライブステージで盛り上がっていたノエルが手を振ってくるので返す。
おかしいな、ここだけアイドルのステージになってるぞ?
あとフィナは俺にくっついてエリサを挑発するのはやめてあげて。エリサがハンカチでも噛みそうな顔してるから。でもシエラのジト目はありがとうございます!
「はいはい、ノエルはそのまま続けてー」
「ゼフィルス君がこの状況に全く動じてないよ!?」
「この状況はいったいどうなっているのでしょうか?」
ふ、ハンナもリーナもまだまだ甘いな。ありのままを受け入れるんだ。パシャパシャ。
まあ、多分ノエルが『アピールソング』とかの挑発系を使って敵を集めているんだと思うぞ。ほら『ダンス・音符・サークル』で進入を防いでるだけだ。ラクリッテも近くで控えている様子が見える。そして――。
「聴いてください――『
集まって来たお客さんを攻撃!?
スケルトンや幽霊たちは強力な〈四ツリ〉の攻撃スキルになすすべも無く光にされていくー。無論シャッターチャンスだ! パシャパシャ!
うむ、ノエルを彩るかのようにエフェクトの光が舞ってなかなかに綺麗だった。
写真だけ見てもこれがスケルトンたちが消えたエフェクトだと分からないだろう。また凄いのが撮れてしまったんだぜ。
モンスターを一掃すれば安全地帯とばかりに宝箱探しするノエルチームにお礼を言ってその場を離れ、続いては大量のお宝反応がどんどん消えていく場所へと向かうと、そこではニーコが狂喜乱舞していた。
「はっはっは! はーっはっはっは! これは全部ぼくのだ! ぜーんぶぼくのだよー!」
「ニコちゃんが壊れちゃった!」
「ちょっと連れ回し過ぎちゃったかな!?」
「大丈夫、また少ししたら落ち着くよ」
なお、傍観者のサチ、エミ、ユウカはあんまり慌てていない。
いつもの光景の様子だ。
「よー、捗っているみたいだな」
俺はそんなニーコの様子をパシャパシャ撮ってから声を掛ける。
「あ、見回りご苦労様~」
「お宝ゾーンを発見したからね。もう私たちの優勝なんじゃないかな?」
「あ、言っておくけどニコちゃんはスキル使っていないよ。あれは素で見つけたの」
「ほう?」
自信満々の様子。どうやらニーコが【トレジャーハンター】の名に恥じない活躍をしているようだ。見た目は我を失っているようにしか見えないが。
ここはニーコにお宝を任せ、他のメンバーがモンスターを殲滅するという方法で宝箱を集めまくっていた。
優勝候補だな。
優勝候補はまだまだいる。
続いて俺たちが会ったのはリカたちの班。
「エージェント黒猫部隊、ゴー! ―――お宝見っけ、こっちこっち」
「さすがカルアだな」
なんとカルアの『ピーピング』やエージェント黒猫部隊を使ってサーチ&デストロイ&お宝発見という手法を展開していたのだ。
猫は幽霊より強い。
おかげで自由に走り回る猫たちがお宝を次々見つけていた。
夜の運動会かな?
「今日のカルア先輩、気合い入ってる」
「カルア先輩は頼りになる方だったっす!」
「聞けば、去年の〈夜のモンスターハント〉では3位だったらしいですから」
これにはミジュ、ナキキ、シュミネも意外そうだ。1年生がカルアの活躍に感心してるぞ! カルアは無事先輩としての威厳を保てたようだ。
「今年の狙いは〈金箱〉。たくさん見つけるにゃ!」
「「「にゃー!」」」
パシャパシャ。
どうやら去年、〈銀箱〉を当て、意気揚々と1番だと帰ってみたらまさかの3位で撃沈した雪辱に燃えているようだ。語尾がにゃになってリカが密かに悶えているぞ。
ここも優勝候補っと。
だが、やはり最優秀な優勝候補はここだろう。
「こっちよ! なんだか向こうにお宝がある気がするわ!」
「了解しましたラナ様。道を切り開きます――『
「あったデース! こっちに〈金箱〉1個、〈銀箱〉2個、あと〈木箱〉がいっぱいデース!」
「よく見つけたわ! ――あ、シズはあっちを探してみて、あっちにも何かある気がするのよ!」
「承知しました」
言わずもがな、ラナの班である。
そこはまさに理屈という言葉が羽のように飛ばされてどこかに行った空間。
地図を見ると、この辺りの宝箱がのきなみ消えている。マジやべぇ。
ラナが指さした場所にピンポイントでお宝が隠されているんだけど!?
「ゼフィルス、ハンナちゃん――ハンナちゃん、ゼフィルス!」
「おう。落ち着けクイナダ。言いたいことは分かるから」
「クイナダさん、深呼吸ですよ」
「2人ともすっごい落ち着いてるね!?」
最後のメンバーであるクイナダはちょっと壊れ気味だったが、なんとか直ってよかった。まあ、俺たちは慣れているからな。ラナのあのやべぇ直感には。
信じられるか? あれでスキル使ってないんだぜ?
もう信じられないぜはははははは!
「これが、この国の王女様の力。隠された物でも全て見通す目……」
おう。クイナダが盛大に勘違いしているぞ。あれはただの勘だ。
だがあながち間違いとも言いがたい。シズがこちらをジッと見つめてくるので訂正はしなかったよ。
この世界の王女は優秀です!
パシャパシャ。
他のパーティも見回ったが、みんな宝探しを楽しそうに満喫していたよ。
良いスクショがたくさん撮れたな。
あと、危険が危ないメンバーは誰も居なかったとここに記載しておく。
さすがは全員上級戦闘職。スケルトンや幽霊はいくら集まったところで脅威にはなり得なかったよ。むしろ映えるスクショがたくさん撮れてしまった。
普段は撮れない戦闘シーンのスクショもたくさん撮れて俺は満足です!
「ではこれより――結果発表を行ないます!」
「「「「「わあー!!」」」」」
1時間が経って〈夜のモンスターハント〉も終了。
8パーティ全員にそれぞれドロップ品と宝箱品を全て出してもらい、どんな宝箱を何個ゲットし、何種類何体のモンスターを撃破したのかを集計する。
〈夜のモンスターハント〉が終わった俺たちはそのままヴァンの城まで戻って、出来上がって丁度良くなった温泉に浸かって一息。
みんな風呂を上がってホカホカ、湯上がりにくつろぎ着の類いを着ている。こんな風景もまた良き。
結果が出たのは温泉の後だ。みんな頑張りすぎだぜ!
マリー先輩とメイリー先輩、あとメリーナ先輩にも手伝って貰ってちょっぱやで査定したのにここまで時間が掛かった。
集まった皆の前で俺が宣言すると、歓声が鳴り響いたところだ。
「待ってたわー!」
「ん、今回こそ優勝!」
「ぼくも自信ありさ。なんか今回、凄く調子が良かったんだよね」
ラナ、カルア、ニーコから自信を感じさせる言葉が上がる。
ニーコはアレで調子が良かったのか?
何か変な方向に覚醒しないか心配だぞ。俺が正してやらなければ。
まあ、それはまた後でするとして、まずは結果発表だ。
うむ、マリー先輩、スクショは任せた。しっかり撮ってくれよ!
俺の斜め後ろで控えるシエラから資料を受け取り、キリッとして声を張る。
「では8チーム中、上位3チームから発表していくぞー!」
順位は後で一覧表にするが、ここで発表はしなくても良いだろう。
上位3チームに絞る。
「ではまず第3位! とある【トレジャーハンター】を中心として並外れた嗅覚で宝箱を探し出し、近づくモンスター全てシャットアウトしながらお宝を回収しまくった! 宝箱ポイント1344点! モンスターハント540点! 総合1884点で、ニーコチームだ!」
「「「「わあ!」」」」
「なんだって!???」
3位はニーコのチームだった。お宝を中心に見つけていったが、どうやら大型モンスターには襲われなかったようでモンスターハントの点がいまいち伸びなかったため3位だ。
ニーコは首を傾げていたよ。あれだけ宝箱を手にしたのに? とでも思っているのかもしれない。まだまだ甘いなニーコよ。上には上がいるんだ。
「続いて第2位!」
ざわざわとざわめく部屋。
みんなうっすら思っていることだろう、1位と2位はラナかカルア、どちらかのチームだろうと。
さっき色々回収したとき山作ってたもんな。果たして。
「凄まじい猫のエージェントの活躍で宝箱やモンスターを見つけ出し、ガンガン制圧していった! 宝箱ポイント1421点! モンスターハント1220点! 総合2641点で、カルアチームだ!」
「「「「おお~!」」」」
点数高っ!!
カルアチームとニーコチーム、宝箱だけを見ればその差は100ポイントも無かった。
だがカルアのチームは大型モンスターも2体倒し、周囲に猫を解き放ってサーチ&デストロイもしていたためモンスターの方も伸びた形だ。
カルアは優勝する気満々だったのか、無表情なのに耳がへんにゃりしてしまった。
リカが慌てて慰めに走る。
「では最後、1位の発表だ!」
シーン。
おっと一転して誰も言葉を紡がずその時を待っている。
ならば、即で発表しよう!
「第1位は凄まじいまでの直感(?)でお宝を次々と見つけ出し、その周囲の宝箱を根こそぎ発見してはモンスターも次々屠っていく、凄まじい手腕で圧倒的ポイントを叩き出した! その点数――宝箱ポイント2051点! モンスターハント930点! 総合2981点!! 優勝は―――ラナチームだーーー!」
「「「「おおおおー!」」」」
俺が発表を告げるとさっきまで静かだった部屋から大きな歓声が上がった。
凄まじい宝箱ポイント。ニーコやカルアチームと比べても大差で引き離しての優勝だった。
大型モンスターは1体撃破しただけで1000点もいっていない。これは全チーム中で下から3番目だったが、それでも総合で3000点に迫って優勝である。凄まじい。
これをしたことで、誰が一番宝箱に好かれる(?)のかが分かってしまったな。
ということでここで豪華景品を贈呈!
去年と同じように色々な記念になる景品を用意した。
もちろんぬいぐるみも忘れていない。去年は大好評だったからな。クジラやシャチ、サメのぬいぐるみすら人気である。
お手伝いのハンナがせっせとテーブルに並べてくれる。助かる。
「まずはトップのラナチームから受け取ってくれ」
「わぁ! 今年はさらに凄いわね!(ぬいぐるみが)」
「ああ。凄かろう?(ぬいぐるみが)」
みんなで景品を置いた特大の台に集まって検分です。
とある一角が全てぬいぐるみというカオス空間になっていたのに。全部消えたよ。
みんな相変わらずぬいぐるみ好きだね!?
「よし、じゃあお開きにするか! みんな! 〈夜のモンスターハント〉お疲れ様! 明日も海だが、ゆっくりしような! では、今日は解散!」
「「「「お疲れ様(でした)~」」」」
これにて本日のイベントは全て完了だ。
明日は美味しいご飯を食べつつ普通に海で遊んで解散する予定。
その後は夏祭りも控えている。
それが終われば夏休みが明けて――クラス対抗戦だ。
まだまだ楽しみが控えている!
――――――――――――――
後書き失礼いたします!
カクヨムのネクストの無料キャンペーンも残り2日!
ニシキギ・カエデの最新作、〈プレモン〉が無料で126話読めるのも8月4日(日)まで!(約40万字)
土日でスパート掛けないと40万字は読み切れない!
今日が最後のチャンスかも!?
〈クマアリクイ〉などお馴染みのモンスターの進化が分かるのは〈プレモン〉だけ!
16進化もするモンスターと一緒にダンジョンを冒険する物語!
興味がある方は是非この機会に読んで見てください!
リンクはこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/16818023213237037068
お待ちしております!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます