第973話 城攻め! 〈表と裏の戦乱〉VS〈氷の城塞〉!
前書き失礼します!
ゴールデンウィークキャンペーン最終日!
今日も4話投稿します!
本日もどうぞお楽しみください!
―――――――――――
場所はフィールドの南東、〈氷の城塞〉がある地点。
そこでは今防衛戦が繰り広げられていた。
「東に回り込んだ相手に3人ぶつけて! 防衛モンスターは〈タカサブロウ〉と〈ハクシャミー〉を2体ずつ配置して、急いでね!」
「レイテル様、正面へ迎撃をお願いいたします」
「わかったわ! 行くわよ! ――『
「上だ! もっと盾を上に構えろ! 盾の下に入るんだ!」
「注意を上に向け視界を塞いだわ。今よ
「はっ! じゃんじゃん落とせーー!!」
「「「「うおおおお!」」」」
「しまった! 退避! 退―――おおおおお!?」
そこはまさに城塞攻めの真っ最中だった。
Bランク非公式ランキング第十位〈表と裏の戦乱〉が南へ進軍し、〈氷の城塞〉を攻めているが、成果は芳しくない。
何しろそこはギルドの名にふさわしい、拠点が氷で覆われた城塞だったからだ。
これは〈氷の城塞〉のギルドマスター。「伯爵」「姫」カテゴリーを持ち、
まだ下級職ではあるものの、その実力は凄まじい。
氷の壁で防御し、攻めてきた敵を役割分担して迎撃していた。
この戦法のヒントになったのは上旬にあったギルドバトル。〈エデン〉が【難攻不落の姫城主】で使っていた戦法だった。
アレを見た時、レイテルはそれこそ雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
非常に完成度の高い防衛システム。
保護期間に頼らない拠点を守る戦法、完成された答えがそこにあったのだ。
レイテルはすぐにそれを分析して練習し、実戦で使えるレベルにまで仕上げてきた。いや、ギルド全体で仕上げたと言って良い出来となっている。2度の実戦を経て完成度と慣れは中々の仕上がり。この〈学園出世大戦〉に最高のパフォーマンスで挑むことが出来ていた。
レイテルは元2年生の〈新学年〉。つい先日、先代のギルドマスターからその座を受け継いだばかりの新米ギルドマスターではあるものの、その実力は見ての通り。
元々この戦法に近い構想を考えており、先代のギルドマスターと共にDランクの時に名前を〈氷の城塞〉に変更するほど意気込んでいたが、まだまだその運用は拙いと言わざるを得なかった。しかし、完成形を見せられたことでそれが開花したのだ。
先月、拙いながらもギリギリでCランクにランクアップしたはずだった〈氷の城塞〉も、防衛戦で相手を下し、先日Bランク戦を挑んで余裕でBランクへと昇格して、今ではBランク非公式ランキング第四位と言われるほどの実力を得ているギルドに成長していた。
元Dランクのギルドがこのまま僅か1ヶ月ちょっとでAランクの仲間入りを果たすのではないか、それほどまでに城主は強いぞと囁かれている、注目のギルドだった。
「氷の壁を補強します。『氷の城壁』! 『氷結強化』!」
それはこのギルドの名前の由来となった魔法だ。レイテルが杖を構えて『魔法』を唱えれば氷の壁が地面から立ち上がり、ボロボロになっていた氷の壁が消え去った。入れ替わって新品に生まれ変わったのだ。
「くっ! 溶かせ溶かせ! 氷なんて炎で溶ける!」
「魔法班! 諦めるな! 撃て撃て撃てー!」
対して〈表と裏の戦乱〉は〈火属性〉の攻撃で対抗する。
〈表と裏の戦乱〉が、Bランクの非公式ランキングで第四位に輝くギルド〈氷の城塞〉を攻めている理由は単純明快で、勝ち目があると考えたからだ。
まずは〈火属性〉攻撃。氷は燃やせば溶ける。
そう考えていたのだが、
「くっ!? 全然溶けないだと!?」
「なぜだ!?」
実際はあまり効果があるとは言いがたかった。
いや、効果はある。実際溶けている。しかし、思ったより遅かっただけだ。
実は氷というのは思ったより溶けにくい。炎で炙られても結構溶けるのに時間が掛かるのだ。氷の魔法と炎の魔法が放たれてぶつかった時、氷を溶かされる前に炎を突破出来るくらいには時間が掛かってしまう。
この氷の壁は強化された防御スキルでもあり、張り替えも可能であり、〈氷の城塞〉自体も迎撃に本気ということもあって氷を溶かす作業は中々進まなかった。
溶かすではなく壊すの方がまだ効率が良いだろう。
「効率が悪い!」
「ならば、別の手を使うしかあるまい」
そう考えすぐに切り替える。
〈表と裏の戦乱〉はもう一つ秘策があった。むしろこっちが本命だった。
「〈攻城兵器〉を使うぞ!」
「「「おおおお!」」」
それは〈防壁〉破壊専用アイテムだ。
クラス対抗戦や先日の〈エデン〉のギルドバトルを見て、ある程度の実力のあるギルドは思った。専用の〈破壊〉系が必要だと。
もちろん
〈表と裏の戦乱〉は専門の
もちろん1人では使用不可、最低6人で活用するくらいの大型で強烈なアイテムだ。
「守れ守れ! 破壊させるなよ!」
「盾班こっち来てくれ!」
〈表と裏の戦乱〉は数カ所にばらけて囮役をさせているうちに8人が集まり、その準備をする。
盾が2人構えている後ろで6人の学生が攻城兵器を準備していた。
「よし。持つぞ、せーの!」
「「「「「うおおお!」」」」」
「突撃だーーーー!!」
「「「「おおおおおおお!!」」」」
「あれは!」
〈表と裏の戦乱〉が仕掛けた。
盾2人の後ろに隠れるようにして6人が突撃する。
6人が持っているのは巨大な丸太。名称〈破城丸太〉。
それを片側3人ずつ持ち手部分を両手で持ち、城塞に突っ込んで来たのだ。
もしあの巨大丸太で城壁を
そして当然城塞を作る側もそれを承知している。
「なるほど、あれを持っていたから攻めてきたのね。でも私たちが警戒していないとお思いかしら?」
レイテルがそう言うと杖を構えた。
他の場所で攻撃が強まったのは気を逸らすための囮、本命はこの攻城兵器だと分かる。
レイテルは指揮役で周囲を警戒していたため誰よりも早くそれに気が付き、動いていた。
攻城兵器がマスに侵入してきた瞬間、魔法を発動する。
「『氷の大地』!」
放たれた攻撃が大地に着弾した瞬間、地面がそこそこ広範囲で凍った。それ自体はなんのダメージも無い、ただ地面を凍らせ、氷の大地を作るだけの魔法。
だが、勢いよく走ってきた者たちにとってはとっても良くないことだった。
「「「す、滑る、滑るううう!?」」」
「「「わあああああ!?」」」
攻城兵器は最低6人で使わなくてはいけない連携がキモになるアイテム。
つまり、それを崩してしまえばどうということは無いのだ。
【氷城主】はもちろん一部の大地を凍らせることも可能。勢いよく氷に足を踏み入れた者たちはツルッと滑ってダウンした。『氷の大地』は人がいる場所に直接使うことはできない罠魔法だが、引っかかればスリップダウンを取れる優秀な魔法なのだ。
飛んで火に入るなんとやらである。
「今よ! 撃ち込んで!」
「「「もらったーーー!!」」」
「「「「ぎゃああああ!?」」」」
そこへ追撃の魔法が降り注ぎ、ダウンしている者たちを庇うため盾持ちがカバーしたのにもかかわらず4人が退場してしまう。その中には、サブマスターの姿もあった。
これが決め手になり〈表と裏の戦乱〉は大きな被害が出て敗走。
約半分のメンバーがやられてギルドに戻るハメになった。
ギルド〈氷の城塞〉の被害は防衛モンスターが4体ほど。メンバーで脱落者はゼロ名。
どちらが勝者かは明らかだった。
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