第1103話 学年末テスト期間に突入。今回は一味違うぞ。




〈生徒会選挙〉が終わればすぐダンジョン週間に突入する。

 早っ! またダンジョン週間!?

 そう思うのも仕方ない。2月は1日が土曜日なのだ。

 つい2月2日の日曜日に1月のダンジョン週間が明けたばかりだが、17日月曜日から第四週に突入して授業がお休みになるため、実質15日土曜日である今日から2月のダンジョン週間突入となる。素晴らしい。


 しかし、今回は時期的に大きな問題が立ち塞がっている。


 その名も――学年末テスト。


 それがダンジョン週間明けから開始される。


 本来テスト期間ではテストの前の週からダンジョンの入ダンが禁止になるが、ダンジョン週間はダンジョンの入ダンが推奨される期間。

 そのため、今回ばかりはダンジョンが禁止にされず、開放されていたりする。

 これは、ダンジョンの評価も重要な指標となるためだ。来年度のクラス替えのな。


 だからといってダンジョンに入りまくればどうなるかは明らかだろう。

 テストに集中するか、ダンジョンに行くかはその人次第。

 自由意志という名のふるいに掛けられるのだ。そしてその結果は来年度のクラス替えという形で表れることになる。恐ろしいぜ。


 今までしっかり勉強を復習して来て余裕のある人はダンジョンに潜っても良いだろう。

 余裕の無い人はダンジョン週間という授業の無い9日間、勉強漬けだ。頑張ってくれ。


「というわけで、勉強がピンチな人はダンジョン週間中にしっかり勉強してもらう。ダンジョンに入れるかはその習熟次第だ」


「「「ええー!!」」」


 ギルドハウスで集まった全メンバーに俺がそう発表すると、至る所から悲鳴にも似た叫びが響いた。

 学年末テストは文字通り、自分の学年で習ったもの全てがテスト範囲だ。つまり約1年が範囲である。復習するべきところは多い。

 だからこそダンジョン週間という9日間の時間の後にテストが待ち構えているんだけどな。


「はいはい静粛に、静粛に。今回のテストは2年生に進級するときのクラス替えに直結する。ここで良い成績を残さないとクラスが離ればなれになってしまうから要注意だぞ」


「みなさん、奮起するのですわ! 1人だけ違うクラスなんて悲しいですわよ!」


 俺の隣に立つリーナもみんなに気合いを促した。

 過去、リーナは1人51組で少し寂しい時期があったらしく「絶対に1組に入りますわ」という闘志に瞳が燃えている。

 同じクラス元51組だったカタリナたちが〈エデン〉に入ったのはクラス替えしてからだからな。そのカタリナたちも新学年に行ってしまったし、リーナは別れが続いて思うところがあったのだと思う。


 学園は上位成績者であるほど若い数字のクラスに所属することになる。

 若い数字であればあるほど、それは自身のステータスとなるのだ。

 とはいえここにいる子たちはそんなことを気にするより「クラスが離ればなれになるよ」と言った方がやる気が出るだろう。

 みんな仲良しなのだ。


「特に来年度は〈新学年〉が合流して人数が一気に倍以上に増えるからな。ある程度テストで良い成績を修めないとクラスがもの凄く離されるかもしれないぞ? 特に戦闘課は」


〈新学年〉は1年生、2年生、3年生が移籍してから増えに増えた。

 現在1年生の戦闘課は119組まであり、〈新学年〉は161組まである。

 合流すると280組だ。

 すごい数字だな。さすがはマンモス校。


「クラス替えはテストの成績だけが反映されるわけでは無い。授業態度、素行、攻略階層数、職業ジョブ職業ジョブLVなどなど、あらゆる要素で判断していると聞いている」


「〈新学年〉の学生はテストの成績と職業ジョブは良いものの、まだ職業ジョブLVが低く、カンストしている人なんかは一握りですわ。〈エデン〉はほぼ全員が上級職ですし、攻略階層数もトップクラスです。テストの点さえよろしければ十分上位クラスを狙えますわ」


 2年生からは〈新学年〉の学生が合流してくるためクラス数が大幅に増える。

 しかし、今リーナが言ったように、彼ら彼女らの大半が下級職、しかもLVカンストしていない。

 上級職となり、上級ダンジョンへ挑み、攻略階層数がトップクラスの〈エデン〉〈アークアルカディア〉メンバーならそれだけで一桁クラスになるのは容易いだろう。後はテストの点が振るえば十分に1組2組を狙える。


〈エデン〉〈アークアルカディア〉には俺も含め、素行に問題のある学生なんていないしな!


 ちなみに、〈エデン〉〈アークアルカディア〉では現在〈戦闘課〉所属は31人だ。

 ハンナとアルルが〈生産専攻〉、ニーコとカイリが〈支援専攻〉である。

 微妙に一クラスに収まりきらないので2組までを目標にする。


「というわけで、勉強が苦手な子たちはがんばろうな?」


「「「ふぁ~い」」」


 何人か気の抜けたような声が聞こえたが、何、問題は無い。


「安心しろ、俺も一緒に付き合うさ」


「そりゃ、ゼフィルス君は勉強を楽しんでるもんね!」


「ハンナも勉強を楽しめば良いんだ」


「うう~、それはちょっと難しいかも~」


 ハンナは〈錬金術課〉だが、俺が教えるので問題は無い。


「なんでゼフィルス君の方が私より知ってるの?」


「勇者だからな!」


 本当は勉強したからだ。空いた時間にコツコツ。というか夜に結構時間が空くので俺は基本勉強している。勉強という名の〈ダン活〉知識吸収に精を出しているのだ。

 これがやめられない止まらない。

 そして1年生の授業ならどの課でも100点が狙えるくらいになってしまった。知識面で妥協はしないよ? ふはは!


 まあ、おかげで誰にでも教えてあげられるのだから良いことなのさ。


 前のテスト期間の時と同じように勉強が苦手な人に得意な人を付け、マンツーマンで勉強を教えていくスタイルを取る。

 自力で勉強して良い点が取れる人は自分のペースで勉強してもらい、自力では厳しい人には先生役が付く形だな。


「ハンナは俺が担当で教えるな。〈生徒会〉の生産隊長になったんだからそれなりに勉強もできなくちゃならないだろう」


「はう! 生産隊長の仕事で一番厳しいのって、もしかしてテストなんじゃないかな……」


 ハンナがとある真理にたどり着いてしまった。

 そういうこともあるよね。


「何安心してほしい。俺がビシバシ叩き込んでやるからな!」


「お、お手柔らかにね?」


 ハンナにそう言われるとお手柔らかにしてあげたくなっちゃうな。

 でもダメ。ビシバシいくよ?




 ――――――――――――

 後書き。


 31人……一瞬、教師と生徒30人で丁度では?

 と思ったのは内緒。

 ちゃんとクラス替えしますよ。



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