第926話 みんなで集まって報告会!チケットは誰に使う?




 ランク6、〈岩ダン〉を35層まで突き進んだ翌日。

 今日は日曜日だ。本来ならお休みの日である。

 しかし、〈ダン活〉プレイヤーからすれば日曜日とは休みではない。

 ダンジョン活動日なのだ!


 ということで今日も元気に出発です!


 待ち合わせ場所はBランクギルドハウス。

 未だ慣れない道を歩いて行き、なんとか間違えずにBランクギルドハウスへと到着した。


「みんなおはよう~」


「「「「おはよう~」」」」


 朝の挨拶をしながら入室すると返ってくるおはよう。うん、いいね。

 そのまま全員が集合するまで待機して、最後にアルルとニーコが集まったところでミーティングを行なう。


「改めてみんなおはよう~。良い日曜日だな! 今日も素晴らしいダンジョン日和だ! というわけでミーティングも早く終わらせてダンジョンに行こう! 何か報告がある人はいるか?」


 俺の言葉に幾人かのメンバーが手を上げたので聞いてみると、何のことはない。異常はなく、とても順調との報告から始まり、今日も同じメンバーで行きたいという意見が多かっただけだった。


「もちろんいいぞ。リカ、リーナ、〈嵐ダン〉攻略チームを任せる」


たまわった」


「任せてくださいませゼフィルスさん!」


 リカとリーナに任せておけば〈嵐ダン〉に突入しているメンバーは大丈夫だろう。

 俺も見に行きたいのだが、こちらもスケジュールがカツカツで見に行けないのが残念でならない。

 リカとリーナは俺の情報とリーナの『フルマッピング』を頼りにすでに10層に突入しているらしい。今日は20層へ挑む所存だそうだ。詳しくはまた今度聞く事にしている。楽しみだ。


 続いてレグラムチーム、〈四季の妖精ダンジョン〉でレベル上げ中のメンバーズに振る。


「みなのレベル上げだが、すでに上限に届いているノエルとニーコ以外は順調だ。〈拠点落とし〉まではこのままレベル上げをしたいと考えている」


「了解した。レグラムたちも引き続き頑張ってくれ。あとそうだ、昨日良いドロップが出たんでレグラムに渡しておくな。これでもっとたくさん狩ってきてくれ! ニーコも上級ドロップ、期待しているぞ!」


「これは、良い剣だな……。任せるがいい、これでさらにボスを撃破してこよう」


「ふう……。まあ、上級ダンジョンに引っ張られていくよりかはマシと思うことにしているよ」


 昨日ドロップした〈稲妻の黒剣こっけん〉をレグラムに渡して発破を掛けておいた。頼むぜ~。

 ニーコが少し遠い目をしていた気がするが、きっと気のせいだ。それに、〈拠点落とし〉が終われば〈イブキ〉を使って〈嵐ダン〉の最下層までみんなを送ろうかという計画も立てている。もちろん最奥に行くときはニーコも一緒だ。


 ちなみに〈聖竜の幼竜〉、ゼニスも順調にレベルが上がっているらしい。進化にはまだまだ掛かるだろうが。こちらも楽しみだ。


「私たちは攻略者の証集めだね。もうだいぶ集まってるから上級ダンジョンに行くのももうすぐだよ」


 そう言って昨日組んだパーティと笑い合うのはトモヨだ。

 トモヨ、カタリナ、ロゼッタ、エリサ、フィナリナ組は攻略者の証集めにロゼッタの〈馬車〉で中級上位チュウジョウを爆走中のようだ。

 うむうむ、頑張ってくれ。


 続いてはラウとルキアのところ。


「俺とルキアは昨日サチさんのところに混ぜてもらってスキルなんかの練習をしていたんだが、今日はダンジョンに行きたいな」


「なら道場でも行ってくるか? QPなら出すぞ?」


「……頼んでもいいだろうか」


「オーケー、任せろ!」


 ラウが腕を組んで悩む。今はレベルも低く〈エデン〉メンバーには付いていけないためさてどうしようと首を傾げていたので、エクストラダンジョンの一つ、レベルアップ専用ダンジョンの〈試練の門塔もんとうダンジョン〉通称:〈道場〉を勧めておいた。


 もちろんルキアも一緒。ラウとルキアは転職組で、転職前はBランクギルドにいたこともあり中級中位チュウチュウの攻略者の証は三つ持っている。

 つまりランク7の〈道場〉が使えるのでLV70までは育成が可能だ。


 ラウたちには早めにこっち側カンスト組へ来てもらうとしよう。


 そして仲良し3人娘とフラーミナ。


「私たちはダンジョンに行こうかと思ってるよ~」


「昨日新しい職業ジョブ、いっぱい練習はしたもんね~」


「LVも少しは上げておきたいしね」


「ということで後1人パーティメンバーが欲しいんだけど、ポジションはタンクで」


 彼女たちの練習は一先ず終わりにし、LV上げに中級上位チュウジョウへ行きたい考えのようだ。しかしメンバーは4人なので1人足りないとのこと。タンクを希望したいとピシっと手を挙げたフラーミナが言う。

 そうなると余っている人材は……。そう考えたところで俺の隣にいるセレスタンが目に入った。


「それならセレスタン、臨時で入れるか?」


「畏まりました。サチ様、エミ様、ユウカ様、フラーミナ様、よろしいでしょうか?」


「もちろんオーケーだよ~」


「むしろ助かるよ~」


「タンク役を任せると思うが、大丈夫か?」


「セレスタンさんなら安心だね」


 空いているのはセレスタンだけだったのでダメ元で聞いてみたが、問題なしとのことだった。どうやらセレスタンも最近は手が空いてきたようでまた少しずつダンジョンにも行っているようなのだ。


 これで全員の今日の行動はわかったな。


 そこで俺は昨日シャロンから貰った1枚のチケットを取り出した。


「それともう一つ話がある。実は昨日レグラムたちがまた〈上級転職チケット〉を入手したんだ! 俺はこれをエリサに使いたいと思っている」


「って、私!?」


 いきなり話を振られたエリサが素っ頓狂とんきょうな声を上げた。


「エリサがDランク試験の時に睡眠で猛威をふるったのは記憶に新しい。『睡眠耐性』を貫通させるスキルも充実しているからな。だから明後日の〈拠点落とし〉に是非出てほしいんだ。俺たちにはエリサが必要なんだ」


「うぐ!? 今のきゅんと来たわ! ねえご主人様、今のもういち――どひゅ!?」


「姉さま、暴走しないでください」


 テンションが一瞬で振り切れそうになったエリサだったが、どうやらフィナの拳が脇腹わきばらをえぐったらしい。「おぐぅ」と一瞬苦しんだが、すぐにぐぎぎと顔を上げてやや引きつった笑顔を浮かべてこう言った。


「も、もちろんお受けするわ。私に任せて……」


「お、おう。無理はするなよ?」


 ということで〈上級転職チケット〉の1枚はエリサに使用することとなり、Aランク戦〈拠点落とし〉のメンバーに加わることが決定した。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る