第1398話 〈幽霊船島〉と水着でゼフィルス大はしゃぎ!
「キャーキャー!」
「ひゃー!」
うむうむ。そこら中から良い悲鳴が聞こえてくる。
7割以上が黄色い声なのでみんな楽しんでいる模様だ。
そんな悲鳴を聞いて俺たちも楽しみつつ、先へ進んでいると、なんと大型モンスター現る。
「あ、あれは!」
「ひゃ!」
「な、なんかすっごいの出たよゼフィルス君!」
「あれは〈オバケマンタ〉だ! 俺に任せろ!」
「ボー」
出てきたのは全長4メートルに迫ろうという紫色と灰色のオバケっぽいマンタ。
空中に浮かび、ゆらりとした動作で迫ってくる。
これにはみんなびっくりしていたよ。なおシエラが小さく「ひゃ」と声を上げていたのを、俺は聞き逃しはしなかった。
あ、ハンナが一瞬で錬金砲を取り出していたが、俺が出ると聞くとすぐに仕舞ってたよ。さすがはハンナだ。
俺はテンションが上がって突き進む!
「魚には電撃が良く効くだろう! 『雷属聖剣化』だーー!」
バリバリバリと〈極光剣・レーラ〉に電撃と聖なる光を纏わせて突っ込む!
「ボー!」
「頑張れゼフィルス君ー」
「うおっしゃー! ハンナの応援で威力が上がった気がする『ライトニングバニッシュ』じゃーー!!」
「ボー!?」
ダンジョンでハンナの応援なんて久々。
俺はテンションが上がりまくって天元突破したまま〈オバケマンタ〉と1対1で切り結ぶ。
去年は〈幽霊船長〉とほぼサシで戦って勝った俺である。
同格の〈オバケマンタ〉なんて、俺の敵では無い!
「ボー…………」
ズバンとバニッシュを食らわせてそのまま何度かテンションのままに斬ると、〈オバケマンタ〉のHPは一気に底を突いてエフェクトの海に沈んで消えてしまったのだった。
シャキンと剣を鞘に収めてキリッとした顔で振り返ると、いつの間にかハンナがすぐ側にいた。
「さっすがゼフィルス君! 強い!」
「はーっはっはっは! もっと褒めていいぜハンナ!」
ハンナの賞賛がとても、とても気持ちいいです!
ハンナを守るためなら、俺はどんな危険にも勇敢に立ち向かうだろう。(←蹂躙です)
「で、出遅れましたわ!」
「これがあるからハンナは手強いのよ」
リーナとシエラがそれを見てわなわなしていた気がした。
もちろんリーナたちのところにも行く。その瞬間、『直感』が警報!
「! 何か来るよ!?」
カイリもそれを捉えたようだ。
すると壁からすり抜けて、白く大きな布がこんにちはした。
「バア!」
「きゃああああ!?」
「ひゃああああ!?」
そして一瞬で俺の左腕にシエラが。右腕にハンナが抱きついてきてとても幸せになった。2人とも水着姿!
これだよ! これこそが肝試しの醍醐味だよ!!
シエラは珍しく目を瞑り、悲鳴を上げ、そしてしっかり俺の左腕を抱え込んで、もう絶対離さないとばかりにぐいぐい来るんだ。
対して反対側でも同じ。シエラよりも豊かな胸部装甲を誇るハンナが、黄色い声を上げながら俺の右腕を抱え込み、抱きついてくる。とても柔らかい。
水着女子にサンドイッチされて、もう正気を保つのが難しいくらいだった。いや、もう正気はどこかへ行ってしまったかもしれない。
しかし、カイリの言葉に現実へと引き戻される。
「こいつ、〈ウラメシーヤ〉の上位種、〈コントンウメーヤ〉だよ!」
「うらめしや」は「
そこから発展して「
一瞬で天へ旅立ちかけた意識が戻ってきてしまい、しかし両腕に感じる柔らかい圧迫というプレッシャーに一瞬で再び天へ召されそうになる。
いかん、いかんぞ! モンスターの目の前だ!
ここで正気を再び飛ばすわけにはいかん! 飛ばすならモンスターを倒してからだ!
俺は涙を呑んで気持ちを戦闘へと切り替える。
「こ、このコントン野郎! シエラとハンナを驚かせるなんて不届き千万! ナイスだこんにゃろーめ! って、あ! 剣抜けないじゃん!」
しまった! 腕に2人が水着姿でくっついていて剣が抜けない!
去年はシエラ1人だけだったからイケたが、なんと今年は予想外!
「バアア!」
「何をやってるですか。『天罰』です!」
「バァアアアアア!?」
そこへ空から天使襲来!
索敵から帰ってきたフィナが真上から強襲して一気に地面に叩き付け無双する。
フィナの剣は〈
〈コントンウメーヤ〉はひとたまりもなかった。
「シエラさん。あなたもそういうことするんですのね」
「…………咄嗟だったのよ。反射的行動だわ」
「ううっ、公爵家で鍛えた度胸が裏目に……」
ああ、シエラが離れてしまった。
リーナがシエラに問い詰めていたが、シエラは素知らぬ顔で回避していたよ。顔は真っ赤だったが。
リーナも良かったら来ていいんだよ? 俺はいつでもウェルカムだ!
そこへ空いた左手にピトッとくっついてくる小さな影。
「教官。索敵が完了しました」
もちろんフィナだった。
ぐいぐい来る。温かい。子どもって体温高いよな。あれ? フィナって年上だった気も……いや、きっと気のせいだろう。
こんな可愛い子が年上なはずが無い!(錯乱)
「あ! フィナさん、何をやっているんですの!?」
「先程シエラさんがやっていたマネです。ハンナさんも現在進行形でやっていますし、問題は無いはずです」
「いいえ、大ありよ。私もすぐに離れたのだからフィナも早く離れなさい。ハンナもよ」
「「はーい」」
ああ、素直。
ということでロリ組が腕から外れたことでフィナに索敵の結果を聞く。
「みなさんとても楽しんでいました。すでにいくつもの宝箱を入手しているみたいです。それと、1つ隠された部屋を見つけました。〈金箱〉が2つ隠されていたので――」
「すぐに行こう!」
俺は即決した。みんなの活躍をスクショに納めなくてもいいのかって? それももちろん大事だ。両方やろう!
ということで方針は決定。
俺たちはいくつかのパーティを回りながらスクショで思い出を切り取りつつ目的地へと向かう。
みんな水着姿だからとても良い。素晴らしいスクショが何枚も撮れたぞ!
また後でじっくり回ろうと決める。まずは目の前の宝箱だ!
「ここか!」
「はい。ここに顔の大きさくらいの空洞が空いてまして、覗くと金色に光る宝箱が2つ確認できました」
「よく見つけたな!」
フィナに案内してもらったのは港にある貨物が積み重ねられているようなところ。
その貨物の1つに穴が空いていて、中を覗けば〈金箱〉発見! しかし、当然ながら貨物は開かない。鍵も無いという徹底ぶりだ。これを開けるにはコツがいる。
「実は前回の〈
この〈幽霊船島〉のフィールドは毎日ランダムで道やギミックが変わる。
しかし、どんなギミックがあるのかはすでに全て知っているので問題は無い。
これも見たことのあるギミックだった。
「それでそれで! どうやって解くのゼフィルス君!」
「ふ、まぁ待てハンナ。――カイリ、なにか反応はあるか?」
「うん! なんか地図にルートが描いてあるよ! こっちだって!」
カイリが指し示したのは貨物コンテナの近くにあったクレーン。
カイリに持たせているお宝の地図には、こうしてギミックの解除を後押ししてくれることも描かれているのだ。まあ、謎解きの方は自分たちで頑張れというスタンスなのだが、そのギミックの入り口は指し示してくれる。
「これだね。なんだろねこれ?」
「何かの装置、かしら?」
「これはな、ここのレバーを倒すと」
ガコン。そんな音が響いた。
クレーンにはこれ見よがしにいくつものレバーがあったのだが、全部を倒してみた。
「ひゃ、スケルトンが!」
「今度は私も参加するよ!」
「おっとあれは敵じゃないみたいだから撃たないであげてくれ」
リーナとハンナが大砲と錬金砲を構えだしたので待ったを掛ける。
危ない。
実はこのレバー、クレーンが動くのか? と思いきや大量のスケルトンを出すための装置だったりする。
そしてスケルトンが「こいつ、労働者か?」という働きでコンテナをバンバン叩き始めると。
「ガアアアアア!」
突如〈金箱〉のあったコンテナを開け放って大型モンスター〈幽霊船長〉が出てきたのだった。
「って中から開け放つんだ!?」
これにはカイリもびっくりだった模様。
実はこのコンテナ、中から〈幽霊船長〉に開けてもらう仕掛けだったのだ。
〈幽霊船長〉がやかましいと言わんばかりにスケルトンを静止させる。すると。
「あ、なんかこの後の展開が読めました」
「ゼフィルス君、撃っちゃって良い?」
「もうコンテナも開いたしな。ハンナ、リーナ。一掃してくれ」
「オッケー! 錬金砲台セット! ドーン!」
「『殲滅兵砲・エクスプロージョンノヴァ』ですわ!」
「あ」
許可を出したら一気に殲滅。
スケルトンという兵を得た〈幽霊船長〉がバフを掛け、ゆらりとスケルトンの軍隊となって襲い来る。
その前にハンナとリーナの砲撃がチュドーンした。
「オオオオオオオ!?」
「殲滅するぞ! 『フルライトニング・スプライト』! 『
「はい。教官に続きます――『大天使フォーム』! 『ミカエルラッシュ』!」
「はっ!? 本日2度目の大天使!? スクショを撮らなければ! フィナ! 〈幽霊船長〉をやっちまってくれ!」
「わかりました!」
俺も雷の花火を打ち込んで飛び掛かったのだが、ここでフィナが本日2度目の変身を決めたことで剣からスクショにスイッチしてしまう。
慌ててフィナに指示して俺はベストポジションの確保に走ったよ。
おかげでスケルトンを指揮する〈幽霊船長〉VS剣を向け、空を飛びながら強襲する水着のフィナのスクショが撮れた! こ、これは凄いものが撮れてしまったんだぜ!
「ふふふ。教官の目を引く方法、分かったかもしれません」
フィナがこっそり呟いていたセリフにも、スクショのシャッター音で気が付かなかったのだった。
結局〈幽霊船長〉は10秒で滅され、戦いは終結する。
うむ、戦力差が大きすぎたんだぜ。
ハンナの錬金砲だって
殲滅が終われば俺は特殊部隊の人間になった気持ちで制圧されたコンテナに乗り込む。
「〈金箱〉発見!」
「わーい! 久しぶりの〈金箱〉だよー!」
なぜか隣にハンナがいた。
いったいいつの間に! 久しぶりの〈金箱〉欲に体が勝手に動いたらしい。
みんな集まって来たのでお祈りを開始する。
「「〈幸猫様〉〈仔猫様〉! 〈金箱〉ありがとうございます! 良いものください!」」
ハンナとお祈りするのも久しぶり! 〈金箱〉は2つだったので、俺とハンナで開ける。中に入っていたのは、召喚盤とレシピ。
片方は〈幽霊船長の召喚盤〉。
そしてもう片方は、〈乗り物〉〈馬車〉カテゴリーになる、〈
「いまいちね」
「中級産ですものね」
「でも〈
シエラとリーナには微妙という評価だったが、カイリはロマンが分かってる。
これはつまり〈
俺もちょっと見てみたいぜ。ちなみに〈
でも、ちょっとギルドバトルとかで使ってみたいな~と思ったのは内緒。
〈エデン〉では〈イブキ〉があるのでおそらく今後も出番は無いだろう。
売れるかな?
とりあえず目的の1つは果たしたので、またフィナに索敵してもらいつつ、俺は運営の仕事を果たすためにスクショを構えて他のメンバーの下へと向かったのだった。
ちょっと寄り道してしまったが、ここからは全力のスクショを発動する。
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