第1341話 セレスタンVSパメラ、ナキキVS〈ブオール〉。
「カ、カルア~~~!?!?」
まさに青天の霹靂。
『ナンバーワン・ソニックスター』に対抗出来る人物なんて居るの?
居るんです。
「そのスキルはすり抜けながら立ち去ることはできません。必ず一度止まる必要がある。そして、狙いが小城タッチであると分かっていれば出現位置は推測できます」
「とんでもないことをさらっと言うデスこの執事!?」
セレスタンの説明に度肝を抜かれるパメラ。
カルアは〈気絶〉状態。敵の手の中に落ちてしまえばあとは戦闘不能まで秒読みだ。
パメラには3つの選択肢があった。
1番、カルアを助けるため執事たちに挑むか。
2番、カルアが助かるのに賭けつつロゼッタの〈ブオール〉が到着するまで時間稼ぎをするか。
3番、カルアを諦めて撤退し〈ブオール〉部隊に合流するかである。
1番と2番はまだ〈気絶〉状態で戦闘不能にはなっていないカルアを救出するための選択。
ただパメラ1人に対し、向こうはセレスタン、ラクリッテ、ナキキの3人である。戦力差は大きい。
1番を選べば助けに向かったパメラも同じ結末になる可能性が高かった。
しかし3番を選べばカルアは確実にやられてしまう。
故にパメラが選んだのは2番。
カルアがやられないよう適度に時間稼ぎをしつつ〈ブオール〉部隊の到着を待つだった。
しかし、そう上手くことを運ばせないのもこの執事にとってはお手の物だった。
「『
「い!?」
それは『ブリッツストレート』の上位ツリー、〈五ツリ〉の『
「『波動
「に、『忍法・身代わり反撃の術』デス!」
セレスタンがさらなるスキルを使った直後、パメラもカウンターを即発動。
『波動
それでついカウンターを発動してしまったパメラ。
しかし打ち抜かれたのは分身だった。カウンター失敗。
加えて、今のスキルでどれが本物か執事にバレてしまう。
「そちらが本物でしたか」
「ち、違いマース!」
「「違いマース!」」
「ふふふ、ご謙遜を。調べればすぐにわかることでございますよ」
「おっふ。この執事先輩が強いっす!?」
忍者のパメラでも単身で倒すには難しい雰囲気がビンビンする執事。
パメラは今からでも3番を選ぼうかとちょっと迷った。しかし、目の前の執事はとても逃がしてくれそうになかったのだった。
「ラクリッテ様、ナキキ様。ここは僕が請け負います。〈ブオール〉の方をお願いできますか?」
「は、はい!」
「頑張るっす!」
「え、ええ!? 2人で〈ブオール〉を止めるデスか!? というか止められるのデス!?」
「ええ。ゼフィルス様から〈ブオール〉や〈イブキ〉などの止め方も伝授されていますから」
「そんなの私聞いてないデース!?」
「内緒にされていたみたいですよ?」
「た、大変デース!」
ラクリッテとナキキはこの場を離れて後方からやってくる〈ブオール〉の方へ向かったことで、パメラは慌てて追いかけようとするが、この執事は逃がしてはくれなかった。
「逃がしはしません。『急所はそこです』!」
「『忍法・身代わり』! 怖いデス!?」
「ははは。まだまだ付き合ってもらいますよパメラさん――『必殺抜き手』!」
セレスタンVSパメラ(カルア気絶中)とのバトルが勃発した。
◇
「も、もう間もなく接触です!」
「はいっす! ラクリッテ先輩、お願いするっす!」
「ま、任せてください! ポン! 人を隠せ、暗闇の布よ――『イリュージョン・カーテン』!」
〈四ツリ〉の『イリュージョン・カーテン』は人を隠蔽できる防御スキルだ。
黒いカーテンがラクリッテとナキキを包み込む。それは中からは普通に見えるが、認識ができなくなる認識阻害効果を持ち待ち伏せに適したスキルだ。
ラクリッテのスキルはこういった待ち伏せ、奇襲にも優れた性能を発揮する。
本来ならば索敵系のスキルを使えば容易に隠れたラクリッテたちも発見できるが、〈乗り物〉に乗っている時はスキルが使えない。そこが〈乗り物〉系の弱点だ。
とはいえ罠などがあっても全部粉砕して進めるため〈戦車〉にとって弱点なんてあって無いようなもの。普通はそうである。
しかし、何事も例外は付きものなのだ。その例外こそ――【破壊王】のナキキである。
隠れているナキキの側へ急速に接近する〈ブオール〉。
「メルト止まるデース! これは罠デース!」
パメラが叫ぶが、走行中の列車には届かない。
たった3人の防衛。しかしそこはゼフィルス。「弱点を突けば少人数でもクリティカル」。
そんな言葉をモットーにこの状況にも耐えうる方法を前もって伝授していた。
〈ブオール〉を操縦するロゼッタは防御スキル『装甲突破』を発動。
防御しながら突き抜け、〈気絶〉中のカルアと戦闘中のパメラを回収しつつセレスタンたちを制圧せんとした。
しかし〈ブオール〉が白本拠地から2マスの地点に入った瞬間。ナキキがカーテンから飛び出した。
「正面から襲撃です!」
「ナキキか!?」
運転手のロゼッタと車両から半身を出したメルトが叫ぶ。
ナキキがハンマーを振りかぶったまま飛び掛かってきたからだ。
蒸気機関車で客車を1台引いている〈ブオール〉VSドワーフロリ少女。
どう見ても質量的に無理だろうという言葉しか浮かばないが、ナキキはサッと顔を青くして叫んだ。
「怖っ!? けど踏ん張るっすーー!! イケっす【破壊王】、力を見せるっす!」
「何をする気だ!? ――全員防御姿勢を取れ!」
「――『チャリオット・クラッシャー』っす!!」
ナキキが振りかぶったハンマーで〈ブオール〉をぶっ叩いた瞬間、ドッガーンという金属音が響き渡ったかと思うと、とんでもないことが起こっていた。
迫り来る蒸気機関車VSナキキ、その勝者はナキキだったのだ。
「うおおおおおお!?」
「「「「きゃーーーー!?」」」」
急停車した〈ブオール〉。中からは悲鳴が木霊した。
これぞ【破壊王】の力。
相手が強力な防御スキルを発動していても、質量的に超優位でも、それが【破壊王】に取って特効の対象であれば、物理法則や慣性の法則なんかを丸っと無視してぶっ飛ばす。
『チャリオット・クラッシャー』は対〈乗り物〉特効スキル。
相手が〈戦車〉で突っ込んでこようが物理的に止めることのできるとんでもないスキルである。さらにノックバックさせ、数秒の間動くことができなくなるというおまけ付き。
まあ、〈乗り物〉系じゃなければ威力は並以下なんだがそれはともかくだ。
これぞゼフィルスが教えていた〈戦車〉対策の1つだ。
これによりまっすぐ突き進んできた〈ブオール〉は急停車、しかもちょっとバックした。
ここで止まるナキキではない。1年生とはいえ1組。学年トップの実力者の1人なのだ。内心超ドキドキしながらも手は止めない。
追撃にハンマーを振りかぶり、スキルを使いながら〈ブオール〉の側面に回り込む。
「『グロリアス・ロールオーバー』っす!」
〈四ツリ〉スキル『グロリアス・ロールオーバー』はダウンを奪う攻撃スキル。派手な攻撃と隙の多いアクションで決まることは少ないが、命中するとダウン率を大幅に上げてしまう強力なスキルだ。
「はぁぁぁ!」
ズドンと今度は側面から衝撃。
とっても溜めのいる隙だらけの動作だったが、赤チームは〈ブオール〉を止められた衝撃から立て直せていなかったためにこれが見事に直撃。なんと〈ブオール〉を横転させてしまったのである。
「ダウンっす!」
「な、ナイスですナキキちゃん! 作戦大成功です!」
ナキキの近くで、失敗したとき即
まさかの事態。
〈乗り物〉ってダウンするの!? と思うだろうが〈乗り物〉は所詮装備なので、ひっくり返るようなことがあればダウン判定なのだ。
大きなチャンス。
「総攻撃っす!」
「うん! 行きます!」
〈ブオール〉が受けたダメージは全てロゼッタに降りかかる。
ダウン中に総攻撃を受ければひとたまりもない。ナキキにはまだまだ【破壊王】の特攻スキルがたくさんあるのだ。
しかし、そこへ伏兵が現れる。
それは――アイギスが召喚したゼニスだった。
竜は最低でも
【破壊王】が『ドラゴン・クラッシャー』を覚えるのは、〈五ツリ〉からだ。
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後書き失礼します! 後半にコミカライズ更新のお知らせ!
ちなみに〈ブオール〉は装備されているので破壊はできません。全ての衝撃は装備者へのダメージに換算されます。
なお、装備を外した後にナキキから『チャリオット・クラッシャー』を食らうと破壊されるので注意。
コミカライズ更新のお知らせ!
大変お待たせいたしました! 〈ダン活〉第12話が更新されました!
TOブックス コロナEXで検索してみてください!
今回は書籍版2巻の冒頭シーン、カラーもあります!
また、近況ノートの方になぜコミカライズがここまで遅れたのか、最近の近況を書かせていただきました。
タイトル:〈ダン活〉コミカライズ最新話更新のお知らせ!
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