第878話 〈エデン〉集まってブリーフィング。
今日は土曜日、11月最後の日だ。
俺は上級ダンジョン攻略後からあった様々なことを伝えるため、あと作戦を決行するため、ギルドメンバーを招集していた。
いつものギルドハウスの壇上でメンバーを見渡す。
「みんな、集まってくれて感謝だ。今日は色々と話さなくちゃいけないことがある。主にギルド〈エデン〉の方針についてだ。セレスタン、サトル資料を頼む」
俺の言葉にサトルとセレスタンが手分けして資料をメンバーに配った。
そこにはメンバー全員のLVや現在の攻略者の証の保有数、攻略階層などが書かれている。
これは今後ギルドをさらに邁進させるため必要なデータだ。
「まず、先日〈エデン〉はついに上級ダンジョンの攻略を成し遂げた。その翌日に学園から呼び出しがあってな。俺たち〈エデン〉には是非ランクを上げてほしいとお達しがあった。最低でも年内にAランクにはなってほしいらしい」
学園長から言われていたことを話すとざわめきに包まれた。
ランクを上げてほしいと頼まれること自体は想像が付いていたらしいが年内にAランクは予想外だったのだろう。
まあ、普通なら不可能だしな。
「実はAランクギルドであった〈サンハンター〉が近々学園公式ギルドに正式に移行するんだ。つまりAランクギルドに空席が出来るわけだな」
ここまで話すと理解を得たという表情のメンバーが出始める。俺はそこからさらに学園長から言われたギルド数を増やす方針をメンバーにも話した。
「――そんな訳でさらにギルドの数が増えるわけだ」
「Aランクギルドが10ギルドに増えるの!?」
「Sランクギルドは5席になるのか」
「Aランクの空席が7席。〈拠点落とし〉なら一つ下のギルドであればどこでも参加出来る、そういうことか」
ミサトやリカ、メルトの言葉を始めざわめきが部屋中に響いた。
「これについては口止めはされていないが発表もされていないため、あまり言いふらさないようにな。今話したことを踏まえ、俺たち〈エデン〉は12月、Bランク戦とAランク戦を行なうことに決めた」
ざわざわ。
うむ、ざわめきは収まることを知らないな。
まあ、〈エデン〉はSランクになるってずっと言っていたが、Aランクになるのはもっと遠いことだと思っていたのだろう。それが来月、というか1ヶ月以内だ。ビックリだよな。
しかし、このざわめきどうしようか。収まるまで待つか?
そう思ったところでシエラが壇上に立ち、俺の隣に来てくれた。
「みんな、まだゼフィルスの話の途中よ。もう少し聞いてあげて」
シエラが手を2回叩きながらそう言っただけですぐに静かになっていく。シエラ、ありがたい!
「助かるシエラ。――さて、まずBランク戦の話だが、これの出場者は20人。つまりフル参加、総力戦だ。親ギルドである〈エデン〉のメンバーは全員が上級職となりこれに参加してもらいたい」
「全員出場!?」
「ぜ、全員が上級職ですか!」
「もちろんこの中にはシャロンもアイギスもそしてハンナも含まれてるから、よろしくな」
「私Bランクの戦闘ギルドバトルに出るの!? 大丈夫かなゼフィルス君!?」
「おう! 大丈夫だハンナ、色々準備してるからな!」
「う、う~ん。大丈夫かなぁ。でもゼフィルス君が言うなら……」
俺が親指を立てて大丈夫と告げると、ハンナはちょっと唸りながらも席に座り直した。
そう、今回は総力戦。
親ギルドであるメンバー全員で参加しないといけないためハンナだって参加決定だ。
ランク戦を挑む前であれば、下部
ま、生産職が参加しても何とかなるだろう。それだけの手札があるのだ、ハンナには。なんでだろうね?
「まだまだ行くぞ。続いてAランク戦、これは以前クラス対抗戦でもやった〈拠点落とし〉になる。7席の空席を賭けた大戦になる。おそらくBランクギルドの戦闘ギルドは全員が参加してくるだろう。また参加人数は〈25人戦〉のため、さらに上級職を増やしつつ、25人のメンバーを全員上級職で選出する予定だとここに発表する!」
「「「!!」」」
そうBランク戦に勝ち、〈エデン〉がBランクギルドになれば30人の受け入れが可能になる。
その中からさらに25人のメンバーがAランク戦に挑むことになる。それは最低でも〈アークアルカディア〉から5人が〈エデン〉に昇格することを意味していた。
そして〈上級転職チケット〉の入手は順調だ。現在7枚(内1枚は〈青空と女神〉行き)。このままのペースなら冬休みまでに〈エデン〉メンバー25人を上級職にすることも可能だろう。
学園長から言い渡された〈拠点落とし〉と〈エデン〉年内のAランクギルドへの昇格の報告は、とりあえずこれで全部だな。
「というわけなんだが、大丈夫か? 付いてこられていない人はいないか?」
しばらく待ってみたが手を挙げる人は皆無だった。みんな真剣に聞いているな。
「大丈夫みたいね、みんな付いてきているわ。それと、ゼフィルスは昨日も学園長室へ呼び出されていたわね。あれはどういう話だったの?」
シエラの追求です。
今のは月曜日に受けた話だ。シエラにはもちろん先に話してあった。そうじゃなくちゃ恐ろしいお説教が待っているからな(震え)。
だが、昨日はそんな時間は無かったので、昨日学園長室に行った時の話はまだしていなかったのだ。
「ああ。みんなにも聞いてほしいんだが―――」
俺は昨日の話をする。
ここに全員が集まってもらったのは〈青空と女神〉へ〈上級転職チケット〉を供与するための話し合いをするためでもあったのだ。ユーリ先輩の話もその延長だな。
これはギルドメンバーも知っておいてほしい話だ。
まずは前提となる、〈青空と女神〉がギルド〈エデン〉に助けを求めてきた話から始まり、〈エデン〉が〈上級転職チケット〉を1枚援助したいという話をする。
これについてはすでにシエラたちがグループメッセージで通知しているので確認の意味と、この話がそれに関することだと強調する意味合いがある。
そして昨日ユーリ先輩に呼ばれた話をした。
上級ダンジョンの攻略を素直に祝ってくれた話から始まり、〈青空と女神〉へ〈上級転職チケット〉を2枚援助したいと言ってきている、という話をする。
〈キングアブソリュート〉が〈エデン〉の上級ダンジョン攻略を祝ってくれたと知って数人のメンバーがホッとしていたのが印象的だった。まあ、大体のメンバーは学園トップギルドのギルドマスターからのお褒めの言葉に喜んでいる様子だな。
そして〈上級転職チケット〉の話で唸った。
「……そう。それはとても良いことだと思うわ」
「わたくしもそう思います。〈キングアブソリュート〉には協力してもらった方が良き方向に進むと思いますわ。とはいえ――」
「〈青空と女神〉は〈エデン〉のお抱えになることを希望していたものね。その辺は向こうと話し合いが必要だと思うわ。3ギルドで話し合いの席を設ける必要があるわね」
「〈エデン〉側としては問題ありませんか? いえ、まだ〈上級転職チケット〉を供与してもいいか、という部分で決も取っていない状況なのですが」
さすがシエラとリーナは頼りになるな。
即座に色々と考え、するべき事を上げてくれた。
振られたメンバーたちがそれぞれ意見を出し合う。
「ううーん、それって〈キングアブソリュート〉が〈上級転職チケット〉を出すなら、〈エデン〉が渡す必要はある? ってことにならない?」
「〈エデン〉は【魔道具師】の上級職を欲してるからな。天才生産職人たちが集うギルドだ。良い人材を〈エデン〉の専属にできればギルドのさらなる発展とステップアップが期待できるだろう」
「それに、これに〈エデン〉が入っていないと出遅れるよ? マリー先輩の店に集まるその他ギルドと同じになるよ?」
「そうだな。注文も出来ないという事態になるのは困るな」
「はい。やはり〈エデン〉からも供与は必要だと考えますわね」
フラーミナ、ミサト、リカ、カタリナを始めとし色々と意見が出る。一部俺もそれに答えた。
主に〈キングアブソリュート〉が援助するなら〈エデン〉が援助する必要は無いのでは? という部分だな。
とはいえ専属はとても重要だ。上級生産職なんて引っ張りだこになるだろうからな。専属にしておかないとそもそも注文も出来ないという事態になりかねない。
それは〈エデン〉としてマイナスになる。
ここは〈上級転職チケット〉を供与して恩を高く売っておきたいところだ。
―――――――――――
後書き失礼します。
長くなったので分割させていただきます。
この1週間、色々ありすぎて1話では纏めきれなかった。明日でブリーフィング回は終了です。
ブリーフィングが終わり次第、〈
今回4人+1人〈
また、本日11時よりコミカライズが更新されます!
TOブックス コロナコミックで検索!
今回はガント先輩が出ますからね。是非読んでみてください!
また、マリー先輩の店でいよいよハンナちゃんの装備作製に入りますよ!
作者最近まで知らなかったのですが、採寸って下着姿でやるんですね。
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