第938話 レアボス撃破! 連打する五段階目ツリー!
「グマアアアア!!」
超強力な五段階目ツリーの攻撃を浴びまくった〈カマグマ〉が叫びながらようやくダウンから復帰する。
初撃からいきなりのダウンだ。さぞ怒りは深かろう。
ヘイトが乱れているが、狙われたのはやはりダウンを取った俺だった。
距離が3メートルと微妙に離れているがそんなことは知らんと言わんばかりに〈カマグマ〉が爪を振るうと俺に風のカマが迫った。『ツメイタチ』だ。
しかし、それは俺に直撃する直前。スッとオートで掲げられた俺の盾によりガードされ、かき消えてしまう。
「クマ?」
ん? と言わんばかりのクマ反応。
まさかそんな簡単に、この近距離の攻撃を見切られしっかりガードされるとは思っていなかったに違いない。
これは俺が獲得した五段階目ツリーの一つ。
『
今まで遠くからの認識外の遠距離攻撃は自動で回避出来ていたのだが、認識している相手の攻撃は『超反応』の範囲外だった。しかし今度の『自動防御』は接近戦でも有効。
盾で防御出来る姿勢ならという制限はあるものの、
『直感』『超反応』『自動防御』が合わさった勇者はマジで防御がガッチガチになってなかなかやられなくなる。やべぇスキルである。
ガードして凌いだ後はこちらの番。そのまま五段階目ツリーで突撃する。
「風には風ってな! いくぜ――『テンペストセイバー』!」
『テンペストセイバー』は素早いダッシュからの剣スキル。なんと『ソニックソード』の上位ツリーだ。俺はこれを今回は突きに使う。
暴風を一緒に放つかのような一点突きにより吹き飛ばし効果と大きなダメージを生み出す強力なスキルだ。
「うぉりゃぁ!!」
「マ!? グマアアアア!!」
ズドーンっと強力な一撃が腹に突き刺さり、暴風の影響でズザザザと〈カマグマ〉の巨体が地面を
「ゼフィルス、もう十分でしょ? そろそろタゲを返してね――『グロリアススマイト』!」
「グアアアアア!!」
五段階目ツリーの挑発スキル、『シールドスマイト』の上位ツリー『グロリアススマイト』が突き刺さる。
『グロリアススマイト』は自在盾四つによる強力な攻撃スキル。
単体攻撃で自在盾が強襲し、折り返して何度も何度も攻撃してくる様子は圧巻。ボッコボコにしてさらに大きくヘイトまで稼ぐスキルだ。
そこからシエラはボコボコにしながら『挑発』『ガードスタンス』と続けてヘイトを稼ぎ、無事タゲがシエラに移る。
「大技行きます―――『インパルススラストキャノン』! 『ホーリースラストバースト』!」
「抵抗なんて無駄なんだからね! 『
遠距離組の攻撃のさえが凄まじい。
エステルからは強力な衝撃波を備えた『インパルススラストキャノン』や聖属性の突きスキルで『閃光一閃突き』の上位ツリー『ホーリースラストバースト』が飛んで大ダメージ。
ラナからは『光の柱』の上位ツリーで、天から裁きの光が降り注ぐ『
2人とも超派手だ。
「ん。みんな強い。負けないよう頑張る――『ブレイクピンポイントスタッブ』!」
カルアは〈カマグマ〉の背後に回り込んでから『鱗剥ぎ』の上位ツリー『ブレイクピンポイントスタッブ』で大きく防御力にデバフを掛けながら斬りつけた。そこから、
「グ!?」
「ん! 『128スターフィニッシュ』!」
「マアアアアアアアア!?」
トドメとばかりに大技で斬りつける。なかなかのかっこよさだ。〈カマグマ〉の反撃が完全に追いついていない。
『128スターフィニッシュ』は『64フォース』の上位ツリー。クロスするように斬るところは『64フォース』の時と変わらず、変化したのはその後に相手に突き刺さる斬撃の多さ。単純に倍だ。それが一瞬で突き刺さる。
あまりに威力が強すぎて通常のモンスターでは128ヒットする前に光に還ってしまい、カルアが不満そうにしていたんだが、ようやくその真価が見られたな。
みんな五段階目ツリーを惜しげも無く使っている。というか使いまくっていた。
そのせいで〈カマグマ〉はまだ何も出来ていない状態なのに3本あったHPバーの1本が早々に無くなってしまう。
「グマアアアアアア!!!!」
「おっと離れろ! HPバーが2本目にいった、おそらく形態が変化するぞ!」
「ん!」
「わかったわ」
俺の指示に前衛のカルアとシエラがバックステップで距離を取る。
ランク1のレアボスとはいえ意地がある。それを体現するかのように〈カマグマ〉は見た目がより凶悪に、そして自身が纏う風が強くなり、近づいただけでダメージを負うボスへと形態が変化した。第二形態だ。
「グマアアアアア!!」
「ここだ! 『フルライトニング・スプライト』!」
「アアアアア!?」
第二形態への形態変化が終わりを迎えた瞬間のタイミングを狙い撃ち。ここで魔法攻撃の五段階目ツリー、強力な雷を放つ『フルライトニング・スプライト』を放つ。
当然形態の変化が終わったばかりの〈カマグマ〉がこれを避けられるわけも無く直撃。
すると、直撃した雷が弾けて爆発したようなエフェクトをまき散らし、〈カマグマ〉に大ダメージを与えた。眩し!
「ん! 派手!!」
「前に出るわ。エステルとラナ殿下は側面から攻撃してね」
「了解しました」
「任せて頂戴!」
ここでシエラが盾を構えながら前に出る。
〈カマグマ〉は『フルライトニング・スプライト』の直撃を受けて怯んでいるが、すぐに体勢を整えたようだ。〈クジャ〉の突風を思い出すような猛烈な風が巻き起こる。
「くっ、凄い風!」
「こいつは〈クジャ〉より強力なボスだ! 吹き飛ばされないよう気をつけろ!」
「分かったわ! あと、近づいただけで徐々にダメージを受けているみたい。ラナ殿下、回復を!」
「新しいので行くわ! 『
「――わ、凄い回復力ね」
〈カマグマ〉の周囲はカマイタチが発生するほどの強風となっている。
さらには近づくとスリップダメージまで入るようになった。なかなか強力な形態だ。
しかし、スリップダメージなんてラナの能力でどうとでもなる。
新しい五段階目ツリーの『
ただでさえ壊れ気味だった〈継続回復〉の重ね掛けがさらに強化され、シエラですら驚くほどの毎秒回復を叩き出していた。
「グマアアアア!!」
「おっと反撃開始なようだ。飛んでくる風のカマに注意しろ!」
こいつは第二形態からが本番。その理由が、
「!! ボスが、走るわ! 気をつけて!」
四足歩行になって走り回るからだ。
なんとなくカマイタチっぽい動き。気のせいかもしれないが。
そしてこの風を纏った突進なので紙一重で避けてもかなりの衝撃とダメージを受けてしまう厄介さを持っている。しかも速い。スキルの『カマグマ突進斬・乱凸』だ
動く度に切り裂くカマを空間に残していくので後を追いかける方も大変だ。
つまりは待ち伏せが有効。
「ここだな。強力なの行くぜ! 『
まずは位置に付いて自己バフ用意。今回使った五段階目ツリー『雷属聖剣化』は攻撃スキルでは無くバフスキルだ。自分の剣を聖剣化し、強力な〈雷属性〉を付与するバフだ。
これにより、俺の攻撃には全て〈雷属性〉によるダメージが上乗せされる。
『属性剣』の上位ツリーだが、属性が〈雷属性〉しか選べない。限定されるためにその付与数値は絶大だ。
ここで決めてやるぜ!
「グマアアアア!」
「みんな総攻撃の準備は良いか! 行くぞ!」
俺の居る位置にちょうど突っ込んで来る軌道で走る〈カマグマ〉。予想通りの軌道!
「行くぜ―――『フィニッシュ・セイバー』!」
「ガアアアアアア!?」
フィニッシュ!
俺は真っ正面から脳天に向かって『聖剣』の上位たる『フィニッシュ・セイバー』を叩き込む。
スパン――ズッッッドン!! というとんでもない衝撃音が響き渡り、〈カマグマ〉は完全にノックバック状態で硬直する。よっしゃ止まったぜ!
もしそのままダッシュして行ってしまった場合でも今の俺には『
『聖剣』は元々硬直効果があったが、ちゃんと『フィニッシュ・セイバー』にも受け継がれている。
「カルア!」
「ん! 『急所一刺し』! ざっくり」
「グマン!?」
さすがはカルアだ。カルアの速度は〈カマグマ〉を上回り、まるで併走するかのようにいつでも飛びかかれる位置をキープしながら動いていたのを俺は知っていた。
当然俺が止めればその隙を突いてくれるだろう。
長く共に上級ダンジョンを攻略してきた信頼は伊達ではない。
ノックバックした〈カマグマ〉に飛びかかり、胸元に乗るようにして短剣をぶっすりと刺したカルアの一撃を受けて、〈カマグマ〉は「またかよ!?」と嘆くようにダウンした。総攻撃チャンスだ。
そこからはまたさっきみたいに五段階目ツリーの攻撃の応酬が叩き込まれ、ダウン復帰後もシエラが『完全魅了盾』で引きつけているうちにボコってとうとう二つ目のHPバーも消える。〈マグメタ〉よりだいぶHPの多いレアボスのはずだが、ほとんど一方的だしすぐにHPが減っていく。早い。五段階目ツリーがヤバい。まあヤバいのはこのメンバーだからだな。
「グマアアアア!!」
「第三形態だ!」
「わ! なんか攻撃が飛んできたわよ!?」
「気をつけて! 攻撃のアクションが無いのにカマが飛ぶみたいだわ!」
そう、それが〈カマグマ〉の厄介な第三形態のスキルだ。
第一形態では風のカマを飛ばすのにアクションが必要だったが、第二形態からはカマイタチをまとい始め、第三形態からは随時ランダムでカマが飛んでくるようになる。
風のカマが飛んでいくのはランダムなので狙われていないからといって油断は出来ない。
いつ自分の方向に攻撃が飛んできてもおかしくはない。そんな形態だ。
「こっちは結界を張るから気にしないで! 『慈愛と守護の八障壁』!」
ラナが障壁を展開した。これは『聖守の障壁』の上位ツリーで正面に八つの結界板が出現してラナを守るように180度展開する。
強力な結界魔法なのに加え、これで守られている間、ラナは普通に魔法まで使えてしまうというとんでもない性能を持っている。メルトの『攻防デュアル』は泣いていいな。
まあ、これでラナの方は気にしなくてもいいだろう。
しかし、それだけではもちろん終わらない。
「『フルライトニング・スプライト』!」
「グマアア、ガアア、ガアア、ガア! ガア!」
再び俺の攻撃が変形が終了したばかりの〈カマグマ〉に直撃し、HPをごっそり削る。
だがそれに怯まず、〈カマグマ〉は狂ったように口から風の砲撃を放ってきたのだ。
「ガア! ガア! ガア! ガア!」
「ぐっ! これは!?」
「クマのブレス、みたいなものでしょうか!? 『プレシャススラスト』!」
その様子は怪獣。
もうカマイタチのカの字も無いくらいブレスっぽい風の砲撃をそこら中に撃ち始めたのだ。
シエラが突然の連続ブレスに苦悶の表情を浮かべる。
エステルの〈イブキ〉にも直撃してダメージが入った。
「ふふん! そんな攻撃は効かないわ! やんちゃな子にはお仕置きよ! 『大聖光の十宝剣』!」
しかしラナには効かない。まあ俺もオートガードが付いているので効かないが。
ラナからは十の宝剣が〈カマグマ〉に向けられ、発射される。
「行きなさい!」
「グアアアアアア!?」
「今ね! 『ショックハンマー』!」
「ん! 『ブレイクピンポイントスタッブ』!」
「グガアアアア!!」
再びズドドドドドンと宝剣が突き刺さっていき〈カマグマ〉がたまらず怯んだ。
そこへシエラがメイスで側面から攻撃。『側面打撃LV10』の効果で側面からの攻撃でダメージ上昇だ。
カルアも防御力を大きく低下させる攻撃で後ろから突き刺す。
たまらずシエラにクマパンチ。『暴風熊ストレート』というカマやイタチの文字がとうとう無くなったパンチを放つ。
だが、それはシエラの餌食となった。
「食らいなさい『カウンターバースト』!」
「グマア!?」
「にゃびし!? うう、『急所一刺し』ーー!」
「グマア!?」
シエラの『カウンターバースト』が炸裂。大きく仰け反った〈カマグマ〉にカルアが迫り、迎撃の風のカマを食らいながらもなんとか『急所一刺し』でぶっすりしてダウンを捥ぎ取った。
「シエラ、カルアナイス! チャンスだ!」
「行きます。『姫騎士覚醒』!」
「おう!?」
ここで〈イブキ〉に乗ったままのエステルがユニークスキルを発動する。
この『姫騎士覚醒』とな、『戦車スラスト砲・解禁』がな、合わさるとな、こうなるんだ。
「――――『ロングスラスト』! 『ホーリースラストバースト』! 『ロングスラスト』! 『インパルススラストキャノン』! 『ロングスラスト』! 『トライ・スラストカノン』! 『ロングスラスト』! 『レギオンスラスト』! 『ロングスラスト』! 『プレシャススラスト』! 『ロングスラスト』! 『ホーリースラストバースト』! 『インパルススラストキャノン』! 『トライ・スラストカノン』!!」
「ぐ、クママ…………」
次々飛来するスラストの砲撃。
その集中砲火を浴びるダウンした〈カマグマ〉の図よ。ビクンビクン。
まあ俺たちもいつも通り攻撃を叩き込みまくったのだが、気が付けば〈カマグマ〉のHPはゼロになっており、悲しそうな鳴き声を残してエフェクトの海に消えていったのだった。
そして後には、なんと金色に光る〈金箱〉が四つ残されていた。
まさか、まさかの、
「〈パーフェクトビューティフォー現象〉キターーーー!?!?!?」
――――――――――
後書き失礼いたします。
ビンタは明日でお願いします!
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