第1357話 夏休みスケジュール、やりたいことを決めよう
「みんな、集まってくれてありがとう! これより、ずっっっと楽しみだった夏休み企画の詳細を詰めるブリーフィングを開始する!!」
パチパチパチパチ!
ハンナと一緒に2人で少しのんびりした後ギルドハウスへと向かい、また少しのんびりして――俺たちは〈エデン〉、〈アークアルカディア〉のメンバーが全員出席する
俺の宣言と共にメンバーの拍手のシャワーが降り注ぐ。
議題は前回決まった『夏休みの企画』の詳細を詰める話し合いだ。
すでに夏休みに突入してしまっているのだ。早く決めなければならない。
なぜ夏休みに突入するまで決まっていなかったのかと言えば、前回は確か夏祭りのスケジュールに時間を取られたのと、アリーナの予約が思いのほか喫緊で、ギルドバトルに集中するほかなかったからだな。
とても楽しいギルドバトルが開催できたので悪いことばかりではなかったが、おかげで夏休みの詳細をまだ決めていないのだ。早く決めなければ!
楽しい夏休みは待ってはくれない!
「ではまず案を募集するぞー! これがやりたい、というのがあれば言ってくれ。セレスタン、サトル、頼む」
「畏まりました」
「任せてくださいゼフィルスさん!」
サトルが素早く巨大ホワイトボードを持って来てサポートし、セレスタンがペンを取る。
「まずは俺から提案だ! まず夏と言えばこれは欠かせない。〈海ダン〉の詳細を話し合うぞ! 今回俺が提案するのはズバリ、
「「「「おおー!」」」」
俺の言葉に歓声が響いた。
昨年は泣く泣く日帰りを選択せざるを得なかったからな。
今年は男子が10人もいるし、お泊まりも行けるハズだ。
俺は泊まりを強く提案する。
「……ねぇゼフィルス。もしかして夜の
「もちろんだシエラ。俺に抜かりは無い。しっかり用意してるぞ! これを見よ!」
俺と一緒に壇上近くで会議進行役の1人だったシエラが振ってきたので
「ゼフィルス、なにそれ?」
「ふっふっふ。これはな? 〈海ダン〉の各階層に必ずいるが行方が分からない
「…………」
「あ、ちょっと待ってシエラ捨てないで! それ結構貴重なやつだから! せっかく作ったやつだから! 無言で持っていかないで!?」
なんてことだ。
俺がじゃじゃーんとテロップが付きそうな勢いで取りだしたものを、シエラはひょいっと奪ってゴミ箱へ向かったので慌てて遮ったのだ。
あ、あぶねぇ。まさに危機一髪。俺はギリギリの所で〈
これ1個しかないのでかなり貴重なものなのだ。まず市場に出回らないので、自分で作製するしかないのだが、その素材が超貴重。
これは去年、初めて肝試し――じゃなくて夜のモンスターハントに行って
もちろん1体しか倒していないので1個しか持っていない。
そして〈航海日誌〉を加工して作られた〈
俺はそうシエラに力説した。
「そう。とても価値が高いものなのね。オークションにかけたらいくらで売れるかしら」
「売らないでシエラ!? これでお宝いっぱい稼ごうぜ!?」
シエラの目が〈
俺は慌てて〈
危ない、マジ危ない。
やっぱりこの1年、秘密裏に作っておいてよかった。バレていたら今頃捨てられていたことだろう。隠しておいてよかった。
隙を見て絶対に行こうと決める。
なお、結局〈
俺は咳払いして空気をリセットして軌道を修正しに掛かる。
「こほんこほん。では次に案のある人~!」
「シエラ様は幽霊が苦手なんですね。意外でした」
「ゼフィルス様はシエラさんに弱いですわね。そこがまた支えたくなるのですが」
「そこ、私語は慎むように」
しまった。つい油断していたが、そういえばここには1年生も居るのだった。
クラリスとノーアがこそこそ話しているのを俺はビシッと注意した。
「はいはーい! 泊まりなら温泉とかどうかな!」
「いいですわねハンナさん! 〈エデン〉にはあれがありますし、ありだと思いますわ」
「うう~ん、それだったら私は〈食ダン〉で行ったことないエリアに行きたいかも!」
「美味しい食材をなるべく多く、たくさんの種類を手に入れるツアーだね!!」
「それはいいね。採れたての食材で作った料理は絶品だった」
おっとハンナの挙手を筆頭に流れが正された!
さすがはハンナ、ハンナは俺の救世主だ!
ハンナの話にリーナも同意し、続いてサチ、エミ、ユウカが〈食ダン〉で未知のエリアで食材探しをしたいと案を出す。ついでに現地での料理のバリエーションを広げよう。前は急ぎすぎてほとんどカレーにバーベキューだったからな。
「それなら、腕試しに〈秘境ダン〉のさらに奥へ行ってみたくはある」
「〈秘境ダン〉は夏休みに行く予定に入っていないだろう。それなら〈海ダン〉の奥とかはどうだ? まだ攻略されてないだろ?」
「腕試しにしては〈海ダン〉もちょっと弱いんですよね。せめて〈秘境ダン〉もしくは〈鉱ダン〉に行ってみたい気もします」
「確かエクストラダンジョンの難易度って、〈食ダン〉→〈海ダン〉→〈秘境ダン〉→〈
「そう言われていますわね。〈秘境ダン〉以降は誰も攻略者がいませんからあくまで予想らしいですが」
やはり長期休暇と言えばエクストラダンジョン。攻略しなくても楽しめるのがエクストラダンジョンの魅力だが、リカの言葉を筆頭にエクストラダンジョンの攻略の話が出てきた。現実的にはメルトの言ったとおりだな。アイギスのように別のダンジョンに行きたいという希望もあったが、それはまたの機会で頼む。具体的には冬休みとかな。
そして難易度としてはミサトの言う方式で合っているな。
〈食ダン〉は初級ダンジョン級。
〈海ダン〉は中級ダンジョン級。
〈秘境ダン〉になると最奥で上級上位ダンジョン級となる。
〈鉱ダン〉はレアで最上級ダンジョンの鉱石がドロップする。
〈道場〉は、あれは例外だな。LV100までレベル上げできるダンジョンだ。
今回は1年生もいるので〈食ダン〉と〈海ダン〉の2つに行くつもり。
〈秘境ダン〉と〈鉱ダン〉は冬休みにでも行こう。その時には、俺たちもかなりレベルがあがっているだろうからな。
そしてその他にも1年生の上級ダンジョンの攻略をどこにしようかなど、日数についても案を出しあい、夏休みの予定は本決まりになったのだった。
よし、こうなれば後は男子の出番だな。
また水着の素材集めもしてやるぜ!
そう思いつつ、解散を宣言しようとしたら横のシエラから待ったが掛かる。
「女子は残ってくれるかしら? 夏祭りのスケジュールも、今日やっておこうと思うのよ」
「いいわねシエラ、受けてたつわ!」
おっといきなりバチバチと火花が上がった予感!
「はいはーい。男子は出ていってね~」
「ここからは女子のお話ですので」
そう言われてノエルとアイギスから俺たち男子はギルドハウスを追い出されてしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます