第1330話 急遽ギルドバトルが決まって――急いで準備!




 ギルドバトルができるのが明後日のみ。

 とんでもないことになった、と思ったが混乱はさほど発生せずすぐに鎮火し、みんなそれぞれギルドバトルに向かって動き出した。


 チーム分けは事前に決めておく。

 時間は3時間なので最低でも2試合はできそうだが、ここを思い切って4試合することに決まった。

 1試合30分で15分のインターバルと作戦会議を設ける。


 試合時間30分って、すぐ終わっちゃうじゃん! と思うがまさにその通り。

 今回の試合形式はいつもより時間が少ない短式試合ショートマッチだ。

 いつものように余裕のある試合形式とはまた違う、広すぎるフィールドによる一度ひっくり返せば時間が足りなくて取りにいけない、対人すらも逃げ切れる。

 落とすのに時間が掛かりすぎると本拠地陥落の難易度が格段に増す、いつもとはかなり勝手が違うギルドバトルだ!


 1年生にも、まずは数をこなしてもらおうという意味で試合をいっぱい組むことにした。


「では発表しよう、投票により練習ギルドバトルのフィールドが決定した! その名も――〈ふたまたフィールド〉だ!」


「「「「「おおー!」」」」」


 フィールドも決まる。

 今回はいくつかの選択肢から投票で決めた。

 全部やろうかとも思ったのだが、これはあくまで練習ギルドバトル。

 1つのフィールドを集中してやった方が習熟も捗るというということで4試合全てこのフィールドに決まった形だ。


 このフィールドも、なかなか一言では現せられない複雑なフィールドで。

 四角形にいくつもの凹凸おうとつがあり、またが合計で6つあるのが特徴。

 北と南に2つ、東西に1つの又が入っていることでエリアが分かれ、少し複雑な地形となっている。

 巨城の数は8つ。


 北と南、それぞれ2つの又があって3つのエリアに分かれており、エリアに1城ずつ、計6の巨城が配置されている。

 そして中央、こちらは巨大観客席が配置されており大きな障害物通行不可が存在する。

 それにより東西に分かれるようにして巨城が1つずつ配置されていた。


 北の3つはそれぞれ〈北西巨城〉〈北巨城〉〈北東巨城〉と呼称。

 南の3つはそれぞれ〈南西巨城〉〈南巨城〉〈南東巨城〉と呼称。

 中央で東西に分かれているのは〈中央西巨城〉〈中央東巨城〉と呼称されている。


 そして本拠地の場所だが。

 白本拠地は〈北西巨城〉と〈中央西巨城〉の間。

 赤本拠地は〈南東巨城〉と〈中央東巨城〉の間にそれぞれ配置されていた。


 本拠地同士は遠くもなく近くもなく、中央の巨大観客席で目視での観察は不可能な配置となっている。

 巨城も周りに多く、さてどれを先に取れば良いのかというところ。

 面白くなりそうだよな!


 ということで今回は〈城取り〉〈22人戦〉〈双三つ又〉フィールド!

〈制限時間30分〉〈練習ギルドバトル連続4試合〉に決定!!

 なお、毎回チームメンバーはシャッフルすることとする!


 毎回変わるメンバーもなるべく公平になるよう配置し、新メンバー組も基本6人から7人ずつで分け、レギュラー組は15人から16人ずつで分けた。


 ポジションの関係で一緒に組むことができないメンバーもいるが、これは仕方がない。


「わたくしとゼフィルスさんは軍師ポジションなので、4回とも全て別々のチームですわね。残念ですわ」


「リーナちゃんチームになるかゼフィルス君チームになるか、とても迷うねメルト様!」


「おいミサト、なぜそこで俺に振る? 軍師に俺の名が無いね、とでも言いたいのか?」


「うん!」


「こんのー!」


 たまにチーム決めで波乱も発生!

 まあ、すぐに収まるんだがな。

 あとお互いの職業ジョブでコンボが決まるメンバーも固まってチームに入ってもらうことになった。


「レグラム様、これで全試合一緒ですね。私、とても嬉しいです。レグラム様が別のチームになってしまったらと思うととても悲しくて」


「ああ。良かったなオリヒメ。一緒に戦おう。今回はダンディ君に乗ってもらおうと思っているんだ」


「素晴らしいですレグラム様! 2人の愛を見せつけましょう!」


「いや、試合だぞ?」


 向こうも相変わらずのラブラブっぷりだ。

 ちなみにレグラムとカルアもポジションが被る関係で別チームに入ることが決まっている。オリヒメさんが幸せそうでとっても良かった。


 この前オリヒメさんに「レグラムはスキルが強いんで、〈城取り〉はカルアとツーマンセル継続でお願いします!」とお願いしたときオヨヨってなってたもんな。カルアが泥棒猫になって火曜日のサスペンスにならなくてよかったよ。もちろん冗談だ。


「私たちも一緒だね!」


「むしろ一緒にならないとやってけない!」


「先輩の威厳をしっかり見せないとね」


 こちらはサチ、エミ、ユウカ組。

 ノーカテゴリーの唯一の戦闘職となってしまい、生まれ変わったトモヨとの差を見せつけられそうでちょっと引け気味か? しかし、後輩たちには良いところを見せたいと意気込んでいる。3人一緒なら大丈夫だろう。連携力で見れば一番〈エデン〉ですごいのが多分この3人娘だ。


「は~ドキドキしますわ。初めてのギルドバトル。それが先輩方となんて、胸が高鳴ります。そう思いませんことクラリス?」


「すみませんお嬢様。その感性は私にはまだ早いようです。初のギルドバトルが味方も相手も全員上級職とか、ちょっと以上に緊張気味です」


「まぁ。クラリスが緊張するなんて珍しい」


「どういう意味でしょうか?」


 1年生組も楽しみにしていたり、ちょっと緊張していたり、様々な感情が見えるな。

 ちょっと楽しみにしていそうなメンバーが若干1名ノーアしかいない気がするのは、きっと気のせいだろう。

 楽しいギルドバトルだ! みんな楽しみだよな!


「これが本校、これが本校。本校で初のギルドバトルが、全員上級職って。これが本校なの? わ、私、大丈夫かなハンナちゃん!?」


「ごめんなさい。私にはなんとも……。でも新しいゴーレム君を作るので使ってくださいクイナダさん」


「ハ、ハンナちゃん!」


 おっとハンナが珍しく困ったような顔をしているぞ。微妙に顔をクイナダから逸らしているのはどうしてだろう?

 あとハンナのゴーレム、ずっと気になってたんだよ! レシピが結構な数当たってたしな。バトルするときが楽しみだぜ!

 クイナダに渡される感じなのかな? オーケー。


「ひうっ!? い、今なんか寒気が!?」


 なぜかクイナダが両腕を押さえて跳び上がっていたが、きっとハンナの協力を得て嬉しかったのだろう。俺も嬉しいぞ!


 こうして大体のことが決まるとその日は打ち上げだ!

 ギルドバトルの前祝い、夏休み突入のお祝い。とりあえず祝いまくって美味しい料理とジュースを食べまくったのだった。


 なお、ジュースの在庫はまだまだ、まだまだある模様。

 これはギルドバトルお疲れ様会もできそうだな!


 翌日はレベル上げ。

 特にテスト明けに〈上級転職ランクアップ〉した6人はLV的に劣っているので、スキルの練習とレベル上げを重点的に行なった。ボス周回の出番だぜ!


 これでなんとか戦えるかな?


 それと、この2日間でハンナはついに新しいゴーレム。〈アイスクリスタルゴーレム〉、通称〈アイクリ〉装備有りを仕上げてきた。お披露目はギルドバトルで!


 また、シエラとリーナを通し。ついに〈ヘルプニャン完全体〉が完成したと連絡が入った。


「待ちわびたぞ!」


「待ってゼフィルス。試作品との性能の差がどこまであるのか、完全版は使い物になるのか、その辺のチェックが済んでないわ」


「だが、とりあえず戦闘力はあるんだろ?」


「はい。〈ヘルプニャン試作品〉では〈幸猫様〉の防衛は不可能、という結論になりましたもの。完全体には戦闘力を求めましたわ。装備品はわたくしたちの方で用意しました」


「フルプレートはやめてあげてね?」


「はい。フルプレートでは無いので御安心くださいまし」


 では?

 その表現が少し気になったが、とりあえずは話を先に進めることにした。


「あとは戦闘力なんかのチェックだな」


「それなら、うってつけのイベントが目の前にあるわね」


「ああ」


「…………確かに」


 シエラの言葉にリーナが手をポンと打つ。俺自らホムンクルスと戦ってみるのもいいかもしれない!

 こうして〈アイクリ〉だけではなく〈ヘルプニャン完全体〉のギルドバトル出場も決まることとなった。


 そして夕方、マリー先輩とアルルから、みんなの装備が完成したという連絡がやって来た。




 ―――――――――――――

 後書き失礼いたします!


 フィールドのイメージ図を作製しました!↓

 https://kakuyomu.jp/users/432301/news/16818093077675969003




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