第1400話 〈海ダン〉2日目最終日。今年の海も最高だ!




 楽しい時間は瞬く間に過ぎていくものだ。


 ギルドのメンバーとマリー先輩たちで向かった〈海ダン〉合宿!

 今年は日帰りではなくしっかり泊まりで楽しんだ。


〈夜のモンスターハント〉もしっかりやったぜ、しかもシエラのお墨付きで!

 惜しむらくは、みんなの実力がつきすぎてしまった関係で、肝試しよりも名前の通りのモンスターハントになってしまった点だろう。

 オバケが登場しても殲滅できると肝試し感が無くなってしまう!?


「でも、楽しかったなぁ」


「どうしたの、ゼフィルス君?」


「いやぁ、少し昨日の肝試しを思い出していたんだ」


「肝試し?」


 ほら、ハンナが昨日の肝試しにハテナマークを浮かべているぞ。

「そんなのやったっけ?」って顔だ。まあタイトルは〈夜のモンスターハント〉だったけどさ。どれだけ幽霊たちがギルドメンバーをビビらせられなかったのかが分かるな。


 まあ、いい。

 みんな楽しそうだったしな!


 そして今日も〈海ダン〉で遊びまくる。

 イベントはそこまでやらず、今日はゆっくりのんびり自由に遊んでほしいと言ってあった。

 一番のポイントはみんなの水着が昨日とは違うというところだろう。

 2日連続同じ服は着られないよね、という理論でみんなの水着は昨日とチェンジしてあるのだ! 素材調達班の男子は頑張った。


 なお、今日の水着の素材はボス素材を使ってない能力値的には貧弱な装備なので、戦闘はしないとなっていたりする。

 さすがに2日目の水着までボス素材で作るには素材が足りなすぎたんだ。

 ちなみにハンナは今日は黄色一色のシンプル水着である。黄色が眩しすぎる!


「なんや兄さん、こんなところで黄昏れて、兄さんも埋めるか?」


「いきなり埋めるかとはどういうことだしマリー先輩!?」


 振り向けばいつの間にか砂に埋まっているメイリー先輩が!

 まあ、砂浜に寝そべって砂を盛られただけなので埋まっているとはまた違うか。いつでも脱出も可能だ。

 あとサングラスにスコップに水着という夏らしい(?)装備のマリー先輩も。

 ちなみにマリー先輩は今日はなんとオレンジのビキニである。マリー先輩が着るとキッズ水着のようだとは口が裂けても言えない。


「なんや兄さん。やっぱり埋めるの希望か? ――ハンナはん、この兄さん埋めようや」


「いいかも」


「え? マジで?」


 まさか、考えが読まれた?

 一瞬で黒い笑みになったマリー先輩からの指示で俺は埋められてしまった。


「わーゼフィルスお兄様が砂に埋もれているのです!」


「助けてはダメですよルル。あれはああいう遊びなのです」


「わ、分かっているのです! ルルも混ぜてくださいなのです!」


「ええでええで。一緒に砂を盛るかぁ。兄さんの体の上に大きな山を築いたろうな」


「あい!」


 そこにルル参戦。ルルが来るならシェリアも来る。そして。


「あら? 面白そうなことしてるじゃない!」


「砂遊びですか。しかも教官を埋めるとは、新しいです」


「アリスもやる~」


「えっとゼフィルス先輩の上に山を築けばいいんですか?」


 エリサ、フィナ、アリス、キキョウというロリ組も集まって来て、俺の体の上に砂の山が立った。もちろん俺は抵抗しなかったよ。

 ロリレンジャーの山は俺が守る! でもちょっと盛りすぎじゃない? 2メートルくらいあるんだけど。


「これ以上は雪崩が起きたらゼフィルス君の顔に掛かっちゃうよ」


「それならうちに任せてや。この山をしっかり固めて、今度は城を作ったるわ!」


 ここにドワーフのアルルが参戦してややこしい事態に!

 建築が始まって俺は本格的に身動きが取れなくなった。


「ハンナ、さすがに熱くなってきたんだが」


「大丈夫ゼフィルス君? はい、お水あげるね」


「ハンナ? 俺は植物じゃないぞ? いや、体を冷やすのには合っているのか?」


 さすがに砂風呂と化してきたのだが、みんなで砂を固めるために水を撒きだして、これが意外に快適に。あと俺の周りで水着姿できゃっきゃしている女子を眺めるのは結構楽しいです。

 そんな俺の様子を見て視界の端でサトルが血涙でも流しそうな表情をしていた気がしたが、きっと気のせいだろう。

 あ、セレスタン、スクショを頼むな。キリッ!


 そんなこんなで無抵抗していたら、いつの間にか俺の体の上に立派な砂の城が造られてた。レベル高!!

 そして俺は本格的に脱出の機会を見失った。あれ? これどうすりゃいいの?


 さすがにお昼ご飯の時には出してもらえたよ。というより『英勇転移ブレイブポート』の許可が下りた。

 後には俺の身体型のトンネルが残されたが、城は崩れなかったよ。


 昼食が終われば今度は例の5人乗り〈水上バイク〉を運転した。


「おお! この大型の爆走感、たまらんな! というか、やっと運転できた!」


「面白い形よね。バイクというより、車型かしら」


 助手席っぽく隣に座るシエラの言葉通り、5人乗り用は車のような形だった。

 座席が4つ。バイクのサドルが1つ。座席は左右とその後方に1つずつあって運転席が中央にある形だ。

 また、サイドカーも取り付けられる。これをすると6人乗りだが、これはちょっと1人だけ仲間ハズレ感があったので外してある。

 あれ? これやっぱりバイクじゃないんじゃない? とちょっと思った。


「抱きつけないのは、ちょっと不満ですわ」


「そうよね。これじゃあ楽しみも半減だわ! いいえ、半減以下よ!」


「そうですね。ちょっと物足りないかと」


 なお、女子メンバーには5人乗りは不評だった。

 リーナ、ラナ、アイギスとは続いて2人乗り〈水バイ〉にも一緒に乗ると約束してしまったほどである。

 せっかく運転できたが、確かに5人乗りは物足りなさがあったな。でも、楽しかった。


 そんなこんなでいろいろ海を楽しんでいたら、いつの間にか帰る時間になっていた。


 本当に時間が過ぎるのって早すぎる。


 片付けをしっかりして、温泉入って、装備に着替えてから〈海ダン〉の1層、ダンジョン門への出入り口まで戻る。そこで解散宣言だ。


「みんな、〈海ダン〉は楽しめたか?」


「「「楽しかったよー」」」


「サンキュー! そう言ってもらえると企画した甲斐があるってものだ! 俺もとても楽しかった! 今日はこれで解散だが、また来ような! 夏休みも残り半分だが、悔いが残らないよう楽しみながらダンジョン攻略も進めよう! では解散だ、お疲れ様でしたー!」


「「「「「お疲れ様でしたー!」」」」」


 こうして第2回海イベントは幕を閉じ、俺たちは帰路についたのだった。

 海イベント、とても楽しかったぁ。


 だが、今言ったとおり夏休みはこれで終わりでは無い。

 ダンジョンに夏祭りなど、まだまだやりたいことが残っているんだ。

 そして、夏休みが終われば、いよいよクラス対抗戦が待っている。

 しっかり準備しないとな!




 第三十章 ―完―



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