第1316話 倒せ倒せ指揮官倒せ、兵隊居ないなら怖くない
「ヘイタイガ、タイヘーン!!」
兵隊を失ってしまった兵隊長は孤立してしまった。
大チャンス!
所詮はゴーレム。あと5層ボス。
ちょっと〈氷属性〉が混じっていたが物理で攻めてくるのは変わらない。
兵隊も失って弱体化してしまった〈アイスクリスタル兵隊長〉はHPが半分以下になると、変形しその両腕をドリルにして氷の弾幕を張りながら突っ込んで来るという最後の手段に出たが、ラクリッテが『幻獣霊・盾狸様』で盾狸様を召喚して防御。
「兵隊サエ、無事ダッタラーーー!」
最後は怪獣大決戦もかくやという相撲試合に発展して――その間にボコボコにされて光に消えてしまった。
「勝ったぞー!」
「「「「おおー!」」」」
勝利の勝ち鬨!
上級中位ダンジョンのボスを初めて見たメンバーも多い中――楽勝で撃破。
みんなの歓声が心地良い!
「ショートカット転移陣があるわ!」
「上級中位ダンジョンも5層ごとにショートカット転移陣があると見て良いようですわね」
「ああ。〈謎ダン〉でもそうだった。となると、注意しなくちゃいけないのは20層だな」
「例の階層門が2つあるという話ですわね。この広い宮殿で両方を探さないといけないというのは骨ですわね」
今ホネデスって言った?
冗談だ。
そう、〈謎ダン〉では小さかったフィールドもランク2からは広大。
これで階層門を2つ探さなければならないというのだから大変だ。
まあ、やりようはあるんだけどな。
宝箱は――なんと〈木箱〉!
ぐはっ!? マジかよ。ちなみに中身は〈手加減の腕輪〉というアクセ装備。どんな攻撃をしても相手はHP1残って倒れないという『手加減』スキルを内包する装備だ。
ちょ、これ
ちなみに、階層門の場所が分かったので周囲の〈アイクリ〉に守られた扉を探索したら、〈金箱〉レシピを当ててしまった。
〈アイスクリスタルゴーレムの作り方〉というゴーレム作製レシピだったのでハンナのお土産にすることにする。こっちの方がボスより当たりってどういうことだ?
まあいい。とりあえず〈金箱〉ゲットだ! 盛り返したぞーー!!
「順調だな! この調子でどんどん行くぞー!」
「「「おおー!」」」
テンション上げ!
俺たちは初ボス撃破で調子が良いまま、6層への階層門を潜った。
だがそこは、見覚えのある迷路だった。
「ここは?」
「明らかにさっきまでの場所とは作りが違うな」
「でも見覚えがあるわ。リーナ」
「ちょっとお待ちくださいまし――〈竜の箱庭〉起動!」
「これは、迷路型の階層ですか!」
それは〈氷ダン〉や〈雷ダン〉などで見たことのあった、後半に登場した迷宮型フィールドだった。当然のようにここも中庭ではなく、階層門の入り口が迷路の中にある仕様だ。迷わないよう、リーナが即で入り口に
これで最悪出口が見つからなくても入口に戻ってやり直しができる。
「モンスターは、〈アイスクリスタルゴーレム〉がいないね」
「構造的に隠し部屋も見つからないよ~」
「え、じゃあもしかしてノーヒント?」
サチ、エミ、ユウカがお互いの顔を確認したあと、なぜか俺の方を向く。
はて? なぜこっちを向くのかね?
さらにリーナがシエラとアイコンタクトを取る。
「シエラさん」
「…………仕方がないわね。―――ゼフィルス、この地図の中で怪しいと思う箇所はあるかしら?」
おっとどうしたことだろう! シエラが俺にヒントを聞いてきたぞ!?
どうする、ここで階層門の位置を答えてしまうべきなのか、それとも!?
「そ、そうだな~。この辺とか、この辺とか、あとこの辺も怪しいんじゃないか?」
俺はグッと我慢して3箇所を指さした。
自重さんが家出していた影響で、最近はちょっとだけ直接的な答えを言い過ぎてしまったような気がしなくもない。本当にちょっとだけな。
ということで少しだけヒント的に言ってみた。
ふう、これで怪しまれることもないだろう。
シエラもジト目をサービスしてくれている。成功だな!
「ふーん。私はここが良いと思うわ!」
「あ」
気が付けばラナが正解を指さしていた。
なんてことを!?
「じゃあとりあえずそこへ行ってみましょう」
「了解いたしました。〈イブキ〉を準備します」
そしてシエラの一声でどこから確認するか決定!
階層門のある場所に直接向かうことになってしまった。
あれ? おかしいぞ。俺の予想では1箇所目がハズレで、2箇所目くらいで当たりを引くはずだったのに!?
こうして〈氷ダン〉の時と同じような氷の迷路を進み、階層門を無事発見した。
シエラのジト目が絶好調だ!
もう細かいことなんてどうでもいいかもしれない。
「……あったわね」
「そうだな!」
「…………入りましょうか」
「よし、エステル、入ってくれ!」
「了解いたしました」
こうして難易度の高いと言われていた迷路フィールドも無事クリア!
7層ではついに初のエリアボスと遭遇した。
目が8つある白毛の猛牛みたいなもふもふフサフサの獣型モンスター〈
前半と後半でギャップが凄い名前だ。強いのか弱いのかも分からない。
頭部に雄々しい2本の角が生えていたため猛牛と例えたが、その顔はトカゲっぽい。トカゲにもふもふが生えている感じだ。口を開けるとそこには生え揃った牙が見えた。
「あれは可愛くないのです!」
「ルルに同意します。いくら毛が生えていようとトカゲではルルの寵愛は受けられないと知りなさい」
「ブルッ!?」
おっとここで可愛いに
それにシェリアが追随し、〈モフブル〉がブルっと震える!
ここはルルたちがやるようだ。
今回のルルチームはなんと、ルル、エリサ、フィナ、シェリア、ルキアである。
大半がロリチームでシェリアが絶好調だったとだけ言っておこう。
〈モフブル〉は容赦なく光にされていた。
「レベルが上がんないね!」
「もうちょっと奥に行くまでレベルキャップは外れないのでしょうか?」
光になったボスよりもレベルが上がらなかったことの方が気になるルキアとシェリア。
ルルなんてそんなことはすでに気にも止めず宝箱の方に集中している。
〈モフブル〉が哀れだ。
ドロップは、〈銀箱〉!
中に入っていたのは、この〈守氷ダン〉でしか使えない〈氷宮殿の鍵〉が5本だった。つまり25回分。
微妙!
売却一択だな。〈エデン〉には〈万能鍵(金)〉があるのだ!
まあ〈氷宮殿の鍵〉は回数回復すれば無限に使えるので悪くない金額で売れるだろう。
次行ってみよー!
ちなみに上級中位ダンジョンの
故にランク1からランク3までを〈41エリア〉。
同じ理由でランク4からランク6までを〈46エリア〉。
ランク7からランク10までが〈50エリア〉と呼ばれている。
「ねぇねぇルルちゃん、〈謎ダン〉では何層でLV上がったの?」
「任せるのです! ――ゼフィルスお兄様ー〈謎ダン〉でレベルが上がったのは何層だったのです?」
ルキアの言葉に自信満々に胸を張ったルルが――なぜかそのまま俺にパスしてきたので答えてあげる。きっと忘れてしまったのだろう。
「確か16層でLV35、31層辺りでLV36になったな」
「そうね。31層のボスを〈エデン〉が担当したのだけど、そこで初めて上級職LV36が観測されたわ」
「あの時はお祭り騒ぎだったな!」
シエラの答えに頷く。
実は、15層からはLV35までが解禁されるのだ。
30層からはLV37までが解禁。
そして50層からはLV40まで解禁だ。
これはランク1からランク3まで共通だな。
「というわけなのですルキアお姉ちゃん!」
「ありがとうねルルちゃん――えっとゼフィルスさんとシエラさんもありがとうございます?」
ドヤ顔のルルに微笑ましそうにお礼を言うルキア。
実質答えた俺とシエラにもお礼を言うあたりマメだな。疑問符付いてたけど。
「おう。後でたくさんボスを狩ろうな!」
ここには別のギルドの目も無いので元気に狩りが出来る。
じゃんじゃんレベル上げしような! 俺は親指を立ててそう言っておいた。
そんな感じで目的を持って進み、夕方には10層へと突入した。
守護型ボスは〈
なんと巨人のボスである。身長8メートル近くもあるのにその姿はローブと杖を持つ男魔導師である。
魔法を使って攻撃してくるぞ。魔法もデカい。何もかもデカいボスだ。
ついに宮殿に仕える〈宮廷魔導師〉系が出てきたか。
それに対抗するのは同じく魔法使いであるメルトをリーダーとするパーティ。
メルト、カタリナ、フラーミナ、ロゼッタ、ラウである。
その戦い方は圧巻の一言。
ロゼッタがタンクをしている中、全体攻撃を仕掛けてくる〈マドウ〉さん。
しかしその魔法をラウが『獣王に引き裂けぬ物は無し』で引き裂いてしまったんだからさあ大変。
むっちゃびっくり仰天するボスにたたみ掛けるようにメルトが魔法を返し。
フラーミナが『ワンダフルパニック』で動物の大群を呼びわちゃわちゃしてた。
傍から見ていると、とても面白かった。俺もいつか動物の群にわちゃわちゃされてみたい。
まあ、基本はロゼッタの近距離タンクとカタリナの遠距離タンクで防ぎながらメルトとラウとフラーミナがアタックする戦法で楽勝だった。
メルトなんか『攻防デュアル』を使うまでもなかったからな。
〈マドウ〉さんは無念そうに消えていったよ。変形がなくて俺も残念だ。
しかし――ドロップしたのはなんと〈金箱〉!
中から出てきたのは、フラーミナが使っている浮遊できる杖〈レビテーションスノー〉の強化版。
―――〈魔法使いの
……ヤベぇの当たっちゃった!?
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