第1383話 最奥に到着して食事の時間!最奥ボスへ突入!
レアイベントを突破した俺たちはその後も快進撃を続けた。
もちろんレアイベントで手に入れたレシピはマリー先輩やケンタロウに提出済みだ。良いものが出来上がることを祈る。
また、〈彫金ノ技工士〉のタネテちゃんがそろそろLVカンストの予感。
ケンタロウ、ここで有能な成果を見せられなければギルドマスターの座が危ういぞ。
俺は心の中でケンタロウに頑張れとエールを送った。
あと研究所に今回のレアイベントで見つけた上級職への発現条件のヒントを渡しに行ったとき世間話で聞いたんだが、最近〈夜ダン〉のレアイベントのボスである〈ホネデス〉が毎日狩られているという情報を入手した。
なんか、学生に悪魔ブームが来ているらしい。〈天魔のぬいぐるみ〉のドロップ率が高いからなぁあそこ。もしかすれば、今後はエリサ以外の【睡魔女王】と戦う時が来るのかもしれない。とても楽しみだ!
ちなみに、ミストン所長も含め、新しい発現条件のヒント、その写真を入手した研究所は超盛り上がっていたよ。うむうむ。いいことすると気持ちが良いな!
それから数日。
俺たちもしばらくは50層のレアイベントは毎日復活する度に狩ることにしたよ。
〈金箱〉はザックザクだ!
ニーコにも手伝ってもらって素材も確保し、もう少しでシエラの新しい盾、鎧、アクセ全ての素材が揃いそう。これはもうちょっと継続する必要があるな。
60層からは階層門が増えることは無いが、一気に難易度が増す。
通常モンスターなんてわらわら溢れるように出てきたよ。知っているか? ここってモンスターハウスじゃないんだぜ? まあ、〈イブキ〉2台に掛かれば全部光に還る運命だったが。
そして俺たちは、とうとう最奥にたどり着いた。
「徘徊型ボスは、本当にアレで良かったのかしら?」
「来ると分かればバレバレだったわよね。ちょっと可哀想になっちゃったわ」
シエラとラナが困惑と共に首を傾げていた。
うむ。こっちではリーナとカイリが中庭からナビしてくれているのだ。
敵対している徘徊型が迫ればそりゃ分かる。
〈守衛の氷宮ダンジョン〉の徘徊型は、暗殺者だった。
その名も〈暗殺機構:アサッシンクリスタルゴーレム〉。
〈岩ダン〉の徘徊型、〈アーシーゴーレム〉を思わせる地面移動型で、宮殿内の上下左右からひょっこりと出てきて攻撃してきたり、宮殿を操って串刺しやら天井落としやら様々な突飛な攻撃を仕掛けてくる強力、というよりも嫌らしい感じのボスだ。
いや、強力で嫌らしいボスのはずだった。
だが、警戒していたからこそ、肩すかし。
リーナたちが徘徊型を補足した時点で最大級『索敵』系スキルのオンパレードを使って感知。
これによって徘徊型がどこに隠れているかを見破って、逆にリーナとカイリのナビにより、6パーティで山狩りのように追い詰めていって、最後は追い詰められて出てきたところを普通に戦って倒してしまったのだ。
みんな「え?」ってなってたよ。割と呆気なかったというか、それ立場が逆じゃね!? みたいな感じだった。
普段はリーナたちだって前線に出ているのだが、ここは特殊なダンジョンなので入り口付近でナビをしていて、さらに隠れている場所を見破られると逃げていく〈アサッシン〉だったから出来た方法だな。普通の徘徊型なら追い詰められる以前に襲いかかってくるはずだし、逃げるイコール階層移動でもあるため、追い詰めることが出来ないのが徘徊型だ。
なのに〈アサッシン〉はまるでレアモンスターの如く動くものだから追い詰めることが可能だったのだ。
ゲームの時は自分が動かしているパーティ以外はオート操作みたいなものだったのでこんな方法で徘徊型狩りなんて初めてだったよ。楽しかったわ。
〈銀箱〉だったのがちょっと残念だったけどな。6パーティ別行動だったもんだから『プレイア・ゴッドブレス』が使えなかったのが痛かった。
「まあ切り替えていこう! 今度はついに最奥ボスだ!」
「どんなボスかしらね」
「ここは
「だが
「憶測を重ねても仕方ないわ! 私が確かめてきてあげるわよ!」
「と言いつつ最初に挑む気満々じゃねぇかラナ!」
「当然よ!」
まあ、ラナの言うとおりだけどな!
せっかく俺が最奥ボスの情報を漏らそうと会話を誘導していたのに、ラナにぶった切られてしまった。
ドヤ顔で胸を反らすラナが……いやちょっと可愛いな。許そう。
「お待たせいたしました。本日の料理メニューでございます」
「ご苦労セレスタン」
俺たちの会話中にシズやセレスタンが陣地を設営していた。
相変わらず、仕事が完璧。
料理のメニューは毎回変わっている気がするんだが、毎回全員分を変えているのだろうか? でもセレスタンならやりかねないんだぜ。
「それじゃあ俺は、〈ボスオークのロースカツ定食〉で」
「畏まりました」
とりあえず注文を終えると、その3秒後には料理が並ぶ不思議。
時短は大切だよな!
今日の料理アイテムはトンカツ!
出てきたトンカツ定食は出来たてのように衣がサクサクしていて、少し香辛料が強く利いたソースを垂らして白米と一緒にいただきます。
んふぉ!? サクッサクじゃないか!!
そこへ白米をかっ込み、口の中が幸せで満ち満ちた。すげぇ美味い。
キャベツもシャキッシャキで口の中をサッパリさせてくれる。もう一口カツを食べれば、最初と変わらない素晴らしい味わいをプレゼントしてくれた。
完璧だ! 完璧な美味さだ!
「こちらはこの前行きました〈食ダン〉でみなさまが確保された肉や野菜のみを使用しております。みなさまの努力の結晶とも言えるでしょう」
「道理で美味すぎると思ったんだ! 自分で採った野菜や肉で作られた飯、マジ美味しい!」
ふはははは!
思わず笑いが込み上げてきそうな美味さだ!
まったくセレスタンは、粋なことをする。
どうやらメニューが一新されていたのは〈食ダン〉の成果でもあったようだ。
箸が止まらん!
あっという間に、気が付けば俺の皿は空になっていた。バフが付き、パワーアップするのを感じるぜ!
「ごちそうさまでした!」
「ゼフィルス、それで最奥ボスに挑戦するメンバーはどうするのよ?」
「それな! では発表していくぞ!」
待ちきれないと言わんばかりにラナが前のめりになる。
シズがそんなラナの元から素早く皿を回収し、布巾で即テーブルを綺麗にしていた。
メイドスキル高ぇ。
ちなみに俺の分はセレスタンがすでに片付け終えている。
執事も有能すぎる。
俺は2回拍手しつつ立ち上がり、全員の注目を集めた。
「こほん。注目! これから最奥ボスへの挑戦者を発表するぞ!」
全員が俺の方を向きなおり、ワクワクドキドキが伝わってくるかのようだ。
今回の最奥ボスは〈マジスロ〉と同じくらい強敵だが、その方向性が異なりかなり防御型だ。まあ〈守衛の氷宮ダンジョン〉だからなここは。
眷属の数は少ないが、ボス並みに強い眷属を召喚してくるので侮れない。
まずはパワー系のメンバーを募るのが吉である。
「タンクだが、〈謎ダン〉の時はシエラに頼んだからな、今回はリカ、頼む」
「む、私か? しかし」
「分かっている。だがここは〈守氷ダン〉。守り系のダンジョンだ。なら、防御崩しは必須だと思っての人選だ。もしタンクが厳しければ俺がスイッチしよう」
まず俺が指名したのはリカだった。
リカは防御崩しの名手。〈守氷ダン〉は防御系ボスなので崩してもらおうという魂胆だ。
「ふむ。
「よし。続いてヒーラーだが」
「私ね!」
「違う」
「……な、なんでぇ!?」
ラナが即で立ち上がっていたが俺が首を横に振ると一瞬よく分からないという顔をした後、信じられないものを見る目で俺を見てきた。
なんでも何も、〈謎ダン〉とはタンクを替えたというこの流れでヒーラーを同じにするという話は無いのだ。
すまんラナ。
「ヒーラーはミサトに頼もうと思う。頼めるか?」
「私だね! まっかせてよ!」
「本当に私じゃないの!?」
ラナが唖然としていたが、2陣パーティには採用するから、どうか我慢してほしい!
でもラナにヒーラーの自覚があって俺はちょっと嬉しくなったのは秘密にしておこう。
「こほん。続いてアタッカーだが、メルトだ。頼む」
「任された。全力を尽くそう」
アタッカーはメルト。魔法使いとしてかなり優秀でそつがなく、火力もさることながら多種多様な属性も使えるスペシャリストだ。
〈マジスロ〉の時は魔法使いは足手まといにもなりうるということで入れなかったが、今回はむしろガンガン使ってほしいところ。
さて、俺は確定で入っているのであと1人だ。
「最後のメンバーは――――セレスタン。頼めるか?」
「ゼフィルス様のためならばもちろんです。是非参加させていただきます」
最後のメンバーはセレスタンだ。
セレスタンは万が一リカに何かあったとき、避けタンクをしてもらいたいという思いも込めている。
そして、防御を崩すのも慣れている。最奥ボス戦にぴったりな人材だ。
他のみんなが「ああ~」と嘆いたり呟いたりする中、ボス部屋の前に5人が集まった。
今回の攻略メンバーは、俺、リカ、ミサト、メルト、セレスタンで行く。
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