第1388話 夏休みと言えば海だ!今度は泊まりで行くぞ!




 本来〈守氷ダン〉の最奥通常ボスは〈守護甲冑氷騎士王しゅごかっちゅうひょうきしおう・ヒョドダールガ〉。


 3メートル近い氷の甲冑を纏う騎士の王で。この〈守衛の氷宮ダンジョン〉の主。

 なお、レアボスの〈ナダレ〉は配下らしい。


 右手に4メートル級ランス、左手に3メートル級の大盾を持つ防御の堅い人型モンスターだった。

 対象の属性を無効化する盾を持ち、〈マジスロ〉と同じくコロコロと無効化する属性を変えながら防御してくるのだ。

 とはいえ〈極光剣・レーラ〉をゲットした俺からすれば、属性無効とか恐るるに足らずだ。


 第二形態で馬を呼んで騎乗し、第三形態では馬に食われ――はしないが、さらに見た目が同じ4匹の馬と騎士が現れて陣形を作って突進してくる厄介な形態だ。

 見た目がほぼ同じなので、見失うとボスか眷属か分からないところも厄介だったな。ボスだと思っていた騎兵が実は眷属で、ボスはノーダメージとか結構あった。


 まあ、冷静に本物を見極めてからリカにカウンターでズドンして止めてもらい、そこを突く予定だったのだが。見事に当てが外れてしまった。とはいえ、結果的にレアボスを撃破して〈パーフェクトビューティフォー現象〉を引き寄せられたのだから、結果は大満足! 大変満足できましたーだった!

 思わずクルクル回りそうになってしまったのを抑えるのに苦労したよ。

 新しい剣と盾にバージョンアップして決めポーズをしてなかったらはしゃいでたな。


 続いてボス周回2戦目ではラナの強い希望で俺も参加。

 さっきはレアボスだったし、最奥ボスは初チャレンジということで俺も参加することになったわけだ。


 なお、メンバーは俺、シエラ、ラナ、エステル、カルアという上級ダンジョンの初期メンバーだ。カルアは正直悩んだが、本人の強い希望で参加することになった。俺の装備が非常に優秀というのも後押しした形。

 懐かしいなこのメンバーは、なんか不思議と負ける気がしなくなってきたぜ!


 相手がいくら防御の硬い騎士だったとしても攻撃してくるタイミングは絶対にあるのだから、シエラがそれに合わせてカウンターをズドンしてノックバックさせたところをカルアが『急所一突き』で転ばせて総攻撃の連打だ。慣れ親しんだ懐かしい戦法が決まったときはなんかじーんときたよ!


 最後の5体騎士の騎兵突撃もシエラがしっかり止め、走り出したら止まらない騎士は〈イグニッションローラー〉を装備したエステルと、素の速度で追いつくカルア、瞬間移動を駆使する俺、追尾する光の宝剣を発射するラナが追い詰めて粉砕。

 このメンバーに速度とか無意味。眷属は属性無効はしてこないので楽勝。


 結果、大きく苦労することなく最奥ボスを撃破することに成功したのだった。

 さ、さすがこのメンバーだと楽なんだぜ。思った以上に楽勝だった。俺の属性無効対策もピタリと嵌まっていて大きなダメージを与え続けることも楽勝の要員だな。

 宝箱は〈銀箱〉。ふう。周回再開だ!


 他のメンバーも、厳しそうなメンツなら相性の良いメンバーを入れるなどして周回し、最終的に全員が攻略者の証をゲットすることに成功したのだった。

 ――そして、もちろんこれで終わりでは無かった。


「楽しかったわ! 今度はレアボスもやりたいわね」


 ラナのそんな一言から今度はレアボス祭が開催されたのだ。

 素晴らしい。

 うむ、事故とはいえ、俺たちだけで攻略しちゃったもんな。

 みんなもやりたいよね。え? 〈笛〉の準備は出来ている? 準備良いね。


 ちなみに〈上中ダン〉は現在ケルばあさんのみ受付。頼みのレンカ先輩とかはいないので、回数を回復するには〈上下ダン〉か〈爆師〉ギルドまでいかなければならない。

 しかし、〈守氷ダン〉では〈氷宮殿の鍵〉の仕様的に回数回復が必須だと分かれば〈爆師〉ギルドの方々に誰かしら来てもらわざるを得ないだろう。レンカ先輩に来てほしいなぁ。


 レアボス周回はだいぶ良い感じに進み、数多くの金箱を当てることに成功した。

 正直ランク3以上に挑むより、まずはここでお宝をかき集めるべきではないかという意見がたくさん出たほどだ。

 ということで夏休み中の他のダンジョン攻略はそこそこ進めることとし、まずはレアボス周回で素材とお宝を集めようということになった。


 え? マリー先輩の悲鳴? もちろん大量の素材をお土産に聞きに行ったさ!

 なのにさ、マリー先輩ったら酷いんだ。悲鳴は他の〈商業課〉の学生に任せて1人俺の近くで監督とか言って控えていたんだ。

 これじゃあ、マリー先輩の悲鳴が聞けないじゃないか!


 とも思ったが、〈商業課〉の学生が悲鳴を上げる度に俺の横で若干震えるマリー先輩も、それはそれで良かったのだった。こういうのも良き。


 それと学園長が頼んできたオークションの目玉も渡しにいったよ。

 大剣もアルルが頑張って作りあげてくれたしな! それ以外にもレアボス周回でまあまあ良い感じなやつがいくつか出たんだ!

 提出すると学園長が笑い出したものだから俺も一緒に笑ったよ!

 ふはははははは!




 レアボス周回をこなし、他の上級中位ダンジョンも攻略できるようになった俺たちだが、もちろん貴重な夏休みをこれだけで過ごすはずがない。

 次の合宿企画を始動する!


「みんな、心の準備はいいな? そろそろ夏休みの夏休みたる本番! 海に行くぞーーー!!」


「「「「おおー!」」」」


 ギルドハウスで俺がそう宣言すれば、ざわめきは最初から最高潮!

 そう、海回だ!

 しかも今回は日帰りではなく、ちゃんと宿泊もするぞ! 1泊だけどな!


「去年、様々な理由から日帰りにせざるを得なかったが、やはり1泊はしたいよな!」


「いいわよね~。1年間、ずっと楽しみだったのよ! 去年の夏休みって海とお祭りくらいしか良い記憶がないの!」


「くぅ! 今年は良い思い出をたくさん作ろうな!」


 ラナが泣かせることを言うので気合いを入れる。

 みんなの良き夏休みの思い出は、俺の双肩に掛かっている!

 楽しみ尽くさせてみせるさ! そのためにずっと準備してきたのだ!


「今年は水着素材の準備もかなり楽だったからなぁ」


 そう水着の素材集めを振り返る俺に、近づいてきたメルトが頷く。しかし、その目は俺に何かを訴えかけてきていた。


「ああ。去年とは実力が違う。……だがうっかり最奥ボスを倒すとは予想外だったぞゼフィルス」


「いや、あれは仕方なかったんだって。良い水着装備を得るには最奥ボスやレアボスの素材は必須だったんだ!」


 そう、今年は戦力が充実していた。

 去年は男子3人しかいなかった影響で〈レッグホージロシャーク〉別名:足つきホホジロザメにすらなかなかに手間取ったが、今年はみんな上級職。しかも男子が10人もいるものだから捗ったんだ。

 うっかりセレスタンの〈からくり馬車〉で30層にある最奥にたどり着いてボス周回&レアボス周回を敢行してしまうくらいには。


 なお、〈からくり馬車〉は8人しか乗れなかったので同乗者は俺、セレスタン、メルト、レグラム、ラウ、ヴァン、モナ、タイチだ。サトルとソドガガは浅層のとある場所で発掘作業をしてもらった。

 そして俺たちはそのまま最奥まで直行。29層でモナとタイチが採取や釣りをして、戦闘職のラウが護衛し、俺たちはボス周回で素材を集めまくったというわけだ。


 水着のレシピもなんか凄いのが出て、マリー先輩への良いお土産になったよ。

 普通の水着ならば結構レシピが出回っているが、奇抜な水着系、例えばマーメイド水着なる変身コスチュームや「これであなたもサメの仲間」をモチーフにしたサメなりきり水着(着ぐるみ?)などの面白水着レシピまでドロップしていた。

 マリー先輩なんか「こんなん誰が着るんや!」とかツッコミを入れつつも笑ってたよ。


 また、わざわざ採りに行った甲斐があり、水着素材がボスドロップなので、今回は装備の強さも両立出来る水着が完成している。これがどういう意味かわかるだろうか?


「去年のでも十分な性能だと思うがな」


「ふっ、まだまだ甘いなメルトは。水着とは、防具だ。そして防具が強いということは、そのまま戦闘できるってことなんだぞ!!」


「な、なんだってー!?」


「…………」


 俺がバババンと決めポーズを取りつつ告げると、近くに寄ってきていたサトルから驚愕の声が上がった。メルトは無言だ。

 お気づきになっただろうか?

 あの魅力的なキャラが、水着で戦闘する。生で!

 これは見逃せない!


「去年はほら、〈幽霊船ゴーストシップ〉の時、普段の装備だったじゃん? ちょっと物足りないなぁと思ってたんだよ! 今年は水着で行くぞ!」


「す、すげぇ! 俺、一生ゼフィルスさんに付いていきます!」


「付いてこなくていいぞ。わはははは!」


「…………」


 サトルの目がマジ信者。一生は付いてこなくていい、後1年半くらいでいいぞ?

 ちなみにサトルは去年なぜか一緒に海へ行けなかったが、今年はしっかり誘っておいた。

 これでサトルが不参加ということにはならないだろう。


 むろん〈アークアルカディア〉も全員参加だ。

 一緒にダンジョンに行けるのが〈食ダン〉と〈海ダン〉、あとは〈秘境ダン〉くらいしかないからな。数少ない機会だ。一緒にダンジョンを楽しもう!


「海って素材の宝庫ですよね」


「ああ。今回は助かったぜモナ。モナたちのおかげで大量の素材を集めることができた」


「えへへ。お役に立てて嬉しいです」


 モナは相変わらずだ。そして目がキラキラだった。

 前回も滅多にいけない〈海ダン〉ということではしゃぎまくってたからな。

 今回も素材採集する気満々の様子だ。純粋!


「ゼフィルスさん、準備できましたわ!」


「よーし、じゃあ、出発だ!」


「「「「おおー!」」」」


 忘れ物無し!

 もちろん水着はちゃんと持ったかなんて女子に聞けるわけがないのでリーナに頼んでおいた形。

 リーナが準備完了を告げてくれたなら、後は出発するのみだ!


 ふっふっふ。

 去年と同じく、今年も水着を女子に任せておいたので俺たちはまだ何も知らない。

 

 とても楽しい〈海ダン〉回がいよいよ始まるぜ!




 ―――――――――――――――――

 後書き失礼いたします。

 ニシキギ・カエデです。


 昨日はたくさんのビンタありがとうございました!

 350ビンタ超えてました! びっくりでした!


 続いてニシキギ・カエデ情報をお送りします!


 お知らせ。

 本日からカクヨムのネクストで夏休み企画が始動しました!


 作者がカクヨムネクストで書いている作品、

 タイトル:『カードと猫と〈プレモン〉世界ニューゲーム』、通称〈プレモン〉

 も対象で、なんと126話まで無料で読めちゃいます!(約40万字)


〈ダン活〉毎日更新しているのに、なぜか〈プレモン〉も今では50万字を軽く超えてしまっていて……はて?

 頑張って書いております!

 おかげで週間ネクストランキングでは1位をいただきました!

 楽しい作品ですよ!


 夏休み企画の期間は7月22日~8月4日まで!

 よろしければ読んでみてください! リンクはこちら↓

 https://kakuyomu.jp/works/16818023213237037068


 楽しんでいってください!



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