第1319話 テストも終わってレベルもカンスト!なら次は
「やっとテストが終わったよー」
「おう。ハンナもお疲れ様」
放課後、ギルドハウスでハンナを迎えると、ハンナはそのままテーブルに突っ伏した。
そこへルルがせっせとぬいぐるみを持って来て癒やしている。なにこれ?
尊すぎて傍観していると、ハンナが両手で2つほどぬいぐるみを抱きしめて顔を上げた。
「ルルちゃん癒やされました~。ありがとね」
「あい! ルルもテスト中はぬいぐるみに助けられたのです! 辛いときにはぬいぐるみ、これが必勝法なのです!」
「うん。そうだね!」
そうなのか?
どうやらそうらしい。
だって周りを見るとルルとハンナの会話に頷いている人が何人もいるんだもん。
ちなみに俺は辛いときに何をするか聞かれたら、〈幸猫様〉に祈ると答えるだろう。
はっ! なるほど。ルルの言葉は真実だった!(確信)
そんな世の真理を改めて感じ取っているとハンナがこっちを向く。
「ゼフィルス君は何点だった?」
「いつも通り、900点満点だ! ハンナはどうだった?」
「えっと、座学は670点だったよ」
「おお! かなりの点数だな。頑張ったなハンナは」
「え、えへへ」
「それで実技は?」
「それがね前回は300点だったの!」
「それは前に聞いたことあるな~」
座学と実技を総合すると1000点になります。
俺の点が軽くハンナに超えられているんだけど!?
なお、学園でも歴代最高点はハンナらしい。まあそうだろうな!
理由は上級生産職の能力。
今まで下級職しかいなかったために〈生産専攻〉の採点は下級職が前提になっていた。そこへ現れた大物上級職のハンナ。もう採点では上限を突破させるしかなかったらしい。
昨年の入学始業式では歴代最高
そして今回。
その採点方法が見直され、実技でも上級ダンジョンの生産レシピが加えて200点以内に収めたとのことだ。点数を上げたければ下級職でも上級産レシピに挑戦し、粗悪品でもなんでも作り上げなくちゃいけないということでなかなかにハードな実技である。
「それでね。今回は、実技は200点満点だったの」
「順当! でも頑張ったなハンナ。偉い偉い」
「え、えへへ」
そしてハンナはもちろん満点の200点を出したらしい。
というわけでハンナの900点超えは伝説として残ったのだった。めでたしめでたし。
ハンナは生産隊長になってさらに勉学を頑張っていたからな。頭を撫でてあげる。ご苦労様だ。
「ハンナお姉ちゃんだけずるいのです! ルルも頑張ったので頭を撫でてくださいなのです!」
「あ、フィナちゃん見て! なでぽよなでぽ! 私たちも撫でてもらわないと!」
「姉さま。よく見てください。すでに教官の手は2つ塞がっています。割り込んではダメですよ」
「そう言いつつフィナちゃんが私の前に割り込もうとしてるのはなんでかな!?」
「アリスも参加する~」
「あ、アリスそっちに行っちゃダメです!」
おっと大変だ。
ハンナを撫でてたら幼女が釣れた!
もちろんやぶさかではないのでルルももう1つの手で撫でてあげる。
エリサとフィナとアリスとキキョウはもうちょっと待っててね。
なんだか幼女が集まってくるよ~!
そう思っていたら近くから視線を感じて振り向いた。そこに居たのはシエラだ!
まさか……!
「…………」
「シエラも撫でるか!」
さらにジト目のシエラも追加か!? これは忙しくなりそうだぜ!
そう思ったらスッとラナが近寄って来た。
「それなら、わ、私は撫でてもらってもいいわよ?」
「ラナはまず〈幸猫様〉をお返ししようか?」
撫でてもらってもいいわよ? じゃない!
見ればラナの腕の中には〈幸猫様〉のお姿が。
神棚を見ればホムンクルスボディガードのヘルプニャンが新しいぬいぐるみを差し出したポーズで固まっていた。
どうやらラナは差し出されたぬいぐるみを取らずに〈幸猫様〉だけ取ってきたらしい。
やっぱりボディガード改めた方がいいんじゃね!? 完成品が待たれる。
即でジト目のシエラに相談した。
「シエラシエラ、やっぱ〈幸猫様〉のボディガードの改良をしようぜ!? ほら〈魔法使いの箒杖〉の材料の加工も頼みたいし、ついでに頼もう。俺がセルマさんのところに直接行く!」
「あ、ゼフィルス君、今はあまりセルマさんに近づかない方がいいかも。なんか赤点ギリギリだったんだって」
そこにハンナから衝撃の話が舞い込んできた。
セルマさん赤点ギリギリだったの!?
ホワイ。いったいなぜ!? あのテストって2年生にとって2回目だったはずだろ!?
「それが実はね。最近魂が抜けたように心あらずでね。授業もテストも全然身が入ってなくて、目の下にすごいクマさん付けて実技もふらふらだったんだよ」
「ま、マジか」
「…………依頼、出しておきましょうか。ちょっと薬が効きすぎたのかもしれないわ」
シエラがポツリと呟いていた。
例の不合格の件か?
だが、良き隣人ならシエラも大丈夫な様子。
結局シエラにその件は私に任せて頂戴と言われたので任せた。
〈魔法使いの箒杖〉は少し時間が掛かりそうか?
ならばその間に色々やるべきことをやっておこう。
何しろテスト返却期間である今週は、授業が少なく半ドンだ。
あ、ちなみに半ドンというのは授業が午前中で終わりで午後が休みって意味な。
というわけで午後に時間をたっぷりと使える。
ダンジョン行くも良し。ダンジョンに行くのも良い。そしてダンジョンに行くのも超良しだ!
つまり、俺はダンジョンに行きたい!
「ダンジョンに行く人~」
「「「「「は~い」」」」」
俺の声に手が挙がる人多数。しかし〈エデン〉
どうやらテストの点数を鑑みて復習したいメンバーも多いようだ。
「う~ん
「じゃあ、私たちもついていくわ!」
「シュミネたちはもうすぐ下級職カンストだったはずね。上手くいけば今日中にカンストまでいけるかもしれないわ」
「アリスたちなら攻略者の証ゲットの旅ね! 上級ダンジョンに早く着いた方がレベル上げが捗るし!」
「
俺の一言で今日の方針決定!
みんなで新メンバーたち&トモヨのレベル上げと攻略の手伝いをすることになった。
今週はやはり夏休み目前ということで結構忙しい人もいるため、放課後は上級中位ダンジョンはお預け。それよりも早めに後輩たちに追いついてもらうことの方が重要だな!
そこで思い至ったのがテスト期間に突入する直前、最もカンストに近かった3人だった。
俺は武器以外フル装備のヴァン、カグヤ、サーシャに問うた。
「ヴァン、カグヤ、サーシャ、そういえば3人のLVは?」
「は! お答えするであります! 自分のLVは――」
「ちょーっと待ったー! ヴァン、それを答えるのは私に任せてもらおうかー!」
「そうはさせないですの! 発表するなら私がするですの!」
「なにおう!? やるかいサーシャ?」
「負けませんですの!」
おっとこれはどういうことだ?
聞いたら唐突にバトルが勃発した! そして、結果は如何に!?
「実は自分、昨日でLVがカンストに届いたであります!」
「「ああーー!」」
しかし結果はヴァンが答えたことによってカグヤとサーシャのバトルはうやむやになった。
「マジか! というかカンストしたのか!?」
「マジであります! 自分は今【賢国守LV75】であります!」
「こらー! この唐変木ヴァン! なんでそれ先に言っちゃうかな! ゼフィルス先輩に言うのは私の役目だったのに!」
「さらっと役目がカグヤになってますの! 私も言いたかったですの!」
「しかし、お二人が不毛なやり取りを始めたためこの方が手っ取り早いと思ったであります!」
「「ぐぬぬ~」」
おおっと、しばらくテストで見ない間に
うむうむ。ヴァンもだいぶ女子に対して慣れてきた様子だ。いや、最初からカグヤとサーシャには慣れてたんだっけ?
……つまりヴァンも成長している、ということだ! 多分!
とはいえフォローはしておかないとな。
「カグヤとサーシャはLVどのくらいになったんだ? ヴァンのLVは今聞いたが」
「「75カンストだよ(ですの)」」
「そうか~3人とも頑張ったな! ついに3人もカンストに届いたか!!」
「あ、フィナちゃんフィナちゃん、あれ見て! 私、あのパターン見たことあるわ!」
「奇遇ですね姉さま。私も次の展開が読めました」
何やら視界の隅で双子姉妹がこそこそ俺を見つめながら話していたが、特に気を止めずに進めた。
「カンストしてしまったらもうレベルは上がらない! これ以上にレベル上げがしたければ上級職になる必要がある! ということで、3人はこれから俺と上級職に成りに行こう!」
俺はそう言って〈
「――!」
「わぁー!」
「へ?」
「「やっぱりだ(でした)!」」
ヴァンは無言で目を見開き、カグヤは両手を合わせてはしゃぎ、サーシャは話の展開に付いていきそびれたのかきょとんとしていたよ。
エリサとフィナが何やら声を高らかにしていたが、俺は気にせずに進めた。
ふっふっふ、レベルがカンストしたら即〈
―――――――――――
後書き失礼いたします! カウントダウン!
〈ダン活〉小説9巻発売まであと1日!
本日24時にはブックウォーカーなどで配信されます!
よろしくお願いします!
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