第1397話 スケルトンは背景? スクショ会場オープン!




「出たっすーーーー!!」


「オバケだー!?」


「い、いえいえいえいえあれはスケルトンだよアリス! 骸骨さんだよ!?」


「大軍ですわ! 行きますわよクラリス! クイナダさん!」


「お、お嬢様。相手はスケルトンのぐんですよ! ちょ、待ってください!」


「え? わたしもなの!?」


 いきなりの展開にはしゃぐ1年生たち。

 キキョウの骸骨さん呼びがなんとも和み。ボロボロの木造船に骸骨集団だけど。

 あ、ノーアが突っ走った。慌ててクラリスとクイナダが追いかける。

 ラナ、その『レクイエム』で全部一掃しようとするのはやめて差し上げなさい。これは遊びなんだ! 奪わないであげて?


「『カウンタースロースタンス』ですわ!」


「クイナダさん! お嬢様のフォローを! 『千聖操剣』! ――『千剣の雨サウザンドソードレイン』!」


「わ、わかったよ! 『大軍無双乱舞粉砕』! えいやぁぁぁぁぁぁ!!」


「「「―――!」」」


 おおっと骸骨たちがまるで竜巻に巻き込まれた様に宙を舞うーーー!

 そして上から剣の雨が降ってきてもう大変です!


「ひゃー! 私スケルトンって苦手なのよ! こいつら寝ないんだもん!」


「姉さまは下がっていてください。『グローリーバニッシュ』です!」


「ルルも参加するのです! 『クレセントスラッシュ』なのです!」


「アリスもやるよー『感電ホネホネパラライズ』! あれ?」


「アリスアリス! それホネに効く魔法じゃなくて、相手を麻痺させる魔法だよ! スケルトンには効かないから!」


 おっとこっちはロリレンジャー。

 エリサは再び紫の髪とカラコンを入れた悪魔スタイルになっているのに意外とオバケが苦手? と思ったら〈睡眠〉が効かないモンスターが苦手なだけだった。

 フィナはそんな姉の前で必殺のバニッシュでスケルトンを消し去っている。かっこいい。ここで大天使化したら大天使VSスケルトン集団の図が出来上がる!? スクショを構えておかなければ! パシャパシャ。


 アリスはほのぼの。『感電ホネホネパラライズ』相手を感電させて〈麻痺〉させる魔法だからね。骨特効とかではないんだ。むしろ骨には効かないミステリー。

 こいつら〈睡眠〉も〈麻痺〉も効かないんだよ。キキョウは良いツッコミだった。


「トモヨ、フィナ、ここで大天使になってくれ!」


「え!? なんで!?」


「映える!」


「いいけど!」


「良いですよ。姉さま、私だけごめんなさいね――」


「「――『大天使フォーム』!!」」


「「「「「おおおおお!!」」」」」


 パシャシャシャシャシャ!!

 特に意味なく大天使化!!

 俺のスクショのフラッシュが光る!


「えっと、とりあえずポーズを取れば良いのかな!」


「ラナ、ここで『光の柱』プリーズ!」


「トモヨを中心にすればいいのね! 『光の柱』!」


「トモヨちゃん、それは反則じゃないですかーーーー!?」


 スケルトンに囲まれたトモヨを中心にラナのフレンドリーファイア炸裂!

 おおーまるでトモヨを中心にスケルトンが浄化されていくかのようだ!

 大激写チャーンス!! パシャシャシャシャシャ!!

 海岸でマリアがそれはそれは友を羨ましがる声が響いてきたが、確か去年はマリアが羨ましがられた側だったって聞いてるぞ。立場逆転だな!


 無論フィナの方も激写!

 特にフィナは金髪碧眼大天使なので映える映える。

 いや、一部の装甲がとんでもないトモヨも十分破壊力満点。なお、2人とも水着。

 思わずそっちばかりスクショが光ってしまうよー!


「なんだか一部はスケルトン屠ってないよね。撮影会かな?」


「ス、スケルトンがまさかの背景扱いです!?」


 ノエルとラクリッテはナイスツッコミ。

 うむ。ちょっとやってみたかったんだ――ゲフンゲフン! いや、これは運営の仕事なんだ! 合宿の運営はスクショを撮るのが仕事なんだ!

 なんかすげぇのが撮れてしまったんだぜ。


 そうして気が付けば、スケルトンは一掃されていた。


「ゼフィルス、ずいぶん楽しそうだったわね」


「ああ! いきなり凄いのが撮れたぞシエラ! この調子でどんどん思い出を残していこう!」


「…………私も前衛で参加すればよかったかしら。いえ、でも…………」


 何やらシエラから葛藤が見える。ちょっと顔色が青いのが気になるぞ!

 俺が近くに居てあげなければ。また去年みたいにオバケがバァしてきたら大変だからな!(期待大)

(※実際この場で起きると、ゼフィルスが考えている以上に大変なことになります)


「こんなのがたくさんいるのでしたら、確かに厄介そうですわ」


「嘘ですよねお嬢様。とても楽しかったと顔に書いてありますよ?」


「いやですわクラリス。そんなの気のせいに決まっているじゃないの」


「はぁ。なんか、こんなに無双したの初めてかも。ちょっと気持ちよかったかも」


 うむ。これだけの数を無双した経験なんてそうそうないだろう。ノーアもクラリスもクイナダも、みんなとても気持ちよさそうだった。


「今回はスケルトンだったけどね。これが全部幽霊だったりしたら夢に見るよぼくは」


「う、それはちょっと。た、確かにニーコさんの言う通りかもです」


「大丈夫だよニーコちゃん、ラクリッテちゃん! 全部私の歌で吹き飛ばしてあげるからね!」


 ニーコの言葉に顔を青くするラクリッテだが、ノエルがいれば大丈夫じゃないかな? ノエルの元気な歌を聞けば、なぜか天に召される気がするんだ。


「私も『レクイエム』を奏でるわ!」


「いや、ラナの『レクイエム』は禁止で」


「え!? なんでよゼフィルス!」


「あれ強過ぎるじゃん!」


 ラナが『レクイエム』を発動した日にはこの〈幽霊船島〉中のモンスターが一掃されかねない。オバケモンスターの居ないオバケ屋敷夜のモンスターハントが完成してしまう!? 故に禁止だ。


「ねぇねぇゼフィルス君! 〈銀箱〉見つけたよー」


「なんだってー!」


 早速第一宝箱発見の報告!

 見つけたのはカイリ! さすがは『お宝探知』持ち。


 あれ? これってカイリとニーコの支援組がむちゃくちゃ有利じゃないか?

 まあカイリは運営側だけど。


「『お宝――」


「あ、ニーコは『お宝レーダー』使用禁止で」


「な! 今やろうとした時に!?」


 カイリの〈銀箱〉報告を聞いて思ったことはニーコも同じだったようだ。

 ふー、危ない危ない。

 これも運営の仕事だ!


 ちなみに最初の〈銀箱〉は〈幽霊ゴースト〉系が集まってくる〈ゴーストスイーパー〉という蓄音機の形をしたアイテムだった。3回使うと壊れるやつな。

 どうしよう。ちょっと使ってみたい。音が鳴るから使ってるってバレて肝試しには向かないアイテムだけど。


「負けられませんわ! ここからは競争ですわ! 行きますわよクラリス!」


「あ、待ってくださいお嬢様! 先に行かないでください!」


「あ、出遅れちゃった!」


「私たちも急がないと!」


「行こう。また1時間後に。みんなじゃあね」


 おっとここで競争勃発。ノーア、クラリスが元気良く出発すると、サチ、エミ、ユウカも負けじとダッシュ。

 そこからはみんなちりぢりになってチーム毎に探索へと乗り出していく。

 集合は1時間後だ。


「それじゃ、俺たちも行きますか。カイリ、リーナは地図の方をよろしく頼むな!」


「任せて~」


「はい。こちらはしっかり見ておきますわ」


「ハンナは例のアレの準備」


「はーい。迷子が出ても〈ニャウジング〉で見つけるよー」


「フィナはまず空から軽く危険が無いか見て回ってくれ」


「わかりました」


「しっかり運営の仕事をするところがゼフィルスよね」


「もちろんだ! そしてシエラは俺の隣に居てもらって。さーて、少し経ったら探索中のみんなのところにちょっとお邪魔しに行くぞ!」


 俺はスクショを手にそう意気込む。

 運営の仕事、俺に手抜かりはない!

 夏休みの思い出をゲットしまくるのだ!




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