第972話 【鋼鉄筋戦士】の〈鋼鉄粉砕ビルドローラー〉!




「行くぞアラン。〈鋼鉄粉砕ビルドローラー〉だ!」


「おう!」


「やばい! 〈筋肉ビルドローラー〉が来る! フォーメーションを組ませるな! 『ライトニングレイ』!」


【筋肉戦士】の十八番、〈筋肉ビルドローラー〉が来ると慌てて指示を出すボルス。

 しかし、人数のいる〈筋肉ビルドローラー〉は進化していた。


「行け! 筋肉たちよ! 〈筋肉ブロック〉だ!」


「「「応!」」」


 瞬間、ランドルの指示で3人の筋肉が前へ出たかと思うと。

 そのまま筋肉を唸らせひけらかせ、それぞれがムッキムキのポーズを取ったのだ。

 これこそが〈筋肉ブロック〉。要は筋肉の壁で相手の攻撃を防御する技(?)だ。


「うおおおおお!!」


「『サンダーバースト』!」


「『ライトニングボルテックス』!」


「『サンダーアロー』!」


「ふははははは! そんな攻撃効かん効かん効かんわああああ!」


「ははははは! 嫌いじゃない、嫌いじゃないぞ~!」


「筋肉のコリが電気でほぐれていくようだ。良いマッサージだぜ!」


「ぜ、全然効いてないわ!?」


「焦るな! ちゃんとHPは減ってる!」


「いや、明らかにダメージが少ない」


「こいつらまさか、〈耐雷ポーション〉を!?」


「く、他の属性を使え! 『パニックフレア』!」


〈サンダーボルケーション〉の一方的な攻撃を浴びているにも関わらず筋肉たちは健在。筋肉たちはここを攻める前に〈上級耐雷ポーション〉を飲み〈雷属性耐性〉を上げてきていた。ダメージは低かった。

 さらには、


「そこの筋肉は俺と交代だ」


「おう。なかなか病みつきになる痺れだったぜ」


「ひっ!」


 HPが減った筋肉と全快の筋肉が交代することで倒されないのだ。後ろに下がった筋肉はもちろんポーションで回復する。

 筋肉の足音が聞こえてくるようだと一部の〈サンダーボルケーション〉メンバー(主に女子)から悲鳴があがった。


 そして当然その間に〈筋肉ブロック〉の裏側では〈オール耐性ポーション〉をグビッと飲んだ筋肉たちによる〈筋肉ビルドローラー〉が組まれていた。

 横に並んだのはアラン含めて4人の男たち。それが右腕、左腕の順に隣の筋肉の肩に回す。


「「「「筋肉!」」」」

 ――ガシャン。


「「「「筋肉!」」」」

 ――ガシャン。


「「「「〈筋肉ビルドローラー〉!!!!」」」」


 完成。

 その後ろにはさらに4人の筋肉たちが肩を組み合い、〈筋肉ビルドローラー〉を形成していた。

 二段構えの〈ダブル筋肉ビルドローラー〉だ。


「行くぞ! 〈筋肉ブロック〉解除だ!」


「「「応!」」」


「「「「うおおおおおおお!!」」」」


 そして放たれた〈筋肉ビルドローラー〉。


「来た!? 来た来た来た!?」


「うおおおおお止めろーーー! 『ブリザードストリーム』!」


「『シャドウランチャー』!」


 一斉攻撃でそれを止めようとする〈サンダーボルケーション〉だったが、それは叶わなかった。

 前方に並んだランドルとアラン、そして他2人が上級職【鋼鉄筋戦士】のユニークスキルを発動したからだ。


「我らを支えるのは無敵の筋肉! 筋肉は鋼鉄となりどんな装備にも勝る最強の鎧! ユニークスキルを発動するぞ!」


「「「応!」」」


「「「「ユニークスキル『最強の筋肉は鋼の鎧、これに勝るものは無し』!」」」」


 ランドルの筋肉語に気合を入れる筋肉たちがアクティブスキルのユニークスキルを発動した。

 そうこの4人は、ギルド〈筋肉は最強だ〉で4人しかいない上級職、【鋼鉄筋戦士】の〈筋肉ビルドローラー〉だった。

 そして【鋼鉄筋戦士】のユニークスキルはその名の通り、筋肉を一定時間鋼鉄メタル化するスキル。


 ただでさえテカッテカにテカりまくっていた筋肉がさらにテカりが増し、黒い鋼鉄へと変化したのだ。

 その効果は『攻撃力大上昇』『防御力大上昇』『ダメージ減少』に加えなんと『ノックバック耐性』が付く。

 一定時間まるで怒り状態のボス並な荒ぶる筋肉になってしまうやべぇスキルだ。


「き、効いてない! 今度は本当に効いてないぞ!?」


「『パラライズノックサンダー』! ――!? な! 誰1人麻痺らないだと!?」


 筋肉の弱点は状態異常。

 しかし、それも〈エデン〉で購入した〈オール耐性ポーション〉によってある程度克服してしまっている筋肉はもはや敵なしだった。

〈筋肉ブロック〉を使ってまで〈筋肉ビルドローラー〉に時間を掛けていたのは〈オール耐性ポーション〉や〈エリクシール〉を飲むためだったのだ。


 放たれる攻撃の嵐を悠々と走る筋肉たち。その足音はまるで地獄への案内のようだった。


「「「「うおおおおお!!」」」」


「ひぃ! 避けろ! 野戦では敵わないぞ!」


「きゃああああ!?」


「あぶばっ!?」


「1人轢かれた!」


「ふ、二手に分かれやがった!?」


「お、おいあれを見ろ! さ、三段構えだ!?」


「その後ろにも〈筋肉ビルドローラー〉が形成されているぞ!?」


「よ、四段構えだとーー!?」


〈筋肉ビルドローラー〉は基本4、5人で1組。

 そして筋肉は16人いる。

 出来る〈筋肉ビルドローラー〉は4人1組で4組だ。


 そして先行していたランドルたちのビルドローラーをやり過ごしたとホッとしたのも束の間、後続が迫っている。


「きゃあああああ!?」


「筋肉が追いかけてくるーー!?」


「た、助けぎゃああああ!?」


 もはや組織的な行動も取れずバラバラになってしまった〈サンダーボルケーション〉、そしてそれを追いかける〈筋肉ビルドローラー〉の図が出来上がってしまう。

 時には追いかけ、時には囲い、時には挟み撃ちにしてどんどん〈サンダーボルケーション〉のメンバーは退場していく。

 轢かれたらそのあまりの攻撃力に退場してしまうのだ。本当にとんでもない技である。さらに。


「くっ、なら、攻撃する瞬間を狙えば! 『スクラッシャーボルケーノ』!」


〈サンダーボルケーション〉のギルドマスターボルスは諦めなかった。

 相手は縦横無尽に走り回っているとはいえ、横並びで走る関係上避ける隙はある。

 そう見て全身テカッテカにメタル化しているランドルたちの〈筋肉ビルドローラー〉を、当たる直前に横回転で横に跳び回避、そして反撃を放ったのだ。

 これを繰り返せば倒せる。〈筋肉ビルドローラー〉打ち破ったり、と一瞬表情が晴れたボルスだったが、その表情はすぐに固まった。


 目の前に〈筋肉ビルドローラー〉を解除した筋肉たちの鋼鉄の拳が四つ迫っていたからである。『ノックバック耐性』は強かった。そして。


「「「「鋼鉄筋肉ストライク!」」」」


「ぐああああ!?」


 別に〈筋肉ビルドローラー〉に拘る必要は無い。

 避けられたなら〈筋肉ビルドローラー〉を解除して襲えばいいのだ。


 一瞬でメタルな筋肉4人と戦うことになってしまったボルスはこれに対抗しきれず、一瞬で退場してしまうのだった。


 そしてそれから数分後、ギルド〈サンダーボルケーション〉の拠点も陥落してしまう。


 フィールドの北側で生き残っているギルドは、これで二つ〈エデン〉と〈筋肉は最強だ〉だけになった。


 そして筋肉の躍動はまだ止まらず、次のターゲットへと進むことになる。次の対戦相手に選んだのは、〈エデン〉だった。




 ―――――――――――

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